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5話 リガインの失態 その1
リガイン・ブローフェルト公爵視点……。
「ねえ、リガイン。私と婚約して本当に良かったの? 前の人とは婚約破棄をしたのでしょう?」
「そうだな……フォルナ・アッバース侯爵令嬢だが、確かに勿体ない気持ちではあるな」
「フォルナ嬢……確か侯爵令嬢よね? 私と同じ立場の人間だけれど、私を選んでくれたんだ」
「ふふ、当然だよ。君は幼馴染だしな、気心も共有しているし。どちらかを選ぶとなれば、マリーヌの方を選ぶ以外には考えられなかった」
「ふふ、嬉しいわ。ありがとう」
「ははは」
私はとても幸せを感じていた……目の前には幼馴染のマリーヌ・セドラ侯爵令嬢がいるのだ。好みの問題もあるだろうが、私は個人的にはフォルナより、マリーヌの方が好みだった。まあ、どちらも美人ではあるがな。
「フォルナも美人だっただけに、別れるのは辛かったよ」
「まあ、妬いてしまいそうだわ」
「ははは、まあ、マリーヌほど美人ではなかったけどな」
「まあ! お上手なんだから……」
こういった何気ない会話も楽しいものだ。真に愛する者と一緒になれれば、全ての事柄が楽しく映ってしまうのだな。そういう意味では、フォルナとの仲は真実の愛ではなかったと言えるだろうか。
それでも、マリーヌが居なければ真実の愛になれたのだろうが……勿体ないことだな。フォルナを第二夫人として迎えることも出来たが……やはりそれは、マリーヌに対して失礼に思えたからな。
彼女との婚約破棄は仕方のないことと言えるだろう。慰謝料は支払ったのだし、文句を言われる筋合いもないがな……。
「あの、リガイン様……少し、よろしいでしょうか?」
「ん? どうしたのだ?」
部屋を訪れた使用人からの質問だ。何やら暗い表情をしているが……一体、どうしたと言うのだ?
「少しマズイことが起こっているようです……推進している事業に関してのことですが……」
「事業だと?」
「はい、その通りです」
確かに湖のほとりに釣り堀を作ったり、別荘地を建設したり、金鉱山の大規模な増設を試みてはいるが……その事業に関してだろうか?
「何か問題が起きたと言うのか? そんな話は聞いていないが……」
「いえ、問題が起きたのではありません。それらの事業にアッバース家の資金援助があったということです……」
「なんだと……?」
私の時は一瞬、止まったかのようになってしまった。
「予想出来ることかもしれませんが……アッバース家より、その資金援助を取りやめるという声明が発表されまして……如何いたしましょうか?」
「……!」
まさかそんなことが……アッバース家が関与していたことにも驚きだが、資金援助を取りやめるだと!? 私の思考はまともに動作していなかった……。
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