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電気くん討伐に失敗した紅の旅団一行は、転移魔法で迷宮都市へと引き返した。
山に入った時には十四人いた。電気くんの下に到着したのは十人。四人が滑落やモンスターの襲撃で命を落としている。
だが今は八人。二人は電気くんの牙によって命を落とした。
「バーロン……兄はガッカリしたぞ。まさか仕留めそこなうとは」
「スティアン兄さんこそ、何故雑魚メンバーを僕に付けたのですか。古代獣は決して侮ってはいけない相手です。それなのにたった一撃で死ぬような奴らなんて……」
「確かに精鋭部隊ではない。しかし未熟なメンバーで仕留めるからこそ、お前も名声を得られるというもの。まぁ失敗したのなら仕方がない」
バーロン・フォルオーゲスト。
紅の旅団リーダーであるスティアン・フォルオーゲストの弟にして、侯爵家の三男坊だ。
幼少期から魔法の才があり、更には貴族家の生まれだ。気位の高さでは兄にも引けを取らない。
今回の討伐隊で出た死者も、魔術師である彼が人より前に出たために彼を庇った仲間が命を落としたのだ。
だがそれに関してバーロンはなんとも思っていない。
感謝もしなければ悲しんでもいない。むしろ腹を立てているのだ。
「兄上、ファーストアタックと止めだけ僕がやれればいいんです。あとは頑丈な肉壁を用意してください」
「ふぅ……仕方ない。可愛い弟の頼みだ。よし、私のパーティーが同行しよう。もちろん手柄はお前のものだ。こちらとしては古代の秘宝が手に入ればそれでいいのだからね」
「頼みましたよ。しかし本当に秘宝なんてあるのですか? 洞窟がある訳でも、遺跡がある訳でもないのに」
バーロンは馬鹿だが、知識はある。
その知識と照らし合わせても、あんな場所に古代の秘宝があるとは思えない。
しかし古代獣がいたのは間違いない。
「殺してみればわかることだバーロン」
「そうですね。それでは兄上、頼みましたよ」
こうして紅の旅団は、再び山へと向かうことになった。
移動は簡単。転移魔法で可能だ。
だがまずはバーロンの休息だ。
贅沢に香油をふんだんに使った風呂に浸かり、マッサージを受け、高級食材の料理を頂く。
それからキングサイズのベッドで眠り……再び風呂に入ってマッサージを受け豪華な食事を楽しむ。
それを三日繰り返したのち、彼らは出発した。
そして到着したその場に、古代獣こと電気くんは──
「い、いない!? お、どういうことだドリィー!」
バーロンは驚愕した。
転移魔法は彼ではなく、同じパーティーの──いや、従える魔術師が位置を記憶し、使用している。
「転移場所を間違えたんだろう! ちっ、これだから平民出の者は使えない」
「も、申し訳ありませんバーロンさま」
バーロンに睨まれ、今にも泣き出しそうになる魔術師の少年。
しかし内心では思っている。
位置を記憶して使用する魔法で、転移場所を間違うはずがない。いや、間違えることすら出来ないのだ。
バーロンもそのことは知っているが、目の前の光景が信じられないのだ。
前回はいた巨大な獣──古代獣の姿がない。
「スティアン様。これをご覧ください」
紅の旅団メンバーのひとりがある物を見つけた。
スティアンとバーロンが男の下へと向かう。
「ス、スティアン兄さん!? これはっ」
「封印石……なのだろう?」
兄の言葉にバーロンは頷く。見間違うはずがない。前回来た時にはこの石の位置を全て確認し、その上で封印内に足を踏み入れたのだから。
しかし古代獣はどこにもいない。
ここには洞窟も無ければ遺跡もない。
隠れる場所はどこにもないのだ。
古代獣の手がかりを探すうちに、ひとりが獣の毛を発見した。
長い毛だ。その辺の獣やモンスターのものではないのは明白。
「……あの、これはもしかして……」
「既に別の誰かの手に……」
紅の旅団メンバーが、恐るおそる口を開いた。
その言葉にバーロンが不快感を露にする。
「僕以外に古代獣を倒せる奴がいると思っているのか!?」
「おいおいバーロン。それはこの兄も含まれているのかな?」
「に、兄さんは別です。兄さんはっ! と、とにかく奴を探せ! 探すんだ!!」
クランメンバー=部下。
そんな風にフォルオーゲスト兄弟は見ている。
その後、兄弟は迷宮都市へと戻り、残りのメンバーが古代獣の捜索を行う事となったが──
自由を手に入れた電気くんは超浮かれていた。
そして電気くんの感情が雷雲を発生させる。
ゴロゴロピカピカ。
一晩に何十回も落雷したが、何故かすべて同じ個所──彼らの拠点に降り注いだ。
半月後、怒り狂ったフォルオーゲスト兄弟の姿が迷宮都市で見られるようになった。
山に入った時には十四人いた。電気くんの下に到着したのは十人。四人が滑落やモンスターの襲撃で命を落としている。
だが今は八人。二人は電気くんの牙によって命を落とした。
「バーロン……兄はガッカリしたぞ。まさか仕留めそこなうとは」
「スティアン兄さんこそ、何故雑魚メンバーを僕に付けたのですか。古代獣は決して侮ってはいけない相手です。それなのにたった一撃で死ぬような奴らなんて……」
「確かに精鋭部隊ではない。しかし未熟なメンバーで仕留めるからこそ、お前も名声を得られるというもの。まぁ失敗したのなら仕方がない」
バーロン・フォルオーゲスト。
紅の旅団リーダーであるスティアン・フォルオーゲストの弟にして、侯爵家の三男坊だ。
幼少期から魔法の才があり、更には貴族家の生まれだ。気位の高さでは兄にも引けを取らない。
今回の討伐隊で出た死者も、魔術師である彼が人より前に出たために彼を庇った仲間が命を落としたのだ。
だがそれに関してバーロンはなんとも思っていない。
感謝もしなければ悲しんでもいない。むしろ腹を立てているのだ。
「兄上、ファーストアタックと止めだけ僕がやれればいいんです。あとは頑丈な肉壁を用意してください」
「ふぅ……仕方ない。可愛い弟の頼みだ。よし、私のパーティーが同行しよう。もちろん手柄はお前のものだ。こちらとしては古代の秘宝が手に入ればそれでいいのだからね」
「頼みましたよ。しかし本当に秘宝なんてあるのですか? 洞窟がある訳でも、遺跡がある訳でもないのに」
バーロンは馬鹿だが、知識はある。
その知識と照らし合わせても、あんな場所に古代の秘宝があるとは思えない。
しかし古代獣がいたのは間違いない。
「殺してみればわかることだバーロン」
「そうですね。それでは兄上、頼みましたよ」
こうして紅の旅団は、再び山へと向かうことになった。
移動は簡単。転移魔法で可能だ。
だがまずはバーロンの休息だ。
贅沢に香油をふんだんに使った風呂に浸かり、マッサージを受け、高級食材の料理を頂く。
それからキングサイズのベッドで眠り……再び風呂に入ってマッサージを受け豪華な食事を楽しむ。
それを三日繰り返したのち、彼らは出発した。
そして到着したその場に、古代獣こと電気くんは──
「い、いない!? お、どういうことだドリィー!」
バーロンは驚愕した。
転移魔法は彼ではなく、同じパーティーの──いや、従える魔術師が位置を記憶し、使用している。
「転移場所を間違えたんだろう! ちっ、これだから平民出の者は使えない」
「も、申し訳ありませんバーロンさま」
バーロンに睨まれ、今にも泣き出しそうになる魔術師の少年。
しかし内心では思っている。
位置を記憶して使用する魔法で、転移場所を間違うはずがない。いや、間違えることすら出来ないのだ。
バーロンもそのことは知っているが、目の前の光景が信じられないのだ。
前回はいた巨大な獣──古代獣の姿がない。
「スティアン様。これをご覧ください」
紅の旅団メンバーのひとりがある物を見つけた。
スティアンとバーロンが男の下へと向かう。
「ス、スティアン兄さん!? これはっ」
「封印石……なのだろう?」
兄の言葉にバーロンは頷く。見間違うはずがない。前回来た時にはこの石の位置を全て確認し、その上で封印内に足を踏み入れたのだから。
しかし古代獣はどこにもいない。
ここには洞窟も無ければ遺跡もない。
隠れる場所はどこにもないのだ。
古代獣の手がかりを探すうちに、ひとりが獣の毛を発見した。
長い毛だ。その辺の獣やモンスターのものではないのは明白。
「……あの、これはもしかして……」
「既に別の誰かの手に……」
紅の旅団メンバーが、恐るおそる口を開いた。
その言葉にバーロンが不快感を露にする。
「僕以外に古代獣を倒せる奴がいると思っているのか!?」
「おいおいバーロン。それはこの兄も含まれているのかな?」
「に、兄さんは別です。兄さんはっ! と、とにかく奴を探せ! 探すんだ!!」
クランメンバー=部下。
そんな風にフォルオーゲスト兄弟は見ている。
その後、兄弟は迷宮都市へと戻り、残りのメンバーが古代獣の捜索を行う事となったが──
自由を手に入れた電気くんは超浮かれていた。
そして電気くんの感情が雷雲を発生させる。
ゴロゴロピカピカ。
一晩に何十回も落雷したが、何故かすべて同じ個所──彼らの拠点に降り注いだ。
半月後、怒り狂ったフォルオーゲスト兄弟の姿が迷宮都市で見られるようになった。
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