旦那様は今日も私を警護中〜聖人君子の裏の顔は愛に一途なヤンデレ系〜

白山小梅

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2 彼の事情

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* * * *

 リビングに戻ると、ソファの前にあるガラス張りのローテーブルに、葉介がお酒や軽くつまめる食べ物を用意してくれていた。

 仕事が終わってすぐに幸也との待ち合わせに向かったため、何も食べていなかったことを思い出し、急にお腹が空き始めた。

「家にあまり食材がなくて、こんなものしか準備が出来なくてすみません」

 葉介が申し訳なさそうに言ったが、莉里架としてはここまで準備をしてくれたことに、感動すら覚える。

「全然だよ! ちょうどお腹が空いてたから嬉しい。ありがとう」

 ソファに腰を下ろし、背中をピンと伸ばしたまま、テーブルに並ぶ食べ物を見てゴクリと唾を飲み込んだ。

 トマトとクリームチーズのピンチョス、生ハムの貝割れ巻き、ソーセージ、スモークサーモンのクラッカー。どれも一手間加えられていて、この短時間で作ったとは思えないものばかりだった。

「飲み物はどうしますか? ワインとかハイボール、チューハイもありますが」
「えっ、じゃあチューハイもらっちゃおうかなぁ」

 冷蔵庫の前に立っていた葉介は、莉里架の言葉を聞いてから、チューハイを四本抱えて持ってきた。

「ありがとう。なんか至れり尽くせりだね」
「せっかくだし、生徒会長にはゆっくりくつろいでもらいたいので」

 缶チューハイを受け取りながら、莉里架は思い切り首を横に振った。

「もう十分すぎるくらいだよー。さっきフラれた怒りも、なんか安東くんのおかげで薄らいできた気がする」
「そうですか? それなら良かったです。今日は大変な一日でしたからね」

 葉介は莉里架の隣に腰掛け、缶を開けて一口含んだ。横顔もカッコいい葉介を見ていると、今更ながらどうして自分がここにいるの不思議になる。何しろ彼のようなタイプは自分の周りにはいないのだ。

 莉里架自身は仲良くなった女子と一緒にいるだけなのだが、その女子の周りには軽めの男子しかいなかった。

 気持ちとしては葉介のような真面目で優しくて大人の男性が好きなのに、そういう人は莉里架のように小さくて元気なタイプより、理知的でカッコいい女性の近くにいる。

 それに年齢より下に見られることが多いため、なかなか恋愛対象として見られることがなく、彼氏いない歴が年齢になってしまったのだ。
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