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5話 皇帝陛下 ①
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ライドウ・イグンシム皇帝陛下……が、どうしてこんなところに。えっと……この場所は、私の屋敷の庭なんだけれど。
「急に訪ねてしまったことは謝ろう、シェル殿、ハロルド殿」
「皇帝陛下……勿体ないお言葉でございます……」
「ご無沙汰しております、陛下」
私もハロルドも急な陛下の訪問だったので、簡易的な挨拶に留めた。まさか、庭のど真ん中で跪いて挨拶をするわけにもいかないし。皇帝陛下はそういうことを望まれないはずだから。
どうして、伯爵家であるエドガー家に? という疑問がまずは浮かんだけれど、隣には妹のソシエの姿があった。彼女は年齢は若いけれど、ライドウ皇帝陛下の側室の一人に選ばれている。
そういう繋がりから皇帝陛下はこの場所を訪れた、ということね。ここまでの思考は3秒と掛かっていないと思う。私の脳内が高速で処理をしてくれたから……。
「本日のご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
侯爵令息で幼馴染でもあったハロルドが、本日は訪ねて来てくれている。それに加え、ソシエを伴ってのライドウ皇帝陛下ときている。1日で起きるイベントとしては大きすぎて、私は付いて行くのが精一杯だった。
「姉さま、皇帝陛下のご用件は姉さまに関して……とりわけ、婚約破棄に関してですわ」
質問したのは皇帝陛下にだったけれど、彼の代弁とばかりにソシエが私の質問に答えた。普通に考えれば分かることだけれど……ソシエが姿を消したのも、私とダンテ様の婚約破棄に関してだったし。
きっと、ダンテ様の一件をライドウ皇帝陛下に話し、可能であれば何とかしてくださいと頼みこんだのでしょうね。ソシエは昔からそういうところがあったから……なんと言えばいいのかしら、姉想い? みたいな。自分で言ってて恥ずかしくなってくるけれど。
と、いうことは、皇帝陛下がここを訪れたということは……?
「婚約破棄をされたことは、さぞかし辛かったであろう? それでも気丈に振舞っている其方に敬意を表したい気分だ」
「い、いえ……ありがとうございます……!」
辛かったことは事実だけど、ライドウ皇帝陛下に慰められるのは贅沢な気がしてしまう。ハロルドが近くに居てくれるだけでも、十分に嬉しいのに……皇帝陛下まで、私のことを気遣ってくれるなんて。
これも側室であるソシエの力ね。案の定、万が一の為に、周囲は特別警戒体制になっているみたいだし。
「ダンテ・シュールに関してのことだが……身勝手な婚約破棄など決して許されることではない。やはり、然るべき罰が必要になるな」
「陛下、ダンテ様は街の教会に向かう予定を組まれているようです……そちらを利用する、という手はいかがでしょうか?」
「街の教会か……そうだな」
なんだか、私の知らないところで計画が進められているような……。しかも、その発案者が妹のソシエだし……。
ここに皇帝陛下を連れて来たのも彼女だし、ソシエは私の妹でありながら、得体のしれない何かなのでは? という疑問が絶えなかった……。
「急に訪ねてしまったことは謝ろう、シェル殿、ハロルド殿」
「皇帝陛下……勿体ないお言葉でございます……」
「ご無沙汰しております、陛下」
私もハロルドも急な陛下の訪問だったので、簡易的な挨拶に留めた。まさか、庭のど真ん中で跪いて挨拶をするわけにもいかないし。皇帝陛下はそういうことを望まれないはずだから。
どうして、伯爵家であるエドガー家に? という疑問がまずは浮かんだけれど、隣には妹のソシエの姿があった。彼女は年齢は若いけれど、ライドウ皇帝陛下の側室の一人に選ばれている。
そういう繋がりから皇帝陛下はこの場所を訪れた、ということね。ここまでの思考は3秒と掛かっていないと思う。私の脳内が高速で処理をしてくれたから……。
「本日のご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
侯爵令息で幼馴染でもあったハロルドが、本日は訪ねて来てくれている。それに加え、ソシエを伴ってのライドウ皇帝陛下ときている。1日で起きるイベントとしては大きすぎて、私は付いて行くのが精一杯だった。
「姉さま、皇帝陛下のご用件は姉さまに関して……とりわけ、婚約破棄に関してですわ」
質問したのは皇帝陛下にだったけれど、彼の代弁とばかりにソシエが私の質問に答えた。普通に考えれば分かることだけれど……ソシエが姿を消したのも、私とダンテ様の婚約破棄に関してだったし。
きっと、ダンテ様の一件をライドウ皇帝陛下に話し、可能であれば何とかしてくださいと頼みこんだのでしょうね。ソシエは昔からそういうところがあったから……なんと言えばいいのかしら、姉想い? みたいな。自分で言ってて恥ずかしくなってくるけれど。
と、いうことは、皇帝陛下がここを訪れたということは……?
「婚約破棄をされたことは、さぞかし辛かったであろう? それでも気丈に振舞っている其方に敬意を表したい気分だ」
「い、いえ……ありがとうございます……!」
辛かったことは事実だけど、ライドウ皇帝陛下に慰められるのは贅沢な気がしてしまう。ハロルドが近くに居てくれるだけでも、十分に嬉しいのに……皇帝陛下まで、私のことを気遣ってくれるなんて。
これも側室であるソシエの力ね。案の定、万が一の為に、周囲は特別警戒体制になっているみたいだし。
「ダンテ・シュールに関してのことだが……身勝手な婚約破棄など決して許されることではない。やはり、然るべき罰が必要になるな」
「陛下、ダンテ様は街の教会に向かう予定を組まれているようです……そちらを利用する、という手はいかがでしょうか?」
「街の教会か……そうだな」
なんだか、私の知らないところで計画が進められているような……。しかも、その発案者が妹のソシエだし……。
ここに皇帝陛下を連れて来たのも彼女だし、ソシエは私の妹でありながら、得体のしれない何かなのでは? という疑問が絶えなかった……。
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