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2話
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「カイル……?」
「やっぱりエリスだ! 久しぶりだな! エリス!」
間違いなかった。彼は私の幼馴染であるカイル・シュゴーだったのだ。
「カイル……まさか、こんなタイミングで会えるなんて……」
まさにこんなタイミングだ。ノーブルに婚約破棄をされてまだ2時間も経っていない。この出会いは運命的とすら言えるのかもしれないわね。
「こんなタイミング? こんなタイミングって……?」
「あの、ええと……私、ちょっとまずいことがあって」
なんとなく言葉を濁してしまった。
「どういうことだ、エリス。まさかご家族に何かあったのか? だから教会でお祈りしてるとか?」
「ああ、そういうことじゃなくてね……実は」
隠すこともできないので私はカイルに事情を話すことにした。
----------------------------------
「な、なんと……婚約していたノーブル・デモン伯爵と別れたというのか?」
「別れたというか……一方的な婚約破棄だけれどね」
私は別れる気なんてなかった。完全にノーブルからの言い掛かりだ。
「婚約破棄……それも2時間前にされたばかりか。こんなところで再会できたのは運命的だな」
「そうよね……そう思うわ」
シュゴー家は侯爵家に属しておりデモン伯爵家よりも上の立場になっている。当然、私とは大きな身分差があるのだけれど。その関係からか彼とは恋愛以上にはなれなかった。私としては初恋の相手ではあるのだけれど。その想いを伝えることが出来なかったのだ。そうこうしている間にカイルは他国に留学してしまった。そこで一旦は私達の関係は途絶えたのだけれど。
「私が留学して以来の再会……か。もう5年にもなるんだな」
「5年……そんなに経つのね」
14歳の頃から会っていなかったということになる。それでも私のことを覚えてくれていた。それは非常に嬉しいのだけれど。今会うのはなんだか微妙な気もする。
「再会を楽しみたいけれど、今の私の気分ではどうしようもないわ」
「まあ、気持ちはわかるよ。ご両親にはまだ伝えていないんじゃないか?」
「なんだか会いづらくて……婚約破棄されたなんて言えないのよ」
「なるほど、家にも帰りづらいということか。ノーブル殿は本当に罪深いことをしたな」
カイルは私の気持ちを分かってくれているようだった。それが嬉しかった。彼とは昔は仲良くやっていけてたから。変わっていないのだと実感させてくれる。
「そうね、帰りづらいわね」
「それなら我が家に来ないか?」
「えっ? カイルの家に……?」
とんでもないお誘いがカイルからあったのだ。私は一瞬よくわからなかった。
「やっぱりエリスだ! 久しぶりだな! エリス!」
間違いなかった。彼は私の幼馴染であるカイル・シュゴーだったのだ。
「カイル……まさか、こんなタイミングで会えるなんて……」
まさにこんなタイミングだ。ノーブルに婚約破棄をされてまだ2時間も経っていない。この出会いは運命的とすら言えるのかもしれないわね。
「こんなタイミング? こんなタイミングって……?」
「あの、ええと……私、ちょっとまずいことがあって」
なんとなく言葉を濁してしまった。
「どういうことだ、エリス。まさかご家族に何かあったのか? だから教会でお祈りしてるとか?」
「ああ、そういうことじゃなくてね……実は」
隠すこともできないので私はカイルに事情を話すことにした。
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「な、なんと……婚約していたノーブル・デモン伯爵と別れたというのか?」
「別れたというか……一方的な婚約破棄だけれどね」
私は別れる気なんてなかった。完全にノーブルからの言い掛かりだ。
「婚約破棄……それも2時間前にされたばかりか。こんなところで再会できたのは運命的だな」
「そうよね……そう思うわ」
シュゴー家は侯爵家に属しておりデモン伯爵家よりも上の立場になっている。当然、私とは大きな身分差があるのだけれど。その関係からか彼とは恋愛以上にはなれなかった。私としては初恋の相手ではあるのだけれど。その想いを伝えることが出来なかったのだ。そうこうしている間にカイルは他国に留学してしまった。そこで一旦は私達の関係は途絶えたのだけれど。
「私が留学して以来の再会……か。もう5年にもなるんだな」
「5年……そんなに経つのね」
14歳の頃から会っていなかったということになる。それでも私のことを覚えてくれていた。それは非常に嬉しいのだけれど。今会うのはなんだか微妙な気もする。
「再会を楽しみたいけれど、今の私の気分ではどうしようもないわ」
「まあ、気持ちはわかるよ。ご両親にはまだ伝えていないんじゃないか?」
「なんだか会いづらくて……婚約破棄されたなんて言えないのよ」
「なるほど、家にも帰りづらいということか。ノーブル殿は本当に罪深いことをしたな」
カイルは私の気持ちを分かってくれているようだった。それが嬉しかった。彼とは昔は仲良くやっていけてたから。変わっていないのだと実感させてくれる。
「そうね、帰りづらいわね」
「それなら我が家に来ないか?」
「えっ? カイルの家に……?」
とんでもないお誘いがカイルからあったのだ。私は一瞬よくわからなかった。
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