19 / 21
「捨てるなら俺に寄越せ」 ―救済の真実と光―
しおりを挟む
(マンション前)
江嵯樹 京「……ついたで…ひな……ほんなら行こか」
…(ピッ)
…(ウィーンッ)
2階です ドアが開きます
…(ガチャっ)
…(コツ……コツ……)
江嵯樹 京「……ほらひな…鍵開けぇ」
彩月 涼「……来たなヤクザ」
……(ダッ!)
彩月 涼「日向を返せ!うぉおおお!」(ブンッ!)
江嵯樹 京「はっ……遅いわ……」(ガシッ!)
彩月 涼「……なっ!?」
……(ポイッ)(カラ…カラ…カラ……)
江嵯樹 京「……ひなに当たったらどうしてくれんねん……野球少年がバット凶器に使うなや……道具が泣くで」
彩月 涼「うっせぇな!!日向を返せ!日向ー!助けに来たぞー!」
江嵯樹 京「……ひな……大丈夫や……俺がおるからな」(ギュッ…スリ…)
(ちっ……ひなが震えとるやろが……ほんまうっさいガキやで……)
彩月 涼「……おい!手握ってんじゃねぇよ!離せ!」
……(ダッ!)
……(ガシッ!)
江嵯樹 京「……おい……気安くひなに触ろうとすんな……」(ギリギリ)
彩月 涼「……ぐっ!……俺が……日向を守るんだ!……お前みたいなヤクザもんこそ日向に触ってんじゃねぇ!日向はお前みたいな汚れたやつと一緒にいるべきなんかじゃねぇんだ!日向を返せ!」
江嵯樹 京「…汚れたやつ……か………まぁ否定はせんわ……でもな……ひなは俺を求めて……俺がええ言うとんねん……やったら俺もひなを離す気なんかあらへんわ……」
彩月 涼「はぁっ!?日向がそんなこと言うわけねぇだろ!変なこと言ってんじゃねえ!なぁ日向!こいつに脅されてんだろ!?お仕置されたくないからそうやって言うこと聞いてんだろ!なぁ!」
江嵯樹 京「おい……ええ加減に……」
結城 日向「……違う」
彩月 涼「……は?」
結城 日向「……脅されてなんかない……お仕置されたことなんか無い……僕が望んで京といる……」
彩月 涼「……は?おい日向!正気になれよ!お前洗脳されてんだよ!警察呼んでやる!」
結城 日向「やめて!!」
彩月 涼「え?……日向?」
結城 日向「洗脳なんかされてない!僕は……京があの日僕の命に意味をくれたから…今日まで生きてこれたんだ!」
彩月 涼「は?……意味?」
――数年前、あるビルの屋上
風が強くて、生温い日だった。僕はふらりといつの間にか屋上に来ていた。柵を乗り超えて飛び降りようとした時だった。
……(ガチャリ)
江嵯樹 京「……なんや……先客がおったんか」
そこに現れたのが京だった。大きくて強面で襟元からチラッと覗く和彫り。それに僕のことを見ても全く動揺してないその黒く遠くを見てるような瞳。
結城 日向「……え?……なんで」
動揺してつい下を見てしまった。足がすくんで動けなくなって僕はフェンスにしがみついた。途端に自分がしようとしていたことに現実味が湧き始めて怖くなった。でももう生きたくも無い。誰も必要としてない。生きてる意味も何も無い。
結城 日向「……来ないで」
震えたか細い声しか出せなかった。身体の震えが止まらない。だけどもう生きたくない。これで楽になれる。
江嵯樹 京「……アホか……誰が止める言うた? 勝手に飛びたきゃ飛べや」
結城 日向「……え?」
驚いて震えが止まった。京はタバコに火をつけながら驚いた僕の顔を見据えてこう言った。
江嵯樹 京「……ただな……そんな薄汚れたコンクリの上に落ちて…誰にも悲しまれずに肉片になるんか? ……お前のその命……捨てるくらいなら俺に寄越せや」
結城 日向「え…………ぁ………ぅ……っ………ぅわぁあっ……」
京は僕がその時1番欲しかった言葉を当たり前かのように淡々と述べた。死んじゃだめだとか生きてればいいことあるとか勿体ないとかそんな薄っぺらい上辺だけの言葉じゃなくて僕の命そのものに意味を与えてくれる言葉。僕の生きる意味をくれる言葉。
江嵯樹 京「ふっ……ほら……そこおったら風邪ひくで……こっち来ぃ……」
結城 日向「うぅっ……ぅえっ……ひぐっ……ぅうっ……」
泣いている僕の身体をフェンス越しに京が軽々と引き上げた。そのまま京はコンクリートの床の上へ僕を降ろした。 僕は京の顔を見上げた。その時ふと京が吸ってるそのタバコが目に留まった。
江嵯樹 京「…なんや……これが気になるんか?」
結城 日向「……んっ」
京は短くなったタバコをそのまま僕の唇に押し当てた。そこからはパチパチと音が鳴っていた。
江嵯樹 京「……口……開けろ」
結城 日向「ぁ……ん……」
僕は特に抵抗もせずに口を開いた。すると京がそのタバコを僕の口に深く押し込んだ。今考えたら間接キスだったかも。でもその時は京が口にしてたそれを吸い込むことが京との繋がりのような気がしたんだ。
結城 日向「……げほっ…うぇっ……!」
僕はその煙を吸い込んだ瞬間盛大に噎せた。京は涙目になって噎せる僕を見て腹抱えて笑ってた。酷い。
江嵯樹 京「……ははっ! 甘い匂いやのに味は辛いやろ? ……それが生きてる味や……よう覚えとけ……」
この時はなんでこんなのを吸えるのか全然わかんなかった。でもその味が口の中に残って消えなかった。
――
結城 日向「死のうとしてた僕に死ぬなとか辛かったねとか薄っぺらい言葉じゃなくて僕の命に意味をくれたの!脅されてなんかない!京と離れるなんて絶対嫌!出てって!もう二度と僕と京の前に現れないで!顔も見たくない!」
彩月 涼「……は?……おい日向……冗談だろ?死のうとしてた?意味をくれた?なんだそれ……顔も見たくないって……なんでだよ……俺……お前のこと助けようとしてんのに……」
結城 日向「助けてなんていつ僕が頼んだ?そんなこと1回も言ってないよね!?それに君は僕を救うとか何とか言っときながら僕の腕掴んで無理やり引っ張ったり僕がタバコ吸うことを否定したり離さないとか言って無理やり連絡先交換させたりヤクザだとか叫んで大学で僕の居場所無くさせたり助けることと真逆のことしかしてないじゃん!僕が君と連絡先交換した日に何したか知ってる?裏垢でホテルの名前と部屋番号晒してみんな来てねって載せたの!そしたら何十人も部屋から溢れるくらい来てくれてそれでみんな僕にいーっぱい中出ししてくれたよ ねぇこれで満足?僕のこと救えた?ねえ?」
彩月 涼「あ……俺……は……そん……な……あ……あぁぁぁあああ!!」
結城 日向「もういいよ京……こんなやつと話すだけ無駄だよ……ほっとこ」
江嵯樹 京「……せやな」
……(ガチャッ)
……(バタンッ)
……(ガチャリ)
江嵯樹 京「……ついたで…ひな……ほんなら行こか」
…(ピッ)
…(ウィーンッ)
2階です ドアが開きます
…(ガチャっ)
…(コツ……コツ……)
江嵯樹 京「……ほらひな…鍵開けぇ」
彩月 涼「……来たなヤクザ」
……(ダッ!)
彩月 涼「日向を返せ!うぉおおお!」(ブンッ!)
江嵯樹 京「はっ……遅いわ……」(ガシッ!)
彩月 涼「……なっ!?」
……(ポイッ)(カラ…カラ…カラ……)
江嵯樹 京「……ひなに当たったらどうしてくれんねん……野球少年がバット凶器に使うなや……道具が泣くで」
彩月 涼「うっせぇな!!日向を返せ!日向ー!助けに来たぞー!」
江嵯樹 京「……ひな……大丈夫や……俺がおるからな」(ギュッ…スリ…)
(ちっ……ひなが震えとるやろが……ほんまうっさいガキやで……)
彩月 涼「……おい!手握ってんじゃねぇよ!離せ!」
……(ダッ!)
……(ガシッ!)
江嵯樹 京「……おい……気安くひなに触ろうとすんな……」(ギリギリ)
彩月 涼「……ぐっ!……俺が……日向を守るんだ!……お前みたいなヤクザもんこそ日向に触ってんじゃねぇ!日向はお前みたいな汚れたやつと一緒にいるべきなんかじゃねぇんだ!日向を返せ!」
江嵯樹 京「…汚れたやつ……か………まぁ否定はせんわ……でもな……ひなは俺を求めて……俺がええ言うとんねん……やったら俺もひなを離す気なんかあらへんわ……」
彩月 涼「はぁっ!?日向がそんなこと言うわけねぇだろ!変なこと言ってんじゃねえ!なぁ日向!こいつに脅されてんだろ!?お仕置されたくないからそうやって言うこと聞いてんだろ!なぁ!」
江嵯樹 京「おい……ええ加減に……」
結城 日向「……違う」
彩月 涼「……は?」
結城 日向「……脅されてなんかない……お仕置されたことなんか無い……僕が望んで京といる……」
彩月 涼「……は?おい日向!正気になれよ!お前洗脳されてんだよ!警察呼んでやる!」
結城 日向「やめて!!」
彩月 涼「え?……日向?」
結城 日向「洗脳なんかされてない!僕は……京があの日僕の命に意味をくれたから…今日まで生きてこれたんだ!」
彩月 涼「は?……意味?」
――数年前、あるビルの屋上
風が強くて、生温い日だった。僕はふらりといつの間にか屋上に来ていた。柵を乗り超えて飛び降りようとした時だった。
……(ガチャリ)
江嵯樹 京「……なんや……先客がおったんか」
そこに現れたのが京だった。大きくて強面で襟元からチラッと覗く和彫り。それに僕のことを見ても全く動揺してないその黒く遠くを見てるような瞳。
結城 日向「……え?……なんで」
動揺してつい下を見てしまった。足がすくんで動けなくなって僕はフェンスにしがみついた。途端に自分がしようとしていたことに現実味が湧き始めて怖くなった。でももう生きたくも無い。誰も必要としてない。生きてる意味も何も無い。
結城 日向「……来ないで」
震えたか細い声しか出せなかった。身体の震えが止まらない。だけどもう生きたくない。これで楽になれる。
江嵯樹 京「……アホか……誰が止める言うた? 勝手に飛びたきゃ飛べや」
結城 日向「……え?」
驚いて震えが止まった。京はタバコに火をつけながら驚いた僕の顔を見据えてこう言った。
江嵯樹 京「……ただな……そんな薄汚れたコンクリの上に落ちて…誰にも悲しまれずに肉片になるんか? ……お前のその命……捨てるくらいなら俺に寄越せや」
結城 日向「え…………ぁ………ぅ……っ………ぅわぁあっ……」
京は僕がその時1番欲しかった言葉を当たり前かのように淡々と述べた。死んじゃだめだとか生きてればいいことあるとか勿体ないとかそんな薄っぺらい上辺だけの言葉じゃなくて僕の命そのものに意味を与えてくれる言葉。僕の生きる意味をくれる言葉。
江嵯樹 京「ふっ……ほら……そこおったら風邪ひくで……こっち来ぃ……」
結城 日向「うぅっ……ぅえっ……ひぐっ……ぅうっ……」
泣いている僕の身体をフェンス越しに京が軽々と引き上げた。そのまま京はコンクリートの床の上へ僕を降ろした。 僕は京の顔を見上げた。その時ふと京が吸ってるそのタバコが目に留まった。
江嵯樹 京「…なんや……これが気になるんか?」
結城 日向「……んっ」
京は短くなったタバコをそのまま僕の唇に押し当てた。そこからはパチパチと音が鳴っていた。
江嵯樹 京「……口……開けろ」
結城 日向「ぁ……ん……」
僕は特に抵抗もせずに口を開いた。すると京がそのタバコを僕の口に深く押し込んだ。今考えたら間接キスだったかも。でもその時は京が口にしてたそれを吸い込むことが京との繋がりのような気がしたんだ。
結城 日向「……げほっ…うぇっ……!」
僕はその煙を吸い込んだ瞬間盛大に噎せた。京は涙目になって噎せる僕を見て腹抱えて笑ってた。酷い。
江嵯樹 京「……ははっ! 甘い匂いやのに味は辛いやろ? ……それが生きてる味や……よう覚えとけ……」
この時はなんでこんなのを吸えるのか全然わかんなかった。でもその味が口の中に残って消えなかった。
――
結城 日向「死のうとしてた僕に死ぬなとか辛かったねとか薄っぺらい言葉じゃなくて僕の命に意味をくれたの!脅されてなんかない!京と離れるなんて絶対嫌!出てって!もう二度と僕と京の前に現れないで!顔も見たくない!」
彩月 涼「……は?……おい日向……冗談だろ?死のうとしてた?意味をくれた?なんだそれ……顔も見たくないって……なんでだよ……俺……お前のこと助けようとしてんのに……」
結城 日向「助けてなんていつ僕が頼んだ?そんなこと1回も言ってないよね!?それに君は僕を救うとか何とか言っときながら僕の腕掴んで無理やり引っ張ったり僕がタバコ吸うことを否定したり離さないとか言って無理やり連絡先交換させたりヤクザだとか叫んで大学で僕の居場所無くさせたり助けることと真逆のことしかしてないじゃん!僕が君と連絡先交換した日に何したか知ってる?裏垢でホテルの名前と部屋番号晒してみんな来てねって載せたの!そしたら何十人も部屋から溢れるくらい来てくれてそれでみんな僕にいーっぱい中出ししてくれたよ ねぇこれで満足?僕のこと救えた?ねえ?」
彩月 涼「あ……俺……は……そん……な……あ……あぁぁぁあああ!!」
結城 日向「もういいよ京……こんなやつと話すだけ無駄だよ……ほっとこ」
江嵯樹 京「……せやな」
……(ガチャッ)
……(バタンッ)
……(ガチャリ)
0
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
悪役令嬢、休職致します
碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。
しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。
作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。
作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる