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8話 前向きに
しおりを挟むまさか告白を頂けるとは思ってもみなかった。しかも、フィリップ様の方から……これは嬉しい気持ちなのだろうか? 私は現在戸惑っている。彼と二人で中央公園を歩いていて今さらではあるけれど。
「こうやって歩いていると、少しですが嫌な感情が消えていくようです」
「そうか……とても嬉しいよ、ミアスタ嬢。君の立ち直りのきっかけにしてくれるとありがたい」
「はい、ありがとうございます」
先ほどの告白の返事はまだしていない。フィリップ様も返事は急がないし、無視してくれても構わないと言っていたから。流石に無視をすることはないけれど、すぐに答えを出せないのは確かだった。
「済まない、ミアスタ嬢……」
「えっ、どうかしましたか? フィリップ様?」
「いや……いきなりの告白は本当に申し訳なかったと思っているよ。君の今の現状を考慮すれば、告白をするべきではなかったな」
「あ、いえ……そんなことは」
確かに状況を考えれば告白はしない方が正解になるだろう。でも、不思議と私は力が抜けていた。彼の気持ちが分かったことで安心しているのかもしれない。もちろん戸惑ってはいるけれど、別に嫌な気分ではなかった。
「気にしないでください、フィリップ様。告白をしていただいたことは、素直に嬉しいですので」
「そ、そうか……そう言って貰えて良かったよ」
「ただ、私達はもっとお互いのことを知るべきだと思うのです」
「確かにその通りだな。私がアウザー殿のような卑劣漢かもしれないわけだし……」
「いえ、それはないとは思っていますが」
アウザー様のような貴族は探す方が難しいだろう。フィリップ様は決してそんな人ではない。それだけは確信していた。ただ、私が彼の告白に答えるのはお互いをもっと知った後になると思うので、当分先の話になりそうね。断る……という可能性もないわけじゃないし。
あれ? 今の私は前向きに考えられている……?
「フィリップ様、本日は中央公園でしたが、次回は貴族街の街並みを散策したいです」
「私と一緒で良いのかな?」
「はい、もちろんです」
「ありがとう、ミアスタ嬢。君の期待に応えられるように練ってみるさ」
「ありがとうございます、期待しております」
フィリップ様と一緒に居ると不思議と心が癒されて行く。まだ、完全復活には時間が掛かると思うけどそれだけは確かだった。また彼と出かけてみたい……私はそのように感じているのだ。
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