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2 彼の事情
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葉介の部屋は、公園から程近い場所にあるマンションだった。
「一人暮らしなの?」
「えぇ、そうなんです。生徒会長は?」
「私はまだ実家暮らし。親がなかなか許してくれなくて」
「あぁ……なんかご両親の気持ちがわかります。何かあってからでは遅いですから」
葉介の言葉の意味がわからず、首を傾げながら唇を尖らせる。
「でももうすぐ二十七になるのに、いつまでも子供扱いされてるみたいじゃない?」
2LDKの部屋のうち、仕事部屋らしき部屋には大量の本があり、莉里架が全くわからない経済や経営のノウハウについて書かれたもの、そしてパソコン周りには一般家庭では見かけないような器具や、やけに大きなイスもあった。
寝室はグリーンで統一されていて、外から眺めているだけでも心が落ち着く。そして安心感を与えてくれる癒しの色こそ、莉里架が思い描く葉介そのものだった。
葉介は寝室に入ると、クローゼットの中からスウェットの上下を取り出して莉里架に差し出す。
「先にシャワー浴びてください。洗濯しちゃうので、そのまま洗濯機に入れちゃっていいですよ。着替えはこれを使ってください」
「うん、ありがとう」
原因はどうあれ、こうなってしまっては仕方がない。とりあえず彼の言葉に甘えることにした莉里架は、洗濯機に服を入れると浴室に入った。
シャワーを浴びながら、なんだか忙しない一日にため息をついた。
仕事も忙しかったけど、幸也に呼び出されてフラれたし、安東くんと再会して、何故か彼の部屋でシャワーを浴びてるしーーとんでもない一日がもうすぐ終わろうとしている。
幸也に呼び出された時、何があるかわからなかったので、念のため母親にメッセージを送っておいたのだが、今になってそれが功を奏した。
それにしても、まさかあんな場所で再会するとは思わなかったーーそう考えた時、一つの疑問が胸に浮かび上がった。
そう言えば彼はあそこで何をしていたんだろう……空を見上げて、まるで嫌なことを忘れようとしているように見えた。
自分ばかりが喋り続け、彼の話を全く聞かなかったことを後悔する。
お湯を止めて脱衣所に出た莉里架は、洗濯機がすでに回り始めていることに気付き、葉介の気遣いに感心してしまう。
せっかくだし、私も彼の話を聞いてあげようーーそう心に決めると、着替えを済ませてリビングに向かった。
「一人暮らしなの?」
「えぇ、そうなんです。生徒会長は?」
「私はまだ実家暮らし。親がなかなか許してくれなくて」
「あぁ……なんかご両親の気持ちがわかります。何かあってからでは遅いですから」
葉介の言葉の意味がわからず、首を傾げながら唇を尖らせる。
「でももうすぐ二十七になるのに、いつまでも子供扱いされてるみたいじゃない?」
2LDKの部屋のうち、仕事部屋らしき部屋には大量の本があり、莉里架が全くわからない経済や経営のノウハウについて書かれたもの、そしてパソコン周りには一般家庭では見かけないような器具や、やけに大きなイスもあった。
寝室はグリーンで統一されていて、外から眺めているだけでも心が落ち着く。そして安心感を与えてくれる癒しの色こそ、莉里架が思い描く葉介そのものだった。
葉介は寝室に入ると、クローゼットの中からスウェットの上下を取り出して莉里架に差し出す。
「先にシャワー浴びてください。洗濯しちゃうので、そのまま洗濯機に入れちゃっていいですよ。着替えはこれを使ってください」
「うん、ありがとう」
原因はどうあれ、こうなってしまっては仕方がない。とりあえず彼の言葉に甘えることにした莉里架は、洗濯機に服を入れると浴室に入った。
シャワーを浴びながら、なんだか忙しない一日にため息をついた。
仕事も忙しかったけど、幸也に呼び出されてフラれたし、安東くんと再会して、何故か彼の部屋でシャワーを浴びてるしーーとんでもない一日がもうすぐ終わろうとしている。
幸也に呼び出された時、何があるかわからなかったので、念のため母親にメッセージを送っておいたのだが、今になってそれが功を奏した。
それにしても、まさかあんな場所で再会するとは思わなかったーーそう考えた時、一つの疑問が胸に浮かび上がった。
そう言えば彼はあそこで何をしていたんだろう……空を見上げて、まるで嫌なことを忘れようとしているように見えた。
自分ばかりが喋り続け、彼の話を全く聞かなかったことを後悔する。
お湯を止めて脱衣所に出た莉里架は、洗濯機がすでに回り始めていることに気付き、葉介の気遣いに感心してしまう。
せっかくだし、私も彼の話を聞いてあげようーーそう心に決めると、着替えを済ませてリビングに向かった。
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