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そして出会う俺とお前
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しおりを挟むいい大人が泣き疲れて寝てしまった。俺の腕をぎっちり握ったままスヤスヤと寝息を立てるロンバウトを、さてどうしたものかと頭を悩ませた。警備の人に引き渡してもいいんだけど、まぁこれでも公爵なのであまり目立たせるのは良くないだろう。
考えた末に次男であるエリンティウスを呼ぶことにした。こいつの部下らしいし、話をすれば迎えに来てくれるはずだ。声に魔力を乗せて飛ばせば、エリンティウスの耳にしか聞こえない念話となってくれる。
二、三度声を飛ばせばエリンティウスから返答が返ってきて、大きなため息が聞こえた後にロンバウトを迎えに行くと声がした。
同じ敷地内に住んでいるから、すぐにエリンティウスは俺の家に来て音を立てずに部屋へと入ってきた。凄く眠そうでとても申し訳なかった。
「全く、この馬鹿は…。」
「俺もまさか貞操の危機で驚いたわ。」
「なっ……!陛下にチクって飛ばしてしまおうか…。」
「まぁ落ち着いて。とにかく、離れないから剥がすの手伝って欲しいんだ。その後は客室あたりに放り込んでよ。」
「手のかかる上司で本当にすいませんアルディウス。後でよくよく言っておきますからね。効果があるとは思いませんが。」
「………。」
エリンティウスの返答に何も言えなくなってしまったので、早々に引き剥がしにかかる事にしたのだが……案の定と言っていいのか、俺とエリンティウスの力では引き剥がれなかった。
こいつの筋肉はどうなってんだ!一応、これでも俺ってS級の冒険者でハクアに人間のレベルは超えてるって言われてんだけど!
こんな状況が続くと、ハクアに嘘つかれたんじゃないかと思った。こいつが規格外なだけなのかな…。自信無くすなぁ…。
「本当に馬鹿力なんだから!怪我はしていませんねアルディウス。」
「うん、痛くないから大丈夫だと思う。」
「こうなったら兄上を呼ぶべきか?」
「フィリスティウスも忙しいし、迷惑かけたくはないんだけどなぁ…。」
少しの沈黙の後、エリンティウスがまたため息をついた。あっ、これは諦めたかな?眠たそうな目で眠りにつくロンバウトを恨めしそうに睨んだあと、エリンティウスはボスンとベッドに身を投げだした。
あっ、俺のベッドなのに。これは不貞寝だろうか?こんな朝早くに呼び出してしまって申し訳ないね。こうなったらロンバウトが起きるまでこのままで待つしかない。
俺のベッドは大きいから3人で寝ても問題ない。保護者達と俺の体を支える為に作り変えた長年の相棒はギシリと音を立てる。
「……仕方ないから、ロンバウトが起きるまでゆっくりしますか。まだ朝早いし。」
「これはいつになったら起きるんだ。面倒ばかりかけるな、本当に…。」
「暫くは起きないだろうし、エリンティウスも寝ていいぞ?俺はすっかり目が覚めちゃったわ。」
「では、アルディウスに甘えて少し休みます。昨日は仕事が長引いて…ふぁ……。」
「はぇ~、エリンティウスも欠伸ってするんだな。」
「人間ですから欠伸くらいしますよ。しかし、このベッドは寝心地が良い…肌触りも気持ちが良いな。」
「エンデンベル…コハクの故郷で手に入れたんだ。最高級ベッド、羨ましいだろう!……って、寝てる…。」
「…すぴー……。」
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