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第四章 あれ?ヒロインは何人いるの?
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しおりを挟む気がつくと闇だった……。
痛みは……ひいてる?それとも夢落ち?
でも、周りが見えない。
記憶を辿る……。
うーん?
!
思い出した。
確か、兄とデート中に迷惑少女にあって?
……うん。
割とハノエルにしては頑張って頑張って、なんとか勝った?的な感じ?
で、デートを再開して……。
兄とイチャコラ♡していた。
していくつもりだった。
なのに。
何故か?
俺はあの男の腕中にいて……、そうだ!
痛みに気を失った?って感じ?
羽の場所を触られて、ものすごい痛みに悲鳴を上げたんだった。
でもセバスが、たすけようとしてくれて。
そう!あのセバスがやられかけてた!あの忍者なセバスが!
で、背中の服を破かれて……片翼がどうとか、クリストファーが戯けたことを言って?で、ありえない痛みで……気を失った?
いや、もう!
本当に、痛いって言うか、熱いって言うか!
熱湯かぶったような痛みというか!
熱湯かぶったことあるの?って言われたら困るけど……足首にあるんだよ……まあ、それは置いといて。
血が沢山出た気がする。
下に血溜まりがあった……よ?
で、あの言葉を足すと……羽をちぎられた?
引きちぎられたとか、言う?
そりゃ痛いよ!残酷すぎない?
よく、ハノエル漏らさなかったな?って思うよ!
あらたらめて考えたら……少なくても好意を持っている人に対して…ひどくない?
ひどいよね?
公衆の面前で『あんたなんて大っ嫌い!』とか『お前との婚約は破棄する!二度と目の前に現れるな!』って、引っ叩かれるより、ひどくない?
でも、なぜか?
今は痛くない。
ふと、自分を見ると真っ暗闇なのに自分がハッキリと見える。つまり、中から光ってるとかいうのかな?闇に自分だけが浮き上がる。って感じ?手を伸ばせば見えなくなるような暗闇。なのに、手の先まで見える。はっきりと色をともなって。
でも、それ以外はどんなに目をこらしても見えない。
いや、夢落ちということも。
出来たら、クリストファーに邪魔されるとこからが夢落ち希望。
そして、背中を見ると……確かにデートできていたフワカワの服は背中が破かれて、地肌が見えている。つまり、服を破かれたとこは現実?
そして、羽がちゃんと二枚ある。対でちゃんとついている。
引きちぎられたのは気のせい?
擬似的な痛み?気絶落ち?
あー、もう!
考えても考えてもわからないよ!
そもそも、今いる場所がわからないし……。
……全てが夢落ちか、全てがリアルのどちらかしか選択出来ないなら、夢落ち一択ですが。
もうさ!
夢か現実か、はっきりして欲しいものだ。
それに、ハノエルは兄の元に戻りたい。
自分をひっぱたいたら起きないかしら?
そう、いつも通り兄の腕の中で目覚めないかな?
してみる?
パン!
痛い……。
だれ?本当にやるか?って、思ったやつ!
やるでしょう?だって、痛くなかったら夢じゃん?
夢かを確かめるには『思いっきり引っ叩く!』って言うじゃない。
あれ?
違った?
え、つねる?……つねったら痛いじゃん。
………。
気を取り直して!
でもさあ?
この世界はどれだけハノエルに冷たいんだろうか?ありえないよね!
本当に!
うん、よくグレなかったよね。
偉いぞ!ハノエル。
「ヒール」
うん、ほっぺも復活。
いや、なくなったわけじゃないけど。
しかし、独り言増えちゃうよね?
こう、真っ暗だと。
なんか、考えたり、喋ったりしないと闇に溶けてしまいそうなんだもん。
んー?あれ。自分をもう一度見ると、ああ、これうっすら結界張ってるのか。
だから、浮かび上がってるのか。
ハノエルちゃんすごーい。
あの現状が現実だったんなら、あの後は、拐われた?
だって、助け出されたなら。
知ってる天井を見て、『知らない天井だ』って言うと思う。
何故なら中身は春樹だから。
でも、今は『知らない天井だ』も言えない。
だって、天井が見えないんだから。
ちなみに床も見えないし、立ってるのか横になってるのか、浮いてるのか、沈んでるのかもわかりません!
だって、真っ暗闇だもん。
『まっくろくろすけでておいでー!』って囲まれちゃったのかな?
いや、ありえないし。
『闇よ!俺を取り巻き我を隠せ!』なんてことも言った覚えはないし。
セリフなら沢山でてくるよー。
ふふ、腐ってないけど声優だもん。
役は腐りきってましたがね。
……現状、呼んだら出てきそうなやつ、一人だけいるんだよ?
でも、人攫いを呼びたくないわけ!
だって、よんでエロムービー開始されたら嫌じゃん?
なら、闇のがましだよね?
でもだよ?
もし、これが精神だけを暗闇に閉じ込めてハノエルの身体が好きにされていたら!
いや!
いやだ!
絶対、いや!
……だって、避妊なんて考えたりしないよね?
あんな奴の子供なんて欲しくない!
産むしかないのに!
兄の子なら我慢する。怖くても……。でも、それ以外はいや。
だって、ハノエルは男なんだから!
まてまて、冷静になろう。
落ち着こう……って落ち着けるか!
兄と離れてるのが、やばいんだよ……兄は俺の最愛で安定剤で癒しなんだから。
真っ暗に一人はいやだよ。
暗いのはいやなんだ……。
怖いんだよ、兄。
兄様助けて………。
弱気なハノエルが顔を出し始めてしまう前に。
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