ホムンクルス戦記~俺の女騎士たちは凛々しくてカッコイイんだぜッ!!

飯塚ヒロアキ

文字の大きさ
7 / 12
始まりの伝説

第七話

しおりを挟む
 その動きを察知したバベルトス宰相は帝国領全城塞都市へ非常事態宣言と国家総動員法を発令。

 すべての帝国人に対し、徹底抗戦の参加を強制したのだ。

 女子供関係なく、国家存亡の危機であるとし、武器を持たせ、戦えない者は戦争の協力をするようにした。

 従わない者らには家族全員を強制労働所へ送ると脅迫する。

 着々に準備を進めたバベルトスは一旦、戦力を維持したまま、攻勢には出ず、防衛戦を徹底させるようにした。

 帝国軍全軍と帝都に残る予備隊をも総動員し国境築かれた全ての城塞都市で二重、三重と防衛線を敷くことによって、国境で敵を食い止めることに力を注いだ。

 バベルトスは防戦一方ではいつか国境線を突破されると考え、帝国の中央、つまりは帝都にて新しい部隊を徴集した。

 その新設した部隊を突破されそうな危うい城塞都市へ増援として送り込むことで、防衛線維持を図る計画がなされた。

 彼は臨時作戦会議に呼び出した将軍らを見渡し力強く告げる。

「ここは耐える時ですッ!」

 今のところ、現状の戦力でもガリアン諸王国連合の攻勢をなんとか凌いでいるがそれだけでは帝国の存続には不十分だ。
 
 そこで帝国は各地域で独立を宣言したニクセリア、アロム、八房の三国に使者を送り、不可侵条約及び、帝国は独立した三国に対しこれに干渉しないとし、三国を正式に国として認める、としたのだ。

 ニクセリア、アロムの二国からは返答はなかったものの、両国は帝国へ侵攻する姿勢は見せておらず、軍も動かせる様子もなかったので、今のところ大丈夫だと判断する。

 だからと言って、二国の国境線の防衛力を減らすなどという油断は許されないということで、両国国境にも正規軍の兵士を配置することで、警戒を厳にした。

 八房の国はというと孤島の為、もともと帝国とは因縁はなく、独立さえ叶えば、彼らは帝国がどうなろうとどうでもよかったらしく、また戦うつもりもなかった。

 資源が乏しい国のため、外交貿易で依存する八房は他の国々と中立の立場を取る代わりに帝国に資金援助を要望した。

 多額の資金援助の要望に帝国は悩んだが、最終的にはこれを了承する。

 八房も不可侵条約と中立を約束すると正式に宣言したことで、帝国は西側以外の方面の態勢を固めることに成功した。

 このことにより、ガリアン諸王国連合に全力を注げるようになった。

 ガリアン諸王国連合側は八房の宣言を知ると焦りを見せたのか、両三国に「帝国は為政者であると真の独立を勝ち取るために戦争の参加せよ」と呼び掛けたそうだ。

 が、どの国もその呼びかけに答えることはなく、無視した形になる。

 三国の戦争に参加しなかった理由は強大な軍事力を未だに保持している帝国を恐れているからだ。

 まともに戦えば、被害は免れないと判断したのだろう。

 帝国が戦線を維持できないほどに弱らない限りは参戦するつもりはない。

 二国間での戦いは激しさを増し、死者は両国合わせて、五十万人を超えた。

 ――――――戦いは両者に勝者を得ず、戦いに終わりの兆しなし、といった完全な膠着状態に入って、既に二年が経とうとしていた頃だった。

 ガリアン諸王国連合は当初、攻撃する城塞都市を一つに定め、戦力を集中させることで城塞都市を容易に落とせると判断していたのだが、それは見誤っていた。

 なぜなら数か月経っても帝国側の激しい抵抗に遭い都市制圧に何度も失敗しているからだ。

 業を煮やしたガリアン諸王国連合の盟主は作戦を変更することにした。

 西側にある帝国の城塞都市は全部で五つ。

 これを全て同時に攻撃することで、帝国軍を分断することにしたのだ。

 五つの城塞都市を全て包囲すると案の所、帝国は援軍を送ることができず、各城塞都市は自力でなんとかしなくてはならなくなり、日に日に劣勢になりつつあった。

 帝国軍総指揮官であるライザ将軍はそれを危機とし帝国中央で新設された「大陸グランド亡霊ファントム」と名付けた「深淵しんえん騎士団」を最も陥落しそうなブラガラ城塞都市に向かわせることを決める。

 ブラガラ城塞都市を包囲するのはガリアン諸王国連合軍五個軍団、約五万もの兵士で、それに比べて、深淵騎士団はたった五百あまり。

 随伴する帝国軍を合わせても二千にも足らない部隊が五個軍団を相手するなど無謀ともいえる。

 帝国の幕僚の誰もが無謀な試みだ主張したが、ライザは命令を撤回することはなかった。

 ライザ将軍も心の中では幕僚らと同じく、無謀だとわかっていた。

 しかし彼には捨て駒にしてもこの戦いに勝算があったのだ。

 実は帝都中央に急ぎ集結させている帝国軍、ブラガラに到着するまでの時間稼ぎをするつもりだった。

 既に先遣部隊として、二万五千の帝国軍が向かっているので、深淵騎士団には敵を混乱させてくれたらそれで十分だった。

 数刻さえもってくれれば、帝国軍が間に合う。

 だが、ライザの考えを覆す予想外の事が起きるなど、思ってもいなかった。

 深夜にブラガラ地方に深淵騎士団が到着するとその報を聞いた諸王国連合軍はブラガラ城塞に入らせない為、軍団から五千の兵を割り当て、迎撃に当たらせることにした。

  しかし、深淵騎士団と帝国軍は到着して早々に少し離れた丘の上に幕営を敷き始めた。

 ブラガラ城塞を見下ろす形になる。

 その深淵騎士団の行動に不思議には思わなかった。

 何せ救援で馬を走らせ続けた結果、深夜の到着となってしまい、休息を取りたいのだろう。

 諸王国連合軍も真夜中の攻撃は危険だと判断し一旦迎撃を中止する。

 自分達も連戦による疲労から疲れが見え始めていた頃だったので、休息が欲しかった。

 深淵騎士団に対峙するように丘の下付近に陣を置いたのだった。

 戦いは誰もが夜明けとともに行われると思っていた――――― 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

処理中です...