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第二十三話 世論戦争:悪役令嬢、スキャンダルに強い(悪名は盾)
宰相府の門前は、怒号と罵声の嵐に包まれていた。 数百人、いや千人近い群衆が押し寄せ、プラカードを掲げて叫んでいる。
「言葉の自由を!」 「魔女リディアを追放しろ!」 「賢者様に従え!」
彼らの目は血走り、どこか焦点が定まっていない。 『沈黙の賢者』の手先がばら撒いた扇動ビラと、巧みな演説によって、正義感を暴走させられているのだ。 石つぶてや腐った卵が、アシュ様の張った透明な結界(シールド)に当たって弾ける。
「……排除する」
アシュ様の瞳から、光が消えた。 彼は右手をゆっくりと持ち上げる。その掌に、極大の氷魔法が収束していく。
「これ以上、君を侮辱させるわけにはいかない。全員、氷像にして広場に飾ってやる」
「待ってください、アシュ様!」
私は慌てて彼の手を掴み、押し下げた。 アシュ様の腕が、怒りで微かに震えている。
「彼らは操られているだけです。ここで力を使えば、それこそ敵の思う壺ですわ。『ほら見ろ、やはり宰相は暴君だ』って、格好の宣伝材料にされてしまいます」
「だが、君が傷つくリスクを放置することは非合理的だ」
「傷つきませんよ。……私を誰だと思っているんです?」
私はニヤリと笑い、扇子をパチンと鳴らした。
「私は『鉄薔薇』のリディア・エルヴァイン。社交界の荒波を、悪名だけで泳ぎ切ってきた女ですわ。……こういう『逆風』こそ、一番高く飛べるチャンスなんです」
私はアシュ様の結界から一歩踏み出し、屋敷のバルコニーの最前列に立った。 アシュ様が「リディア!」と叫ぶが、私は手で制す。
私の姿を見つけた群衆が、一斉に殺気立った。
「出たぞ、魔女だ!」 「石を投げろ!」
無数の飛来物が迫る。 しかし、私は眉一つ動かさず、懐から拡声の魔導具を取り出した。
「――お黙りなさい!!」
私の声が、魔力によって増幅され、雷鳴のように轟いた。 ビリビリと空気が震え、群衆が一瞬ひるんで動きを止める。 石が私の足元に転がったが、私はそれをヒールで蹴飛ばした。
「朝から大きな声で、ご苦労様ですこと。……でも、少し勉強不足ではありませんか? 私が『言葉を奪う魔女』ですって?」
私はバルコニーの手すりに寄りかかり、わざとらしくため息をついた。
「もし私が本当に、あなたたちの言うような恐ろしい魔女なら……今頃あなたたちは全員、言葉を奪われるどころか、カエルにでも変えられて、池の中で合唱しているところですわよ?」
挑発的なジョーク。 群衆の一部から、戸惑いのようなざわめきが起きる。 「確かに……」「何もされないぞ?」という空気が生まれる。
「私が奪ったのは、言葉の自由ではありません。『無責任な嘘』をつく自由だけです」
私は扇子で群衆を指し示した。
「あなたたちの信じる『賢者』様とやらは、どこにいらっしゃいますの? 顔も出さず、名前も明かさず、安全な場所から綺麗な言葉だけを投げかけてくる。……そんな卑怯者の言葉を、あなたたちは信じるのですか?」
「う、うるさい!」 「賢者様は我々の救世主だ!」
扇動者が叫び返す。しかし、その声には先ほどまでの勢いがない。 私は畳み掛ける。
「私はここにいます。顔を晒し、名前を名乗り、自分の言葉であなたたちと向き合っています。……さあ、選びなさい。顔のない正義か、泥を被ってでも前に立つ悪役か。どちらが『人間らしい』かを!」
私の問いかけに、群衆が静まり返る。 悪名は盾になる。 「悪役令嬢」というレッテルを貼られているからこそ、私は誰よりも本音で語ることができるのだ。
その時。 私の背後から、一人の少女が進み出た。 白いドレスに身を包んだ、ミレイユ様だ。 彼女は怯えながらも、私の隣にしっかりと立った。
「……皆さん、聞いてください」
透き通るような声が、広場に響く。
「せ、聖女様だ!」 「ミレイユ様がいるぞ!」
群衆が色めき立つ。教会の宣伝では「ミレイユはリディアに監禁されている」ことになっていたからだ。
「私は監禁なんてされていません。……リディア様に、助けていただいたのです」
ミレイユ様は胸に手を当て、涙ながらに語り始めた。
「教会は……賢者様の手下たちは、私を殺そうとしました。私が『真実』を知ってしまったからです。彼らは王太子殿下を魔法で操り、この国を乗っ取ろうとしていました」
彼女は自分の首元を見せた。 そこには、かつて襲撃された際にかすった傷跡が、まだ薄く残っていた。
「リディア様は、そんな私を命がけで守ってくれました。……彼女は言葉を奪う魔女なんかじゃありません。誰よりも言葉を大切にし、約束を守る、誇り高い方です!」
聖女の証言。 そして、その目に見える傷跡。 民衆の感情が一気に反転するのがわかった。
「……教会が、聖女様を殺そうとした?」 「じゃあ、ビラに書いてあることは嘘なのか?」 「俺たちは騙されていたのか……?」
扇動者たちが慌てて「違う! それは偽物だ!」と叫ぶが、もう遅い。 民衆の怒りの矛先は、リディアから、姿を見せない「賢者」と、扇動者たちへと向かい始めていた。
「……見事だ」
いつの間にか隣に来ていたアシュ様が、感嘆の息を漏らした。
「論理による説得(リディア)と、感情への訴求(ミレイユ)。完璧な役割分担だ。……君は、世論操作の天才か?」
「人聞きが悪いですわ。ただの『事実陳列罪』です」
私がウィンクすると、アシュ様は小さく笑い、私の腰を抱き寄せた。
「君が悪役なら、私はその共犯者だな。……群衆の前でこうするのも、悪くない」
彼はそう言うと、バルコニーの上で堂々と私の額にキスをした。
「きゃぁっ!?」
民衆から「おおおお!」という歓声(と一部の悲鳴)が上がる。 これで「リディア=愛のない魔女」説も完全に粉砕された。 見せつけすぎです、アシュ様! 心臓が持ちません!
群衆は蜘蛛の子を散らすように帰り始め、扇動者たちは逃げ出した。 私たちの完全勝利――かに思えた。
その時だった。
ゴゴゴゴゴ……。
地鳴りのような音が響き、急に空が暗くなった。 真昼だというのに、太陽が黒い雲に覆われ、世界が闇に包まれる。
「な、なんだ!?」 「日食か!?」
民衆がパニックになりかけた瞬間。 雲が割れ、天から一条の光が降り注いだ。 その光は王宮の尖塔を照らし出し、空中に巨大な黄金の文字を浮かび上がらせた。
『神託(オラクル)』
荘厳な、脳に直接響くような声が、王都中に降り注いだ。
『愚かなる子らよ。悪魔の甘言に耳を貸すな』
それは、威厳に満ちた、絶対的な響きを持っていた。 逃げ帰ろうとしていた民衆が、その場に平伏し始める。
『宰相アシュと魔女リディアは、偽りの契約によって世界を穢す者なり。彼らの言葉は毒であり、彼らの愛は呪いである』
光の文字が形を変え、恐ろしい予言を刻む。
『災厄を避けたくば、魔女を裁け。さもなくば、七日の後に王都は炎に包まれるであろう』
「……な、なんだって……?」 「神様のお告げだ……!」 「やっぱり、リディア様は魔女なのか……?」
せっかく沈静化した民衆の心が、再び恐怖によって揺れ動く。 神託。 この信心深い国において、それは王命よりも重い、絶対的な決定事項だ。
「……やりやがったな」
アシュ様が空を睨みつける。 その左手の指輪が、激しく赤く明滅している。
「あの光……神の力ではない。大規模な光魔法と音響魔法の複合術式だ。……だが、出力が桁違いだ。王都全体の魔力をハッキングしている」
「つまり、これも『賢者』の演出ですの?」
「ああ。民衆を扇動するのに失敗したから、今度は『神』を騙って脅しに来たわけだ。……どこまでも卑劣な手を使う」
アシュ様の体から、冷たい殺気が溢れ出す。
「神託による死刑宣告か。……面白い。神が相手なら、法廷ではなく戦場で引きずり下ろすまでだ」
しかし、状況は最悪だ。 民衆は恐怖に支配されやすい。 「七日後に王都が燃える」と脅されれば、保身のために私を差し出そうとする動きが必ず出てくる。 さっきまでの「リディア様万歳」ムードが一変、再び私たちは「人類の敵」に逆戻りだ。
私は空に浮かぶ黄金の文字を睨みつけた。
「……神託、ですって?」
ふざけないで。 神様がそんな、安っぽい脅迫状を送ってくるわけがない。 これは、言葉に対する最大の冒涜だ。
「アシュ様。私、決めました」
私は拳を握りしめ、宣言した。
「あの偽の神様を、法廷に引きずり出しましょう。神託が『言葉』である以上、そこには必ず『嘘』か『真実』があるはずです」
「……神を監査するつもりか?」
「ええ。宰相府と誓約院の全権限を使って、あの光の文字の『成分分析』をしてやりますわ!」
アシュ様は一瞬きょとんとして、それから獰猛な笑みを浮かべた。
「……クックック。神への監査請求か。前代未聞だ。だが、最高に合理的だ」
彼は私の肩を抱いた。
「いいだろう。七日間の猶予があるなら十分だ。……神の化けの皮を剥ぎ、その中身(賢者)を引きずり出してやる」
空には偽りの神託。 地上には混乱する民衆。 でも、私たちの心は折れていない。 神様? 賢者様? 悪いけど、契約のプロ夫婦を敵に回したことを、天国で後悔なさい!
私たちは嵐の前の静けさの中、最後の戦いに向けて走り出した。
「言葉の自由を!」 「魔女リディアを追放しろ!」 「賢者様に従え!」
彼らの目は血走り、どこか焦点が定まっていない。 『沈黙の賢者』の手先がばら撒いた扇動ビラと、巧みな演説によって、正義感を暴走させられているのだ。 石つぶてや腐った卵が、アシュ様の張った透明な結界(シールド)に当たって弾ける。
「……排除する」
アシュ様の瞳から、光が消えた。 彼は右手をゆっくりと持ち上げる。その掌に、極大の氷魔法が収束していく。
「これ以上、君を侮辱させるわけにはいかない。全員、氷像にして広場に飾ってやる」
「待ってください、アシュ様!」
私は慌てて彼の手を掴み、押し下げた。 アシュ様の腕が、怒りで微かに震えている。
「彼らは操られているだけです。ここで力を使えば、それこそ敵の思う壺ですわ。『ほら見ろ、やはり宰相は暴君だ』って、格好の宣伝材料にされてしまいます」
「だが、君が傷つくリスクを放置することは非合理的だ」
「傷つきませんよ。……私を誰だと思っているんです?」
私はニヤリと笑い、扇子をパチンと鳴らした。
「私は『鉄薔薇』のリディア・エルヴァイン。社交界の荒波を、悪名だけで泳ぎ切ってきた女ですわ。……こういう『逆風』こそ、一番高く飛べるチャンスなんです」
私はアシュ様の結界から一歩踏み出し、屋敷のバルコニーの最前列に立った。 アシュ様が「リディア!」と叫ぶが、私は手で制す。
私の姿を見つけた群衆が、一斉に殺気立った。
「出たぞ、魔女だ!」 「石を投げろ!」
無数の飛来物が迫る。 しかし、私は眉一つ動かさず、懐から拡声の魔導具を取り出した。
「――お黙りなさい!!」
私の声が、魔力によって増幅され、雷鳴のように轟いた。 ビリビリと空気が震え、群衆が一瞬ひるんで動きを止める。 石が私の足元に転がったが、私はそれをヒールで蹴飛ばした。
「朝から大きな声で、ご苦労様ですこと。……でも、少し勉強不足ではありませんか? 私が『言葉を奪う魔女』ですって?」
私はバルコニーの手すりに寄りかかり、わざとらしくため息をついた。
「もし私が本当に、あなたたちの言うような恐ろしい魔女なら……今頃あなたたちは全員、言葉を奪われるどころか、カエルにでも変えられて、池の中で合唱しているところですわよ?」
挑発的なジョーク。 群衆の一部から、戸惑いのようなざわめきが起きる。 「確かに……」「何もされないぞ?」という空気が生まれる。
「私が奪ったのは、言葉の自由ではありません。『無責任な嘘』をつく自由だけです」
私は扇子で群衆を指し示した。
「あなたたちの信じる『賢者』様とやらは、どこにいらっしゃいますの? 顔も出さず、名前も明かさず、安全な場所から綺麗な言葉だけを投げかけてくる。……そんな卑怯者の言葉を、あなたたちは信じるのですか?」
「う、うるさい!」 「賢者様は我々の救世主だ!」
扇動者が叫び返す。しかし、その声には先ほどまでの勢いがない。 私は畳み掛ける。
「私はここにいます。顔を晒し、名前を名乗り、自分の言葉であなたたちと向き合っています。……さあ、選びなさい。顔のない正義か、泥を被ってでも前に立つ悪役か。どちらが『人間らしい』かを!」
私の問いかけに、群衆が静まり返る。 悪名は盾になる。 「悪役令嬢」というレッテルを貼られているからこそ、私は誰よりも本音で語ることができるのだ。
その時。 私の背後から、一人の少女が進み出た。 白いドレスに身を包んだ、ミレイユ様だ。 彼女は怯えながらも、私の隣にしっかりと立った。
「……皆さん、聞いてください」
透き通るような声が、広場に響く。
「せ、聖女様だ!」 「ミレイユ様がいるぞ!」
群衆が色めき立つ。教会の宣伝では「ミレイユはリディアに監禁されている」ことになっていたからだ。
「私は監禁なんてされていません。……リディア様に、助けていただいたのです」
ミレイユ様は胸に手を当て、涙ながらに語り始めた。
「教会は……賢者様の手下たちは、私を殺そうとしました。私が『真実』を知ってしまったからです。彼らは王太子殿下を魔法で操り、この国を乗っ取ろうとしていました」
彼女は自分の首元を見せた。 そこには、かつて襲撃された際にかすった傷跡が、まだ薄く残っていた。
「リディア様は、そんな私を命がけで守ってくれました。……彼女は言葉を奪う魔女なんかじゃありません。誰よりも言葉を大切にし、約束を守る、誇り高い方です!」
聖女の証言。 そして、その目に見える傷跡。 民衆の感情が一気に反転するのがわかった。
「……教会が、聖女様を殺そうとした?」 「じゃあ、ビラに書いてあることは嘘なのか?」 「俺たちは騙されていたのか……?」
扇動者たちが慌てて「違う! それは偽物だ!」と叫ぶが、もう遅い。 民衆の怒りの矛先は、リディアから、姿を見せない「賢者」と、扇動者たちへと向かい始めていた。
「……見事だ」
いつの間にか隣に来ていたアシュ様が、感嘆の息を漏らした。
「論理による説得(リディア)と、感情への訴求(ミレイユ)。完璧な役割分担だ。……君は、世論操作の天才か?」
「人聞きが悪いですわ。ただの『事実陳列罪』です」
私がウィンクすると、アシュ様は小さく笑い、私の腰を抱き寄せた。
「君が悪役なら、私はその共犯者だな。……群衆の前でこうするのも、悪くない」
彼はそう言うと、バルコニーの上で堂々と私の額にキスをした。
「きゃぁっ!?」
民衆から「おおおお!」という歓声(と一部の悲鳴)が上がる。 これで「リディア=愛のない魔女」説も完全に粉砕された。 見せつけすぎです、アシュ様! 心臓が持ちません!
群衆は蜘蛛の子を散らすように帰り始め、扇動者たちは逃げ出した。 私たちの完全勝利――かに思えた。
その時だった。
ゴゴゴゴゴ……。
地鳴りのような音が響き、急に空が暗くなった。 真昼だというのに、太陽が黒い雲に覆われ、世界が闇に包まれる。
「な、なんだ!?」 「日食か!?」
民衆がパニックになりかけた瞬間。 雲が割れ、天から一条の光が降り注いだ。 その光は王宮の尖塔を照らし出し、空中に巨大な黄金の文字を浮かび上がらせた。
『神託(オラクル)』
荘厳な、脳に直接響くような声が、王都中に降り注いだ。
『愚かなる子らよ。悪魔の甘言に耳を貸すな』
それは、威厳に満ちた、絶対的な響きを持っていた。 逃げ帰ろうとしていた民衆が、その場に平伏し始める。
『宰相アシュと魔女リディアは、偽りの契約によって世界を穢す者なり。彼らの言葉は毒であり、彼らの愛は呪いである』
光の文字が形を変え、恐ろしい予言を刻む。
『災厄を避けたくば、魔女を裁け。さもなくば、七日の後に王都は炎に包まれるであろう』
「……な、なんだって……?」 「神様のお告げだ……!」 「やっぱり、リディア様は魔女なのか……?」
せっかく沈静化した民衆の心が、再び恐怖によって揺れ動く。 神託。 この信心深い国において、それは王命よりも重い、絶対的な決定事項だ。
「……やりやがったな」
アシュ様が空を睨みつける。 その左手の指輪が、激しく赤く明滅している。
「あの光……神の力ではない。大規模な光魔法と音響魔法の複合術式だ。……だが、出力が桁違いだ。王都全体の魔力をハッキングしている」
「つまり、これも『賢者』の演出ですの?」
「ああ。民衆を扇動するのに失敗したから、今度は『神』を騙って脅しに来たわけだ。……どこまでも卑劣な手を使う」
アシュ様の体から、冷たい殺気が溢れ出す。
「神託による死刑宣告か。……面白い。神が相手なら、法廷ではなく戦場で引きずり下ろすまでだ」
しかし、状況は最悪だ。 民衆は恐怖に支配されやすい。 「七日後に王都が燃える」と脅されれば、保身のために私を差し出そうとする動きが必ず出てくる。 さっきまでの「リディア様万歳」ムードが一変、再び私たちは「人類の敵」に逆戻りだ。
私は空に浮かぶ黄金の文字を睨みつけた。
「……神託、ですって?」
ふざけないで。 神様がそんな、安っぽい脅迫状を送ってくるわけがない。 これは、言葉に対する最大の冒涜だ。
「アシュ様。私、決めました」
私は拳を握りしめ、宣言した。
「あの偽の神様を、法廷に引きずり出しましょう。神託が『言葉』である以上、そこには必ず『嘘』か『真実』があるはずです」
「……神を監査するつもりか?」
「ええ。宰相府と誓約院の全権限を使って、あの光の文字の『成分分析』をしてやりますわ!」
アシュ様は一瞬きょとんとして、それから獰猛な笑みを浮かべた。
「……クックック。神への監査請求か。前代未聞だ。だが、最高に合理的だ」
彼は私の肩を抱いた。
「いいだろう。七日間の猶予があるなら十分だ。……神の化けの皮を剥ぎ、その中身(賢者)を引きずり出してやる」
空には偽りの神託。 地上には混乱する民衆。 でも、私たちの心は折れていない。 神様? 賢者様? 悪いけど、契約のプロ夫婦を敵に回したことを、天国で後悔なさい!
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