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4 大ピンチ
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「さすがに大人になってまで、あんな格好はしませんよ」
「だけどどうして……」
「結婚のことですか? 覚えがないわけではないですよね?」
莉里架は過去の恐怖を覚えた体験を思い出し、言葉に詰まる。
あれは高校三年生の夏休み前、ゴミを捨てに行った莉里架は、ゴミ捨て場でたむろしていた士郎たちのグループに絡まれたことがあるのだ。
『生徒会長さ、彼氏とかいんの?』
『い、いませんけど……。あのっ、帰るので退いてください』
『そんなこと言うなよ。前から生徒会長のこと、可愛いって思ってたんだよね。ねぇ、俺と付き合ってよ』
『……わ、私たち受験生ですよ。恋愛にうつつぬかしている暇はないので……』
『ふーん……』
この時、士郎が友人たちに目配せをしたことに気付いたのに、逃げるのが遅れてしまった。
『じゃあさ、今だけ付き合ってよ』
士郎がそう言った瞬間、両腕を男子に掴まれてしまう。
『えっ……ちょっと! やめてください!』
暴れて抵抗したものの、手を引っ張られ、体育準備室に連れ込まれそうになった。ただすぐに教師が駆けつけてくれたため、事なきを得たのだ。
まさか私を好きとか言わないよね……。それにあんな男と結婚? 絶対に、天地がひっくり返ったってあり得ないわよーー考えただけでも身震いがする。
「いきなりそんなことを言われましても……娘も困惑しているようですし……」
「別に返事を急いでいるわけではありませんよ。ただ……早めに返事をしないと、経営が立ち行かなくなるのではないかと心配しているだけですから」
それは否定出来なかった。数ヶ月しのいだとして、その後は給与を支払うことすら危ぶまれるのだ。
父親は士郎に手渡された冊子を、食い入るように見つめている。もちろん受けてしまえば、いつも通り経営をしていけるだろう。だがそれは、莉里架があの男と結婚をするという現実の上に成り立つのだ。
きっと父親からすれば、引き受けて欲しいに決まっている。しかしそんな簡単に結婚をするなんて出来なかった。
「……少し考えさせてください」
「いいですよ。ゆっくり考えて結論を出してください」
士郎は立ち上がると、応接室の扉に手をかける。
「いいお返事をいただけるのを、待っています。では失礼します」
その言葉には反応せずに、莉里架は悔しそうな顔で下を向く。
「莉里架、無理はしなくていいんだからね」
無理はしなくていいーーその言葉から、父親が完全に否定する気がないことが窺える。漏れ出る期待を感じた莉里架は、悲しくなるのをグッと堪えて、とりあえず小さく頷いた。
「だけどどうして……」
「結婚のことですか? 覚えがないわけではないですよね?」
莉里架は過去の恐怖を覚えた体験を思い出し、言葉に詰まる。
あれは高校三年生の夏休み前、ゴミを捨てに行った莉里架は、ゴミ捨て場でたむろしていた士郎たちのグループに絡まれたことがあるのだ。
『生徒会長さ、彼氏とかいんの?』
『い、いませんけど……。あのっ、帰るので退いてください』
『そんなこと言うなよ。前から生徒会長のこと、可愛いって思ってたんだよね。ねぇ、俺と付き合ってよ』
『……わ、私たち受験生ですよ。恋愛にうつつぬかしている暇はないので……』
『ふーん……』
この時、士郎が友人たちに目配せをしたことに気付いたのに、逃げるのが遅れてしまった。
『じゃあさ、今だけ付き合ってよ』
士郎がそう言った瞬間、両腕を男子に掴まれてしまう。
『えっ……ちょっと! やめてください!』
暴れて抵抗したものの、手を引っ張られ、体育準備室に連れ込まれそうになった。ただすぐに教師が駆けつけてくれたため、事なきを得たのだ。
まさか私を好きとか言わないよね……。それにあんな男と結婚? 絶対に、天地がひっくり返ったってあり得ないわよーー考えただけでも身震いがする。
「いきなりそんなことを言われましても……娘も困惑しているようですし……」
「別に返事を急いでいるわけではありませんよ。ただ……早めに返事をしないと、経営が立ち行かなくなるのではないかと心配しているだけですから」
それは否定出来なかった。数ヶ月しのいだとして、その後は給与を支払うことすら危ぶまれるのだ。
父親は士郎に手渡された冊子を、食い入るように見つめている。もちろん受けてしまえば、いつも通り経営をしていけるだろう。だがそれは、莉里架があの男と結婚をするという現実の上に成り立つのだ。
きっと父親からすれば、引き受けて欲しいに決まっている。しかしそんな簡単に結婚をするなんて出来なかった。
「……少し考えさせてください」
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「莉里架、無理はしなくていいんだからね」
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