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第四十八話:黒幕、登場。
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「ゲオルグ……殿下……!」
その場にいた、誰もが、息を呑んだ。
祭壇の上に、音もなく、現れた、第二王子、ゲオルグ。
その身には、マルクス子爵とは、比べ物にならないほど、濃密で、邪悪な、闇のオーラが、渦巻いていた。
彼は、足元で、力なく、蹲っている、マルクス子爵を、まるで、ゴミでも見るかのように、冷たく、見下ろした。
「やれやれ。これだけの力を与えてやったというのに、この程度も、役に立たぬとは。実に、使えぬ駒であったな」
「ひっ……! げ、ゲオルグ殿下……! お、お助けを……!」
命乞いをする、マルクス子爵。
しかし、ゲオルグは、その声に、耳を貸すこともなく、ただ、指を、軽く、振るった。
すると、マルクス子爵の体は、悲鳴を上げる間もなく、黒い炎に包まれ、塵となって、消滅してしまった。
その、あまりにも、冷酷で、非情な光景に、私たちは、戦慄した。
「さて」
ゲオルグは、何事もなかったかのように、私たちに向き直る。
「お前たちの、その『絆の力』とやら。なかなか、見応えがあったぞ。褒めてやろう」
「その力、我が、新たなる力として、美味しく、吸収させてもらうとしようか」
彼は、心底、楽しそうに、歪んだ笑みを浮かべる。
どうやら、儀式の失敗さえも、彼にとっては、想定内の、ただの余興に過ぎなかったらしい。
そして、彼は、滔々と、語り始めた。
自らの、兄である、アルフォンス殿下に対する、長年の、劣等感と、嫉妬を。
「兄上ばかりが、父上に、愛され! 常に、私の、前を歩き!」
「兄上ばかりが、民からの、人望を集め! 私のことなど、誰も、見ようともしない!」
「許せぬ! この私が、兄上よりも、劣っているなどと、断じて、あってはならぬのだ!」
その、延々と続く、自己中心的な演説。
その、あまりにも、小物感あふれる姿に、私は、内心、ドン引きしていた。
(うわあ……。なんという、面倒くさいタイプ……。逆恨みも、甚だしいですわね……)
隣に立つ、ゼノン様も、心底、うんざりしたように、呟いた。
「……駄犬の遠吠えは、聞き飽きた。さっさと、終わらせるぞ」
その、挑発的な言葉に、ゲオルグの顔が、怒りで、真っ赤に染まる。
「黙れ、アークライトの、成り上がり者が!」
ゲオルグは、絶叫すると、祭壇に残されていた、闇のエネルギーの、すべてを、自らの体へと、取り込み始めた。
彼の体が、黒い光に包まれ、みるみるうちに、巨大化していく。
やがて、その姿は、人の形を、完全に失い、巨大な、翼を持つ、闇の化身へと、変貌した。
その力は、先ほど、私たちが、死闘を繰り広げた、魔獣を、遥かに、凌駕していた。
「さあ、始めようか! 我が、新たなる世界の、幕開けを!」
まずい。
「奇跡」の力を使った、私は、消耗しきっており、もう、指一本、動かせない。
ゼノン様たちも、度重なる戦闘で、疲弊しきっている。
あまりにも、不利な状況。
絶体絶命だ。
誰もが、絶望に、打ちひしがれかけた、その時だった。
破壊された、大広間の天井から、一筋の、眩い光が、差し込んできた。
そして、その光と共に、新たな、援軍が、駆けつけたのだ。
「――セレスティナ! 遅くなって、すまない!」
その、力強い声の主は。
王太子の、正装に身を包んだ、アルフォンス殿下。
そして、彼の隣には、聖なるオーラを、その身に纏った、アメリアちゃんがいた。
その場にいた、誰もが、息を呑んだ。
祭壇の上に、音もなく、現れた、第二王子、ゲオルグ。
その身には、マルクス子爵とは、比べ物にならないほど、濃密で、邪悪な、闇のオーラが、渦巻いていた。
彼は、足元で、力なく、蹲っている、マルクス子爵を、まるで、ゴミでも見るかのように、冷たく、見下ろした。
「やれやれ。これだけの力を与えてやったというのに、この程度も、役に立たぬとは。実に、使えぬ駒であったな」
「ひっ……! げ、ゲオルグ殿下……! お、お助けを……!」
命乞いをする、マルクス子爵。
しかし、ゲオルグは、その声に、耳を貸すこともなく、ただ、指を、軽く、振るった。
すると、マルクス子爵の体は、悲鳴を上げる間もなく、黒い炎に包まれ、塵となって、消滅してしまった。
その、あまりにも、冷酷で、非情な光景に、私たちは、戦慄した。
「さて」
ゲオルグは、何事もなかったかのように、私たちに向き直る。
「お前たちの、その『絆の力』とやら。なかなか、見応えがあったぞ。褒めてやろう」
「その力、我が、新たなる力として、美味しく、吸収させてもらうとしようか」
彼は、心底、楽しそうに、歪んだ笑みを浮かべる。
どうやら、儀式の失敗さえも、彼にとっては、想定内の、ただの余興に過ぎなかったらしい。
そして、彼は、滔々と、語り始めた。
自らの、兄である、アルフォンス殿下に対する、長年の、劣等感と、嫉妬を。
「兄上ばかりが、父上に、愛され! 常に、私の、前を歩き!」
「兄上ばかりが、民からの、人望を集め! 私のことなど、誰も、見ようともしない!」
「許せぬ! この私が、兄上よりも、劣っているなどと、断じて、あってはならぬのだ!」
その、延々と続く、自己中心的な演説。
その、あまりにも、小物感あふれる姿に、私は、内心、ドン引きしていた。
(うわあ……。なんという、面倒くさいタイプ……。逆恨みも、甚だしいですわね……)
隣に立つ、ゼノン様も、心底、うんざりしたように、呟いた。
「……駄犬の遠吠えは、聞き飽きた。さっさと、終わらせるぞ」
その、挑発的な言葉に、ゲオルグの顔が、怒りで、真っ赤に染まる。
「黙れ、アークライトの、成り上がり者が!」
ゲオルグは、絶叫すると、祭壇に残されていた、闇のエネルギーの、すべてを、自らの体へと、取り込み始めた。
彼の体が、黒い光に包まれ、みるみるうちに、巨大化していく。
やがて、その姿は、人の形を、完全に失い、巨大な、翼を持つ、闇の化身へと、変貌した。
その力は、先ほど、私たちが、死闘を繰り広げた、魔獣を、遥かに、凌駕していた。
「さあ、始めようか! 我が、新たなる世界の、幕開けを!」
まずい。
「奇跡」の力を使った、私は、消耗しきっており、もう、指一本、動かせない。
ゼノン様たちも、度重なる戦闘で、疲弊しきっている。
あまりにも、不利な状況。
絶体絶命だ。
誰もが、絶望に、打ちひしがれかけた、その時だった。
破壊された、大広間の天井から、一筋の、眩い光が、差し込んできた。
そして、その光と共に、新たな、援軍が、駆けつけたのだ。
「――セレスティナ! 遅くなって、すまない!」
その、力強い声の主は。
王太子の、正装に身を包んだ、アルフォンス殿下。
そして、彼の隣には、聖なるオーラを、その身に纏った、アメリアちゃんがいた。
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