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19話 婚約 その2
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私は婚約について考えていた。一人で働いている時もほとんどがそっちに考えがいっていたし……おかげで少し失敗してしまったけれど。
「……」
現在はラターザ様が隣にいるのでとても緊張している。彼からの告白を聞いて少し時間が経っているけれど、まだ答えは出ていない。だからこそ、余計に緊張してしまう。
「エリアス……大丈夫か?」
「ラターザ様、はい。大丈夫です。すみません、さっきは失敗してしまって……」
「気にしなくていいよ。エリアスが失敗なんて珍しかったから驚いたが」
「……あはは」
笑って誤魔化したけれど、失敗してしまったのは婚約のことを考えていたからだ。本来なら失敗はあり得ない程の凡ミスだったし。
「エリアス……すまない。もしかすると私が婚約の話を持ち出したことが原因だろうか?」
「えっ……あ、それは……」
確かに婚約のことを考えることは多くなった。凡ミスの原因なのだろうけれど。
「もしも、負担になっているのなら、あの話はなかったことに……」
「いえ、ラターザ様からの婚約のお話しは本当に嬉しかったです。なかったことになんてしたくありません」
「え、エリアス……?」
本心では嬉しいのは間違いない。だからこそ、答えを保留にさせて貰っているのだから。もしも迷惑なら、あの時に丁重にお断りしただろう。ラターザ様だってそのことには気付いているはずだ。
「そうか、嬉しい……か。ありがとう、エリアス。でも、エリアスの負担にはなっていないのかな?」
「負担……というわけではありませんが、考えることが多くなったのは間違いないと思います」
これは事実なのでちゃんと告げておく。別に考えることが増えるのは悪いことではないしね。
「そうか……考えることは多くなってしまったか」
「はい。でも、大切なことですからより多く考えて、しっかりと将来を見据えて答えを出したいと思っています。一時の感情だけに囚われず、多角的に考えながら……」
そんなにすぐに答えを出せるはずはなかった。まだまだ時間が欲しい。時間が経てば経つほど、断る理由がなくなっていく気がするけれど、それはそれで良いことだしね。2度目の婚約になるのだからよくよく考えなければならないのだ。
「しっかりと将来を見据えて……か」
「はい。私みたいな低い身分の方がラターザ様の隣に相応しいのか……その辺りも考慮する必要があるでしょうし」
「ははは、そればかりは当人達だけでは判断できないかもしれないな」
「そうですね、周りの方々を巻き込むことになるかもしれませんが、その方が祝福されますよきっと」
「……エリアス……それは……?」
「ふふ」
こんな言葉が自然と出てしまう。もう、自分の中で答えは決まっているのかもしれない。今やっているのは外堀を埋めて行く作業……自然とラターザ様と付き合い、結婚しても祝福されるように地面を固めて行く作業なのだ。
「ラターザ様、二人で頑張りましょう。私達が結婚しても問題ない世の中にする為に」
「かなり大規模になってきたな。だが悪くない。私は全力で君の隣にいれるように頑張るよ。よろしくな、エリアス」
「はい、ラターザ様! よろしくお願いいたします!」
私達は仕事場であるにも関わらず、勢い余ってキスをしてしまった。これも後になり問題になったのだけれど……それはまた別の話で。私達の恋物語が始まろうとしていた。
おわり
「……」
現在はラターザ様が隣にいるのでとても緊張している。彼からの告白を聞いて少し時間が経っているけれど、まだ答えは出ていない。だからこそ、余計に緊張してしまう。
「エリアス……大丈夫か?」
「ラターザ様、はい。大丈夫です。すみません、さっきは失敗してしまって……」
「気にしなくていいよ。エリアスが失敗なんて珍しかったから驚いたが」
「……あはは」
笑って誤魔化したけれど、失敗してしまったのは婚約のことを考えていたからだ。本来なら失敗はあり得ない程の凡ミスだったし。
「エリアス……すまない。もしかすると私が婚約の話を持ち出したことが原因だろうか?」
「えっ……あ、それは……」
確かに婚約のことを考えることは多くなった。凡ミスの原因なのだろうけれど。
「もしも、負担になっているのなら、あの話はなかったことに……」
「いえ、ラターザ様からの婚約のお話しは本当に嬉しかったです。なかったことになんてしたくありません」
「え、エリアス……?」
本心では嬉しいのは間違いない。だからこそ、答えを保留にさせて貰っているのだから。もしも迷惑なら、あの時に丁重にお断りしただろう。ラターザ様だってそのことには気付いているはずだ。
「そうか、嬉しい……か。ありがとう、エリアス。でも、エリアスの負担にはなっていないのかな?」
「負担……というわけではありませんが、考えることが多くなったのは間違いないと思います」
これは事実なのでちゃんと告げておく。別に考えることが増えるのは悪いことではないしね。
「そうか……考えることは多くなってしまったか」
「はい。でも、大切なことですからより多く考えて、しっかりと将来を見据えて答えを出したいと思っています。一時の感情だけに囚われず、多角的に考えながら……」
そんなにすぐに答えを出せるはずはなかった。まだまだ時間が欲しい。時間が経てば経つほど、断る理由がなくなっていく気がするけれど、それはそれで良いことだしね。2度目の婚約になるのだからよくよく考えなければならないのだ。
「しっかりと将来を見据えて……か」
「はい。私みたいな低い身分の方がラターザ様の隣に相応しいのか……その辺りも考慮する必要があるでしょうし」
「ははは、そればかりは当人達だけでは判断できないかもしれないな」
「そうですね、周りの方々を巻き込むことになるかもしれませんが、その方が祝福されますよきっと」
「……エリアス……それは……?」
「ふふ」
こんな言葉が自然と出てしまう。もう、自分の中で答えは決まっているのかもしれない。今やっているのは外堀を埋めて行く作業……自然とラターザ様と付き合い、結婚しても祝福されるように地面を固めて行く作業なのだ。
「ラターザ様、二人で頑張りましょう。私達が結婚しても問題ない世の中にする為に」
「かなり大規模になってきたな。だが悪くない。私は全力で君の隣にいれるように頑張るよ。よろしくな、エリアス」
「はい、ラターザ様! よろしくお願いいたします!」
私達は仕事場であるにも関わらず、勢い余ってキスをしてしまった。これも後になり問題になったのだけれど……それはまた別の話で。私達の恋物語が始まろうとしていた。
おわり
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Σ(O_O;)これで完結⁉️お楽しみが~😣楽しいお話をありがとうございます😆💕✨
いつも読んでいただきありがとうございます!
この話はこれで完結になりますね
世間を変えるとは大きくでたね😉
そのとおりですね。世間を変える……
皆様がスルーなさってますが、【薬士】を【薬師】に修正はなさらない方向性ですか?
個人的には近い表現に感じていますのでそのままで