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後日談
その12
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そうなったら、その時はまた考えよう。
一応皇后を辞めて実家に帰る道筋を用意しておけばいい。
でも、皇后を辞めるって、どうやったら辞められるんだろう……?
なーんて思ったのが運のつき。
「『はあ? 辞められると思うなよ!? 少なくとも俺が許可しなければ廃位なんてできないからな! そして俺が許可なんで出すわけねーだろ!』との皇帝陛下からのご伝言でございます」
「李夏さま……なんで白龍に言うかな……ちょっと廃位ってどうやるのって、李夏さまに聞いただけなのに」
「今後皇帝陛下の意向によって方針が変わる恐れもありますため、念のため皇帝陛下に確認いたしました。こういうことは、変わる時にはあっさり変わるものですし」
「とか言って、どうせちゃっかり皇帝に対して点数を稼いでいるだけでしょうが。もう、馬鹿正直に私が聞いたなんて言わなくていいのに……告げ口反対。でも知ってる、李夏さまがそういう人だって!」
色とりどりの花が咲き完璧に手入れをされた後宮の庭を、優雅に女官や宦官を引き連れてする散歩に相応しい話題かどうかは、もうこの際どうでもいいです。
とにかく私は李夏さまに文句を言った。
しかし李夏さまには何のダメージもないのが悔しいったら。
「ふふ……さすがは皇后陛下です。しかし私としましても、こういうことはちゃんとお知らせしておかなければ、いざ皇后陛下が何か困ったことを始めてしまった時は私の首が飛ぶのですよ。そしてやりそうではありませんか。それだけは困ります。やるなら私の知らないところで勝手にやってくださいね」
「わかった。気をつける。こっそりやるわ」
「ああ、でもあちらには白がいますので、こっそりも無理だと思いますよ。念のため」
「ちっ」
と、その時。
てんてんてんてん。
カラフルな、鞠? ボール? 何?
よくはわからないが綺麗な色の何か丸い物が、私たちの前を転がったのだった。
はたと足を止める私。
「申し訳ありません! あっ……皇后さま、ご機嫌麗しゅう」
そう言って目の前に現れて礼をしたのは、楊才人だった。
「楊才人? まあこんにちは」
私がそう言っているうちに、後ろに控えていた宦官の一人がその転がってきたボールを拾って楊才人の女官に渡した。
「大変失礼をいたしました。秋の御前披露にと舞踊の練習をしておりましたら、落としてしまいました」
「まあそうなのですね。練習ぜひ頑張ってね」
「はい! 私、必ずや皇帝陛下がお喜びになるものをご披露いたします! あの、皇帝陛下は、舞踊はお好きでしょうか?」
「さあ、どうでしょう。でも素晴らしいものは舞踊に限らずなんでもお好きなのではないでしょうか」
そういうために作った会ではないのだけれど、とも言えず、私は無難に返事をした。
あいつ、踊りとか好きなのかな? 知らないな?
春の宴の時は普通にのんびり見ていたけれど。
しかしこうして目をキラキラさせて皇帝の目に止まってやるという意気込みを隠さない、美しく、かつ若い女性を見ると、ふと私は将来もずっとこういう人たちとあの白龍を取り合い続けるのだろうかと考えてしまう。
もちろんこれは自分で決めた道だけど、ううむなかなか……。
と、その時。
「ああ、皇后、ここにいたか」
「あっ皇帝陛下……!」
一応皇后を辞めて実家に帰る道筋を用意しておけばいい。
でも、皇后を辞めるって、どうやったら辞められるんだろう……?
なーんて思ったのが運のつき。
「『はあ? 辞められると思うなよ!? 少なくとも俺が許可しなければ廃位なんてできないからな! そして俺が許可なんで出すわけねーだろ!』との皇帝陛下からのご伝言でございます」
「李夏さま……なんで白龍に言うかな……ちょっと廃位ってどうやるのって、李夏さまに聞いただけなのに」
「今後皇帝陛下の意向によって方針が変わる恐れもありますため、念のため皇帝陛下に確認いたしました。こういうことは、変わる時にはあっさり変わるものですし」
「とか言って、どうせちゃっかり皇帝に対して点数を稼いでいるだけでしょうが。もう、馬鹿正直に私が聞いたなんて言わなくていいのに……告げ口反対。でも知ってる、李夏さまがそういう人だって!」
色とりどりの花が咲き完璧に手入れをされた後宮の庭を、優雅に女官や宦官を引き連れてする散歩に相応しい話題かどうかは、もうこの際どうでもいいです。
とにかく私は李夏さまに文句を言った。
しかし李夏さまには何のダメージもないのが悔しいったら。
「ふふ……さすがは皇后陛下です。しかし私としましても、こういうことはちゃんとお知らせしておかなければ、いざ皇后陛下が何か困ったことを始めてしまった時は私の首が飛ぶのですよ。そしてやりそうではありませんか。それだけは困ります。やるなら私の知らないところで勝手にやってくださいね」
「わかった。気をつける。こっそりやるわ」
「ああ、でもあちらには白がいますので、こっそりも無理だと思いますよ。念のため」
「ちっ」
と、その時。
てんてんてんてん。
カラフルな、鞠? ボール? 何?
よくはわからないが綺麗な色の何か丸い物が、私たちの前を転がったのだった。
はたと足を止める私。
「申し訳ありません! あっ……皇后さま、ご機嫌麗しゅう」
そう言って目の前に現れて礼をしたのは、楊才人だった。
「楊才人? まあこんにちは」
私がそう言っているうちに、後ろに控えていた宦官の一人がその転がってきたボールを拾って楊才人の女官に渡した。
「大変失礼をいたしました。秋の御前披露にと舞踊の練習をしておりましたら、落としてしまいました」
「まあそうなのですね。練習ぜひ頑張ってね」
「はい! 私、必ずや皇帝陛下がお喜びになるものをご披露いたします! あの、皇帝陛下は、舞踊はお好きでしょうか?」
「さあ、どうでしょう。でも素晴らしいものは舞踊に限らずなんでもお好きなのではないでしょうか」
そういうために作った会ではないのだけれど、とも言えず、私は無難に返事をした。
あいつ、踊りとか好きなのかな? 知らないな?
春の宴の時は普通にのんびり見ていたけれど。
しかしこうして目をキラキラさせて皇帝の目に止まってやるという意気込みを隠さない、美しく、かつ若い女性を見ると、ふと私は将来もずっとこういう人たちとあの白龍を取り合い続けるのだろうかと考えてしまう。
もちろんこれは自分で決めた道だけど、ううむなかなか……。
と、その時。
「ああ、皇后、ここにいたか」
「あっ皇帝陛下……!」
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