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この小さな冒険者カード一枚あるのとないのとで、世界は一変する。
自由に階段を上り下り出来るし、地上で行うような依頼を受ければ外の世界にも出ることが出来るんだ。
外に──地上に──。
「よし、それじゃあ早速だが、ひとつ仕事を受けてくれねえかな」
「え、仕事?」
「あぁ、そう難しい仕事じゃねえ。ただのお使いだ」
お使いクエストか。まぁゲームでも最初はそんなのばっかりだったし。
「了解した。で、依頼内容は?」
「まぁまぁ慌てんな。今用意するから、そうだな……メサヤ、ギルドのロビーで依頼を受ける時の流れとか教えてやってくれ」
「分かりました。ではお二人とも、一階に行きましょうか」
「はい」「はいっ」
一階に下りてロビーに行く前に、別室でもう一つの報酬である金を貰った。
金はギルドに預けることが出来るらしい。
「お預かりした金額はギルドカードに記録されます。司祭のカードをご覧になったことは?」
「あぁ、あります。ってか生臭って司祭だったんですか?」
「生臭? あぁ、エルヴァン司祭のことですね」
生臭でしっかり通じるあたり、ギルドでの扱いもそんなもんなんだろう。
「ランク……としては司祭です。他の職業と違って、聖職者は教会に属しています。そこで階級分けもされるんですよ」
「階級って、例えばどう分けられるんです?」
「下から、見習い神官、神官……次が神父とシスターですが、ここは男女で言い方が変わるだけで、階級は同じです。次が助祭、そして司祭、高司祭となります」
「……上位クラス!?」
え、神父って……実は凄い?
いつも馬鹿みたいに「俺様は一流の冒険者だったんだじぇー」って言ってたけど、本当だったとか?
「あ、それでですね。お金を預けられますと、カード裏面の名前の下にその金額が浮かび上がります」
「預けている金額……生臭のカードにあったの、151だった」
「……ひゃ、ひゃくごじゅういち……エルってことですね」
百=銀貨一枚だ。
地下三階でも一日十エルはないとまともに飯は食えない。
子供たちの人数を考えると、二日分の食費にもならないな……。
どことなくメサヤさんも同情するような目で明後日の方角を見ていた。
ん? そういや生臭どこ行ったんだ?
「セシリア、生臭どこいったか知らないか?」
「ん、うえ。まだ」
「ギルドマスターとご一緒なのでしょう。このお金、どうされます? 持ち歩くには危険ですが」
「そう、だな。俺と彼女に半額ずつ……セシリアは預けるか?」
「んー……うぅ」
カードを見つめて、それからメサヤさんが持つ巾着を見た。
金貨十五枚なので、巾着は大きくはない。だけど大金だ。
地下三階の町では大銅貨すら大金に見える奴がいるぐらいだからな。
「分からないなら預けとこうぜ」
「はいっ」
「全額でよろしいです? いろいろ買い揃えたりするものもあるでしょう?」
「買い……あぁそうか」
本格的にダンジョンに籠るなら、野宿に備えていろいろ買っておきたいな。
せっかく地下一階まで自由に出入りできるようになるんだ、三階じゃなくてここで多少質のいいものを揃えよう。
「金なら俺様に預けてある分もあるだろう。ほれ、持ってきてるから、こっちの半分を預けとけ。残りはほら、いろいろ買わなきゃなんねえだろ」
と神父が登場。
「お、おう。用意周到じゃねえか」
「へっ、まぁな。たぶんこうなるんじゃねえかなぁっと思ってよぉ。俺もいつまでもこのキンキタキラしたもん隠しておくのも、心労がな……」
いやまぁ、封印魔法だっけ? それ使ってるつっても、キンキラキラは確かに心臓に悪かっただろうな。
神父は巾着に入れた金と、裸の金を俺に渡す。俺はそれをメサヤさんに渡して、ギルドで預かってもらうよう手続きをして貰った。
「ではこちらへ。ロビーで行えることのご説明もしますので」
自由に階段を上り下り出来るし、地上で行うような依頼を受ければ外の世界にも出ることが出来るんだ。
外に──地上に──。
「よし、それじゃあ早速だが、ひとつ仕事を受けてくれねえかな」
「え、仕事?」
「あぁ、そう難しい仕事じゃねえ。ただのお使いだ」
お使いクエストか。まぁゲームでも最初はそんなのばっかりだったし。
「了解した。で、依頼内容は?」
「まぁまぁ慌てんな。今用意するから、そうだな……メサヤ、ギルドのロビーで依頼を受ける時の流れとか教えてやってくれ」
「分かりました。ではお二人とも、一階に行きましょうか」
「はい」「はいっ」
一階に下りてロビーに行く前に、別室でもう一つの報酬である金を貰った。
金はギルドに預けることが出来るらしい。
「お預かりした金額はギルドカードに記録されます。司祭のカードをご覧になったことは?」
「あぁ、あります。ってか生臭って司祭だったんですか?」
「生臭? あぁ、エルヴァン司祭のことですね」
生臭でしっかり通じるあたり、ギルドでの扱いもそんなもんなんだろう。
「ランク……としては司祭です。他の職業と違って、聖職者は教会に属しています。そこで階級分けもされるんですよ」
「階級って、例えばどう分けられるんです?」
「下から、見習い神官、神官……次が神父とシスターですが、ここは男女で言い方が変わるだけで、階級は同じです。次が助祭、そして司祭、高司祭となります」
「……上位クラス!?」
え、神父って……実は凄い?
いつも馬鹿みたいに「俺様は一流の冒険者だったんだじぇー」って言ってたけど、本当だったとか?
「あ、それでですね。お金を預けられますと、カード裏面の名前の下にその金額が浮かび上がります」
「預けている金額……生臭のカードにあったの、151だった」
「……ひゃ、ひゃくごじゅういち……エルってことですね」
百=銀貨一枚だ。
地下三階でも一日十エルはないとまともに飯は食えない。
子供たちの人数を考えると、二日分の食費にもならないな……。
どことなくメサヤさんも同情するような目で明後日の方角を見ていた。
ん? そういや生臭どこ行ったんだ?
「セシリア、生臭どこいったか知らないか?」
「ん、うえ。まだ」
「ギルドマスターとご一緒なのでしょう。このお金、どうされます? 持ち歩くには危険ですが」
「そう、だな。俺と彼女に半額ずつ……セシリアは預けるか?」
「んー……うぅ」
カードを見つめて、それからメサヤさんが持つ巾着を見た。
金貨十五枚なので、巾着は大きくはない。だけど大金だ。
地下三階の町では大銅貨すら大金に見える奴がいるぐらいだからな。
「分からないなら預けとこうぜ」
「はいっ」
「全額でよろしいです? いろいろ買い揃えたりするものもあるでしょう?」
「買い……あぁそうか」
本格的にダンジョンに籠るなら、野宿に備えていろいろ買っておきたいな。
せっかく地下一階まで自由に出入りできるようになるんだ、三階じゃなくてここで多少質のいいものを揃えよう。
「金なら俺様に預けてある分もあるだろう。ほれ、持ってきてるから、こっちの半分を預けとけ。残りはほら、いろいろ買わなきゃなんねえだろ」
と神父が登場。
「お、おう。用意周到じゃねえか」
「へっ、まぁな。たぶんこうなるんじゃねえかなぁっと思ってよぉ。俺もいつまでもこのキンキタキラしたもん隠しておくのも、心労がな……」
いやまぁ、封印魔法だっけ? それ使ってるつっても、キンキラキラは確かに心臓に悪かっただろうな。
神父は巾着に入れた金と、裸の金を俺に渡す。俺はそれをメサヤさんに渡して、ギルドで預かってもらうよう手続きをして貰った。
「ではこちらへ。ロビーで行えることのご説明もしますので」
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