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始まりの伝説
第七話
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その動きを察知したバベルトス宰相は帝国領全城塞都市へ非常事態宣言と国家総動員法を発令。
すべての帝国人に対し、徹底抗戦の参加を強制したのだ。
女子供関係なく、国家存亡の危機であるとし、武器を持たせ、戦えない者は戦争の協力をするようにした。
従わない者らには家族全員を強制労働所へ送ると脅迫する。
着々に準備を進めたバベルトスは一旦、戦力を維持したまま、攻勢には出ず、防衛戦を徹底させるようにした。
帝国軍全軍と帝都に残る予備隊をも総動員し国境築かれた全ての城塞都市で二重、三重と防衛線を敷くことによって、国境で敵を食い止めることに力を注いだ。
バベルトスは防戦一方ではいつか国境線を突破されると考え、帝国の中央、つまりは帝都にて新しい部隊を徴集した。
その新設した部隊を突破されそうな危うい城塞都市へ増援として送り込むことで、防衛線維持を図る計画がなされた。
彼は臨時作戦会議に呼び出した将軍らを見渡し力強く告げる。
「ここは耐える時ですッ!」
今のところ、現状の戦力でもガリアン諸王国連合の攻勢をなんとか凌いでいるがそれだけでは帝国の存続には不十分だ。
そこで帝国は各地域で独立を宣言したニクセリア、アロム、八房の三国に使者を送り、不可侵条約及び、帝国は独立した三国に対しこれに干渉しないとし、三国を正式に国として認める、としたのだ。
ニクセリア、アロムの二国からは返答はなかったものの、両国は帝国へ侵攻する姿勢は見せておらず、軍も動かせる様子もなかったので、今のところ大丈夫だと判断する。
だからと言って、二国の国境線の防衛力を減らすなどという油断は許されないということで、両国国境にも正規軍の兵士を配置することで、警戒を厳にした。
八房の国はというと孤島の為、もともと帝国とは因縁はなく、独立さえ叶えば、彼らは帝国がどうなろうとどうでもよかったらしく、また戦うつもりもなかった。
資源が乏しい国のため、外交貿易で依存する八房は他の国々と中立の立場を取る代わりに帝国に資金援助を要望した。
多額の資金援助の要望に帝国は悩んだが、最終的にはこれを了承する。
八房も不可侵条約と中立を約束すると正式に宣言したことで、帝国は西側以外の方面の態勢を固めることに成功した。
このことにより、ガリアン諸王国連合に全力を注げるようになった。
ガリアン諸王国連合側は八房の宣言を知ると焦りを見せたのか、両三国に「帝国は為政者であると真の独立を勝ち取るために戦争の参加せよ」と呼び掛けたそうだ。
が、どの国もその呼びかけに答えることはなく、無視した形になる。
三国の戦争に参加しなかった理由は強大な軍事力を未だに保持している帝国を恐れているからだ。
まともに戦えば、被害は免れないと判断したのだろう。
帝国が戦線を維持できないほどに弱らない限りは参戦するつもりはない。
二国間での戦いは激しさを増し、死者は両国合わせて、五十万人を超えた。
――――――戦いは両者に勝者を得ず、戦いに終わりの兆しなし、といった完全な膠着状態に入って、既に二年が経とうとしていた頃だった。
ガリアン諸王国連合は当初、攻撃する城塞都市を一つに定め、戦力を集中させることで城塞都市を容易に落とせると判断していたのだが、それは見誤っていた。
なぜなら数か月経っても帝国側の激しい抵抗に遭い都市制圧に何度も失敗しているからだ。
業を煮やしたガリアン諸王国連合の盟主は作戦を変更することにした。
西側にある帝国の城塞都市は全部で五つ。
これを全て同時に攻撃することで、帝国軍を分断することにしたのだ。
五つの城塞都市を全て包囲すると案の所、帝国は援軍を送ることができず、各城塞都市は自力でなんとかしなくてはならなくなり、日に日に劣勢になりつつあった。
帝国軍総指揮官であるライザ将軍はそれを危機とし帝国中央で新設された「大陸の亡霊」と名付けた「深淵騎士団」を最も陥落しそうなブラガラ城塞都市に向かわせることを決める。
ブラガラ城塞都市を包囲するのはガリアン諸王国連合軍五個軍団、約五万もの兵士で、それに比べて、深淵騎士団はたった五百あまり。
随伴する帝国軍を合わせても二千にも足らない部隊が五個軍団を相手するなど無謀ともいえる。
帝国の幕僚の誰もが無謀な試みだ主張したが、ライザは命令を撤回することはなかった。
ライザ将軍も心の中では幕僚らと同じく、無謀だとわかっていた。
しかし彼には捨て駒にしてもこの戦いに勝算があったのだ。
実は帝都中央に急ぎ集結させている帝国軍、ブラガラに到着するまでの時間稼ぎをするつもりだった。
既に先遣部隊として、二万五千の帝国軍が向かっているので、深淵騎士団には敵を混乱させてくれたらそれで十分だった。
数刻さえもってくれれば、帝国軍が間に合う。
だが、ライザの考えを覆す予想外の事が起きるなど、思ってもいなかった。
深夜にブラガラ地方に深淵騎士団が到着するとその報を聞いた諸王国連合軍はブラガラ城塞に入らせない為、軍団から五千の兵を割り当て、迎撃に当たらせることにした。
しかし、深淵騎士団と帝国軍は到着して早々に少し離れた丘の上に幕営を敷き始めた。
ブラガラ城塞を見下ろす形になる。
その深淵騎士団の行動に不思議には思わなかった。
何せ救援で馬を走らせ続けた結果、深夜の到着となってしまい、休息を取りたいのだろう。
諸王国連合軍も真夜中の攻撃は危険だと判断し一旦迎撃を中止する。
自分達も連戦による疲労から疲れが見え始めていた頃だったので、休息が欲しかった。
深淵騎士団に対峙するように丘の下付近に陣を置いたのだった。
戦いは誰もが夜明けとともに行われると思っていた―――――
すべての帝国人に対し、徹底抗戦の参加を強制したのだ。
女子供関係なく、国家存亡の危機であるとし、武器を持たせ、戦えない者は戦争の協力をするようにした。
従わない者らには家族全員を強制労働所へ送ると脅迫する。
着々に準備を進めたバベルトスは一旦、戦力を維持したまま、攻勢には出ず、防衛戦を徹底させるようにした。
帝国軍全軍と帝都に残る予備隊をも総動員し国境築かれた全ての城塞都市で二重、三重と防衛線を敷くことによって、国境で敵を食い止めることに力を注いだ。
バベルトスは防戦一方ではいつか国境線を突破されると考え、帝国の中央、つまりは帝都にて新しい部隊を徴集した。
その新設した部隊を突破されそうな危うい城塞都市へ増援として送り込むことで、防衛線維持を図る計画がなされた。
彼は臨時作戦会議に呼び出した将軍らを見渡し力強く告げる。
「ここは耐える時ですッ!」
今のところ、現状の戦力でもガリアン諸王国連合の攻勢をなんとか凌いでいるがそれだけでは帝国の存続には不十分だ。
そこで帝国は各地域で独立を宣言したニクセリア、アロム、八房の三国に使者を送り、不可侵条約及び、帝国は独立した三国に対しこれに干渉しないとし、三国を正式に国として認める、としたのだ。
ニクセリア、アロムの二国からは返答はなかったものの、両国は帝国へ侵攻する姿勢は見せておらず、軍も動かせる様子もなかったので、今のところ大丈夫だと判断する。
だからと言って、二国の国境線の防衛力を減らすなどという油断は許されないということで、両国国境にも正規軍の兵士を配置することで、警戒を厳にした。
八房の国はというと孤島の為、もともと帝国とは因縁はなく、独立さえ叶えば、彼らは帝国がどうなろうとどうでもよかったらしく、また戦うつもりもなかった。
資源が乏しい国のため、外交貿易で依存する八房は他の国々と中立の立場を取る代わりに帝国に資金援助を要望した。
多額の資金援助の要望に帝国は悩んだが、最終的にはこれを了承する。
八房も不可侵条約と中立を約束すると正式に宣言したことで、帝国は西側以外の方面の態勢を固めることに成功した。
このことにより、ガリアン諸王国連合に全力を注げるようになった。
ガリアン諸王国連合側は八房の宣言を知ると焦りを見せたのか、両三国に「帝国は為政者であると真の独立を勝ち取るために戦争の参加せよ」と呼び掛けたそうだ。
が、どの国もその呼びかけに答えることはなく、無視した形になる。
三国の戦争に参加しなかった理由は強大な軍事力を未だに保持している帝国を恐れているからだ。
まともに戦えば、被害は免れないと判断したのだろう。
帝国が戦線を維持できないほどに弱らない限りは参戦するつもりはない。
二国間での戦いは激しさを増し、死者は両国合わせて、五十万人を超えた。
――――――戦いは両者に勝者を得ず、戦いに終わりの兆しなし、といった完全な膠着状態に入って、既に二年が経とうとしていた頃だった。
ガリアン諸王国連合は当初、攻撃する城塞都市を一つに定め、戦力を集中させることで城塞都市を容易に落とせると判断していたのだが、それは見誤っていた。
なぜなら数か月経っても帝国側の激しい抵抗に遭い都市制圧に何度も失敗しているからだ。
業を煮やしたガリアン諸王国連合の盟主は作戦を変更することにした。
西側にある帝国の城塞都市は全部で五つ。
これを全て同時に攻撃することで、帝国軍を分断することにしたのだ。
五つの城塞都市を全て包囲すると案の所、帝国は援軍を送ることができず、各城塞都市は自力でなんとかしなくてはならなくなり、日に日に劣勢になりつつあった。
帝国軍総指揮官であるライザ将軍はそれを危機とし帝国中央で新設された「大陸の亡霊」と名付けた「深淵騎士団」を最も陥落しそうなブラガラ城塞都市に向かわせることを決める。
ブラガラ城塞都市を包囲するのはガリアン諸王国連合軍五個軍団、約五万もの兵士で、それに比べて、深淵騎士団はたった五百あまり。
随伴する帝国軍を合わせても二千にも足らない部隊が五個軍団を相手するなど無謀ともいえる。
帝国の幕僚の誰もが無謀な試みだ主張したが、ライザは命令を撤回することはなかった。
ライザ将軍も心の中では幕僚らと同じく、無謀だとわかっていた。
しかし彼には捨て駒にしてもこの戦いに勝算があったのだ。
実は帝都中央に急ぎ集結させている帝国軍、ブラガラに到着するまでの時間稼ぎをするつもりだった。
既に先遣部隊として、二万五千の帝国軍が向かっているので、深淵騎士団には敵を混乱させてくれたらそれで十分だった。
数刻さえもってくれれば、帝国軍が間に合う。
だが、ライザの考えを覆す予想外の事が起きるなど、思ってもいなかった。
深夜にブラガラ地方に深淵騎士団が到着するとその報を聞いた諸王国連合軍はブラガラ城塞に入らせない為、軍団から五千の兵を割り当て、迎撃に当たらせることにした。
しかし、深淵騎士団と帝国軍は到着して早々に少し離れた丘の上に幕営を敷き始めた。
ブラガラ城塞を見下ろす形になる。
その深淵騎士団の行動に不思議には思わなかった。
何せ救援で馬を走らせ続けた結果、深夜の到着となってしまい、休息を取りたいのだろう。
諸王国連合軍も真夜中の攻撃は危険だと判断し一旦迎撃を中止する。
自分達も連戦による疲労から疲れが見え始めていた頃だったので、休息が欲しかった。
深淵騎士団に対峙するように丘の下付近に陣を置いたのだった。
戦いは誰もが夜明けとともに行われると思っていた―――――
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