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第40話:強制婚約と、氷の公爵様の覚悟
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「異論は、認めん、ですって……!?」
私は、思わず、叫んでいた。
目の前には、厳しい顔の父と、そして、有無を言わせぬ、真剣な眼差しのアレクシス公爵。
完全に、包囲されている。四面楚歌だ。
「お待ちになってくださいまし! 婚約というのは、家と家との、重要な結びつきであると同時に、わたくし個人の、人生を、左右する、重大な問題ですのよ!? それを、こんな、わたくしの意思も、確認せずに、勝手に、決めてしまうなど……!」
「だから、言っているだろう。これは、お前を守るためだと」
アレクシス公爵が、私の言葉を、遮った。
その瞳は、どこまでも、真剣だ。
「宰相ダリウスは、本気で、俺たちを、潰しにかかってくるだろう。その時、お前が、ただの『ヴァインベルク公爵令嬢』でいるのと、俺の『婚約者』でいるのとでは、天と地ほどの、差がある」
「それは……」
「俺の婚約者となれば、お前は、シュヴァルツシルト家の、庇護下に入ることになる。いかに、宰相といえど、この俺の女に、手を出すことは、できん」
彼の女。
その、あまりにも、直接的な言葉に、私の顔が、かあっと、熱くなる。
「だ、だからといって、政略結婚なんて……!」
私が、まだ、食い下がろうとすると。
彼は、ふ、と、その表情を、緩めた。
そして、少しだけ、意地悪そうに、口の端を、吊り上げたのだ。
「それに」
「……それに?」
「こうでもしないと、お前は、いつまで経っても、俺から、逃げようとするだろう?」
「……っ!」
図星だった。
彼の言う通りだ。
私は、心のどこかで、まだ、スローライフへの、未練を、断ち切れずにいた。
いつか、この騒動が、全て終わったら。
彼に、お礼を言って、領地の片隅で、ひっそりと……なんて、甘い考えを、抱いていた。
「お前の、その甘い考えは、全て、お見通しだ」
「……う……」
「だから、これで、いい。俺と、正式に、婚約しろ。そして、もう二度と、俺から、逃げられるなどと、思うな」
それは、まるで、プロポーズのような、言葉。
でも、その実態は、有無を言わせぬ、強制的な、命令だった。
「……ずるいですわ、あなた様」
私は、うなだれて、そう言うのが、精一杯だった。
もう、私に、勝ち目はない。
隣で、父が、満足げに、頷いている。
こうして、私の、二度目の婚約は。
私の、意思とは、全く関係のないところで、あっさりと、決定してしまった。
状況は、もはや、私の、ちっぽけなスローライフ計画など、遥かに、置き去りにして。
国家の、宰相との、全面対決という、とんでもない方向へと、猛スピードで、突き進んでいく。
「わたくしの、平穏な、老後は、一体どこへ……」
私が、頭を抱えて、天を仰ぐと。
隣に立った、アレクシス公爵が、私の肩を、優しく、抱き寄せた。
「安心しろ、イザベラ」
見上げた彼の、横顔。
その瞳には、これから始まる、激しい戦いに向けての、揺るぎない、覚悟の光が、宿っていた。
「お前の望む、平穏な暮らしは、俺が、必ず、この手で、取り戻してやる。……全ての、戦いが、終わった、後でな」
そして、彼は、私の耳元で、囁いた。
「だから、今は、大人しく、俺の隣で、見ていろ。……俺の、妻になる、お前は」
その、力強く、そして、甘い声に。
私の心は、どうしようもなく、揺さぶられて。
(……もう、仕方ないですわね)
この、不器用で、強引で、でも、誰よりも、私を、守ろうとしてくれる、この人の、隣で。
私も、共に、戦うしかないのだと。
腹を、括るしか、なかった。
私たちの、新たな戦いの舞台は、王都。
そう、心に、決めた。
私は、思わず、叫んでいた。
目の前には、厳しい顔の父と、そして、有無を言わせぬ、真剣な眼差しのアレクシス公爵。
完全に、包囲されている。四面楚歌だ。
「お待ちになってくださいまし! 婚約というのは、家と家との、重要な結びつきであると同時に、わたくし個人の、人生を、左右する、重大な問題ですのよ!? それを、こんな、わたくしの意思も、確認せずに、勝手に、決めてしまうなど……!」
「だから、言っているだろう。これは、お前を守るためだと」
アレクシス公爵が、私の言葉を、遮った。
その瞳は、どこまでも、真剣だ。
「宰相ダリウスは、本気で、俺たちを、潰しにかかってくるだろう。その時、お前が、ただの『ヴァインベルク公爵令嬢』でいるのと、俺の『婚約者』でいるのとでは、天と地ほどの、差がある」
「それは……」
「俺の婚約者となれば、お前は、シュヴァルツシルト家の、庇護下に入ることになる。いかに、宰相といえど、この俺の女に、手を出すことは、できん」
彼の女。
その、あまりにも、直接的な言葉に、私の顔が、かあっと、熱くなる。
「だ、だからといって、政略結婚なんて……!」
私が、まだ、食い下がろうとすると。
彼は、ふ、と、その表情を、緩めた。
そして、少しだけ、意地悪そうに、口の端を、吊り上げたのだ。
「それに」
「……それに?」
「こうでもしないと、お前は、いつまで経っても、俺から、逃げようとするだろう?」
「……っ!」
図星だった。
彼の言う通りだ。
私は、心のどこかで、まだ、スローライフへの、未練を、断ち切れずにいた。
いつか、この騒動が、全て終わったら。
彼に、お礼を言って、領地の片隅で、ひっそりと……なんて、甘い考えを、抱いていた。
「お前の、その甘い考えは、全て、お見通しだ」
「……う……」
「だから、これで、いい。俺と、正式に、婚約しろ。そして、もう二度と、俺から、逃げられるなどと、思うな」
それは、まるで、プロポーズのような、言葉。
でも、その実態は、有無を言わせぬ、強制的な、命令だった。
「……ずるいですわ、あなた様」
私は、うなだれて、そう言うのが、精一杯だった。
もう、私に、勝ち目はない。
隣で、父が、満足げに、頷いている。
こうして、私の、二度目の婚約は。
私の、意思とは、全く関係のないところで、あっさりと、決定してしまった。
状況は、もはや、私の、ちっぽけなスローライフ計画など、遥かに、置き去りにして。
国家の、宰相との、全面対決という、とんでもない方向へと、猛スピードで、突き進んでいく。
「わたくしの、平穏な、老後は、一体どこへ……」
私が、頭を抱えて、天を仰ぐと。
隣に立った、アレクシス公爵が、私の肩を、優しく、抱き寄せた。
「安心しろ、イザベラ」
見上げた彼の、横顔。
その瞳には、これから始まる、激しい戦いに向けての、揺るぎない、覚悟の光が、宿っていた。
「お前の望む、平穏な暮らしは、俺が、必ず、この手で、取り戻してやる。……全ての、戦いが、終わった、後でな」
そして、彼は、私の耳元で、囁いた。
「だから、今は、大人しく、俺の隣で、見ていろ。……俺の、妻になる、お前は」
その、力強く、そして、甘い声に。
私の心は、どうしようもなく、揺さぶられて。
(……もう、仕方ないですわね)
この、不器用で、強引で、でも、誰よりも、私を、守ろうとしてくれる、この人の、隣で。
私も、共に、戦うしかないのだと。
腹を、括るしか、なかった。
私たちの、新たな戦いの舞台は、王都。
そう、心に、決めた。
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