緊急! 超獣鋼猟 ウイークエンダー・ラビット ~パーフェクト朱墨の山~

リューガ

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20.オズバーン団長

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 スゴイや!
 この団長、度胸があるね。
 目や鼻だちがシュッと、ととのってる。その顔形がわかる。
 恐怖に飲み込まれたなら、顔なんかクシャクシャになるよ。
 いまも泣いてる、おじさまのように。
「シロドロンド騎士団長、アーリン アルジャノン オズバーンです」
 対する朱墨ちゃんも、キチッとしてカッコいい。
「百万山比咩神社、陰司宮B小隊ホクシン・フォクシス隊長、九尾 朱墨です」
 ヒャクマンサンヒメジンジャ、カゲツカサグウBショウタイ。
 久しぶりに聞いたよ。この肩書き。
「私のような下賎なもの……のような謙遜はいらないですね?」
 アーリンくん、一瞬キツネにつままれたような顔になったけど。
「そうですね」
 頭を下げてそう答えた。
 落ち着いた感じでよかった……。
 私は、説明をしよう。
「これを見れば、ボルケーナ先輩が何に情熱をかたむけたかが、わかると思います」
 全自動こん棒修理マシンから、機械の腕が伸びてくる。
 おれた、こん棒の破片をコンテナからつかみだす。
 その瞬間、ちなまぐさい匂いを感じたような気がした。
 きっと気のせい。
 でも、背筋に一瞬震えが走った。
 センサーに見ぬかれた、こん棒のおれた仲間。
 地球に落とされて真っ二つに折れたそれを、これから直すよ。
「先輩が力を借りたのは、ウルシ漆器です。
 隣の市の名産品なんです。
 この地域の子どもなら、一度は見学をするから、説明できると思いますよ。
 アバウトになりますが、そこは許してください」
 周りに小さな機械腕がたくさん伸びてくる部屋へもっていく。
 くるくる回る小さな電動やすりが、割れ目の木バリを取っていく。
「さ、佐竹さん、質問があります」
 おつきの男の人が、声をかけてきた。
 私の名前に,,さん,,をつけるのさえ、迷ったような声。
「ウルシとは、なんですか」
 おびえた声だよ。
 聞いた騎士団員から、ギョッとしたような、とがめるような視線が彼にふりそそぐ。
 さみしい。質問できる人にできないなんて。
 こんなものが礼節であっていいわけがない。
 この人たちから、おびえを取りのぞくには、どうしたらいいんだろう。
 まずは、声に応えよう。
「木の名前です。皮に傷をつけると樹液が取れます。
 それを木のお椀などにぬって、丈夫で美しい漆器にします。
 この樹液や木そのものには毒があって、触れるとかぶれます」
 表面にある汚れや飾りが、とれていく。
 赤黒いシミ。
 ブラシが削り落す。
 あれは、武器として使ったあとかもしれない。
 数日おいたハンターの血が、あんな感じだった。
 それもMCOを込めるのに必要だと、考えたのかな。
 戦争で使ったこん棒を、お寺に奉納する。
 確かにありそう。
 表面にならぶ突起からも汚れが落ちて、白い色が見えた。
 あれは、歯かな。人間の歯かな。
 倒した敵の歯を、こん棒につける。
 どこかの国のこん棒に、そんな作り方があったと思う。

 ……こわい!
 ドリルが突起の根元をけずって、小さな手が引き抜いていく。
 こん棒の表面からは、汚れとはべつに、液剤を吹きかけながら薄い長いものがはがされていく。
 お札かな。
 お札や歯、らしきものは、別の部屋へ運ばれて洗浄される。
 こん棒は、きれいな木目を見せはじめた。
 二つの間に、茶色い粘液がぬられていく。
「あのネバネバしたものが、ウルシです。
 本来ならウルシがかわくのに、数日かかります」
 こん棒が、ベルトコンベアで時間加速ルームへ運ばれる。
「乾かすのを一気に進めるのが、時間加速ルーム。ボルケーナ先輩の力です」
 扉が閉まり、メリーオルゴールのようなシンプルなメロディが流れた。
 ベビーベットの上でクルクル回るおもちゃのように、ポロンポロンと。
 ベルトコンベアが戻ってくると、こん棒は一つになっていた。
 割れ目は、本来長い時間がかかるはずの黒さでくっついている。
 再び機械腕が動きだす。
 小さなカンナで、表面を削っていくの。
 するすると、カンナクズが流れていく。
 次に現れたのは、薄い黒いリボン。
 くるくると巻き付いていく。
「あの黒いリボンは、炭素繊維です。
 もとより丈夫にしてくれますよ」
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