追放された悪役令嬢は、氷の辺境伯に何故か過保護に娶られました ~今更ですが、この温もりは手放せません!?~

放浪人

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第三幕:過去の影、新たな運命の鍛造

第21話:新たな誓いと未来への序章

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父ヴァレリウス公爵がグレイロック城を去った後、私はカシアン様の執務室を訪れた。彼に、父との会話の全てを報告するためだ。

「……そうか。ヴァレリウス公も、ようやく真実に気づいたのだな」

私の話を黙って聞いていたカシアン様は、静かにそう言った。

「はい。そして、私は、過去との決別を告げてまいりました」

「……後悔はないか?」

「ございません。むしろ、心が晴れ晴れとしておりますわ。これでようやく、私は前を向いて歩き出せます」

私の言葉に、カシアン様は満足そうに頷いた。

「それがいい。お前は、過去に縛られるべき人間ではない」

「カシアン様……私は、あなたと出会えて、本当に幸せです。あなたが私を信じ、支えてくださらなければ、今の私はありませんでした」

「……礼には及ばんと言ったはずだ。俺は、ただ、お前という人間を正しく評価したに過ぎない」

彼はぶっきらぼうにそう言ったが、その瞳は優しく私を見つめている。

「カシアン様、改めて、私と夫婦として、このグレイウォールで共に生きてはいただけませんか? 政略でも、世継ぎのためでもなく、ただ、あなたのお側にいたいのです」

私は、勇気を出して、自分の本当の気持ちを伝えた。彼の答えを聞くのが少し怖かったが、もう自分の心に嘘はつきたくなかった。

カシアン様は、私の言葉に少し驚いたような顔をしたが、すぐに、深い愛情を込めた眼差しで私を見つめ返した。

「……セラフィナ。俺も、同じ気持ちだ。お前と共に、この地で生きていきたい。お前は、俺にとって、かけがえのない存在だ」

彼の言葉は、私の心を温かく満たした。私たちは、お互いの気持ちを確かめ合い、そして、新たな誓いを立てた。それは、どんな困難も二人で乗り越え、未来を共に築いていくという、固い誓いだった。

その日を境に、私たちの関係はより一層深まった。カシアン様は、以前にも増して私を大切にし、愛情を注いでくれるようになった。私も、彼を心から信頼し、支えたいと思うようになった。

グレイロック城の家臣たちも、そんな私たちを温かく見守ってくれた。城の中には、以前のようなよそよそしい空気はなくなり、和やかで家庭的な雰囲気が漂うようになった。

イゾルデとアラリック王子の「ざまぁ」は、まだ終わってはいない。彼らは王都でその罪を裁かれ、相応の罰を受けることになるだろう。しかし、それはもう、私たちにとって重要なことではなかった。

私たちの未来は、このグレイウォールにある。この厳しくも美しい土地で、愛する人と共に、新しい歴史を刻んでいくのだ。

悪役令嬢セラフィナの物語は、ここで終わりを告げた。そして、カシアン・グレイウォールの妻、セラフィナの新たな物語が、今、始まろうとしていた。それは、希望に満ちた、輝かしい未来への序章だった。
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