攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

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15話 同じ頃 その2

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「専属員は、もう行ったの?」
「ええ、行っているけど……西はアルマーク君とイオちゃんで問題ないけど、北の方は亡霊剣士などが徘徊しているみたいで」

 時間はお昼過ぎ、街中に響いた警報音の為、アメリアやジラーク達はどういうモンスターかを確認するためにギルド本部に来ていた。アメリアが現状をローラに尋ねている。

「レベル40超えの化け物か。ちょうどいい、俺たちが向かうとしよう」
「え? ジラークさんいいんですか?」
「どの道、街に来た場合は迎え撃つ必要があるだろう? 構わんさ」

 ジラークたちは専属員ではない為、モンスターを倒してもただ働きになるとローラは言いたかったのだ。しかし、ジラークはそんなことを気にする男ではない。それはロイドや老師も同じである。

「ふむ、イレギュラーの戦闘ではあるが、少し運動と行くかの」
「いや~、ここで格好よく討伐したら、また人気が上がるかな? まいったね」

 老師もロイドもどちらも戦う準備は万端といった表情をしていた。これではローラも断り辛い。

「すみません、ご迷惑おかけします」
「気にするな、この街があるからこその冒険者だ」

 まさに男気溢れるセリフと言えるだろう。ローラも思わず見惚れてしまう。ジラーク、ロイド、オルゲン老師の3人は、北のモンスターを討伐するためにギルドを出て行った。

「じゃあ、私も行ってくるわね」
「はあ、ジラークさん……素敵」
「聞いてないわね、これは」

 乙女の表情になっているローラをその場に残し、アメリアもギルドから出て行った。


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「レベル41の亡霊剣士に、レベル47のアイアンゾンビか……なかなかの面子だな」

 アーカーシャの街の北より2キロ地点に亡霊剣士が4体、アイアンゾンビが5体徘徊していた。街の入り口からは2キロしか離れていない為に、抹殺対象になる。

「めずらしいよな、この数は」

 通常はアーカーシャより、5キロ圏内にモンスターが発生した場合は、そのレベルによっては抹殺になる。だが、街の近くでレベル40以上のモンスターが出てくることは稀であった。

「これももしかして、隠しエリア開放の反動? いや、考え過ぎかな。それにしては弱いし」

 ジラーク達が戦闘体勢に入る中、遅れて追ってきたアメリアは彼らの背後でホワイトスタッフを片手に暇を持て余していた。

「ゲロゲロゲロ~~! ゲエエエエエエ!」

 アイアンゾンビ達とは別に出現していた、レベル4のお化けガエルを捕まえて舌を引っ張りながらアメリアは遊んでいた。カエルは痛そうに叫んでおり、他にも7体ほど出現していたが、痛がっているカエル以外はとっくに倒されていた。

「ジラークさん、加勢入ります?」
「お前は何を遊んでいるんだ……? 加勢はいらん。こいつらはブラッドインパルスが倒すさ」

 カエルで遊んでいるアメリアを見て、なんとも言えない感情になるジラーク。彼女の加勢は断った。元々、加勢を頼むつもりはなかったが。

そしてSランク冒険者パーティ「ブラッドインパルス」は3人それぞれが目の前の敵を見据えた。
 まず最初に飛び出したのはジラークだ。彼は大斧を武器としており、背中に携えたそれを両腕に持ちながら、亡霊剣士に飛び込んでいく。戦闘スタイルは春人に近いところがあり、魔法は使わないが、圧倒的な攻撃と防御で敵を寸断するのだ。

「ふんっ!」

 ジラークは構えたブラッドアックスを上段から一気に亡霊剣士目がけて振り下ろした。亡霊剣士もその大振りを手に持つ剣でガードするが、もちろんそんなことでガードができるはずはなかった。ガードした剣は砕け散り、そのまま亡霊剣士の顔面にアックスは命中した。一刀両断のようにジラークのブラッドアックスは亡霊剣士を縦に切り裂いた。
 誰の目から見ても分かる完璧な一撃により亡霊剣士の1体は絶命したが、まだ周囲には亡霊剣士が3体徘徊している。危険を察知したのか、他の亡霊剣士たちはジラークに一斉に飛びかかってきた。

「俺の存在を忘れてもらっては困るぜ!」

 ロイドの持つ武器は美しい弓。そこから放たれる闘気の矢は、彼が作り出す弾数無制限の矢であり、高速で亡霊剣士の1体を射抜いた。だが、まだ仕留めていないため、彼はすぐに2撃目、3撃目の矢を放つ。闘気の矢のため、全て手元から瞬時に作り出されるようだ。

 ロイドの連続の弓矢攻撃により、2体目の亡霊剣士も沈んで行った。残りの亡霊剣士は2体。……のはずだが、ジラークがその間に1体を粉砕していた。彼の持つ赤い文様の入ったブラッドアックスはモンスターを攻撃した時の威力に応じて、体力が回復するエンドレスに戦える構造になっている。相手が死霊系であろうが、体力は回復するため非常に高性能な武器の一つだ。

「アイアンゾンビの相手はワシか」

 そして5体のアイアンゾンビの前に老師は立ちはだかる。彼は風属性の魔法を得意としており、素手から発生した風の塊はそのままアイアンゾンビ目掛けて飛んでいく。

「ぐるるるっ!」

 アイアンゾンビの強靭な皮膚を切り裂く風の弾丸……命中したアイアンゾンビは相当なダメージを負ったのかよろめいた。しかし、倒すには至らない。反撃とばかりに、アイアンゾンビは老師目掛けて徒党を組んで迫ってきた。

「ふむ、さすがはアイアンゾンビ。あの程度の攻撃では倒せぬか。ではワシも本気で行くとしよう」

 目の前に迫るアイアンゾンビを前に、オルゲン老師は目つきを一変させる。現在の彼は本来の攻撃スタイルである格闘術へとパターンを移行させていた。そこに普段の穏やかな彼の姿はなく、鬼の形相が存在していた。

「ふんっ!」

 アイアンゾンビの顔面にめり込む強力な掌底。その一撃は強烈であり、アイアンゾンビの顔面を粉々に吹き飛ばしたのだ。いくら死霊系とはいえ、顔面を破壊されて動くことは叶わない。そのまま身体は溶けて行った。

「すごい、さすが老師。腕が衰えてないというのは本当ね」
「ゲエエエエ……!」

 相変わらずお化けガエルで遊んでいるアメリアは、老師の戦いを後方から見ていた。彼の動きはその場所からでもわかる程に洗練されており、50年の大ベテランという風格すら漂わせていた。
 一撃ごとにアイアンゾンビの頭数は確実に減って行く。

「アメリアよ、1体欲しいかの? 暇であろう」
「あ、さすが老師。こっちにいただいてもいいですか?」

 アメリアの声が明るくなる、どうやら本当に暇だったようだ。お化けガエルの長い舌を蝶々結びにして遊んでいた彼女は、カエルの舌を元に戻してやった。老師は彼女の言葉を聞いて、1体だけアイアンゾンビを残し、うまく彼女のところへ誘導する。

「あんたは行きなよ。きまぐれで助けてあげる」
「ゲロロ……?」

 そして、今まで遊んでいたお化けガエルを解放した。カエルは一瞬戸惑っていたが、老師が敢えてアメリアの方向に行くように誘導したアイアンゾンビが近づいて来た為に、解放されたお化けガエルは一目散に逃げて行った。

「さ~て、悪いけどあんたは死んでもらうわ」

 そう言いながらアメリアはホワイトスタッフを構える。そして中に仕込まれている剣を取り出した。
 そして、彼女は仕込み杖を超高速で振り抜き、一瞬の内にアイアンゾンビの首を切り飛ばす。同時に両腕も切り落としていた。その剣速は老師ですら追いきれない程に速い。

「見事じゃの、フォッフォッフォッ」

 成長した孫を見るような表情で老師はアメリアの戦闘を賞賛した。既に戦闘を終えていたからか、彼はいつの間にか穏やかな老師へと戻っている。

「完了っと。向こうも終わったみたいですね」
「そのようじゃな」

 アメリアと老師の視線を向ける先、ジラークとロイドの二人も既に戦闘を終了させていた。彼らの前には大量の結晶石が散乱している。これをもってアーカーシャの北に出現したモンスター討伐は終わりを迎えた。


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「ジラークのメンバーと一緒に専属員として戦ったのか?」
「うん、まあね」

 時間は夕刻過ぎ。いつも通り「海鳴り」にてバーモンドと話しをしているアメリア。昼間の警報音の鎮静化に出向いたことを彼に話した。アメリア含め、4人のSランク冒険者が一同に参加していたことが何よりの驚きのようだ。

「敵もけっこうな強敵だが、こっちの面子ははるかに上だな」
「まあね、お化けガエルは勿論、亡霊剣士なんかも大したレベルにならないわね」
「ジラークの奴は元気だったか?」

 バーモンドの優しげな質問にアメリアは静かに頷いた。一回り近く年齢は離れてはいるが、バーモンドが現役の頃はジラークと親しかったのだ。それはアメリアも聞かされていた。

「あの野郎、最近は酒場に来ないからな」
「照れくさいんじゃない? あれでジラークさん照れ屋っぽいし。実力はまた上昇してるかもよ、ブラッドアックスのエンドレス攻撃も健在だし」
「マジか……俺は、結局はAランクには行けなかったからな。当時からあいつとの差は感じていたが……さらにとんでもない差ができてるんだろうな」

 バーモンドは現役時代はBランクの冒険者であり、当時のジラークもAランクの冒険者として活躍していた。10年以上前の話にはなるが。

「そういえば、もうすぐ三国の会談か……」
「そうだな、要人の方々も集まってきてるはずだぜ。また、例の如くぴりぴりした状況になりそうだな」
「うん、それに今回はもっと色々起こりそうだし」

 賢者の森での暗殺者リガインの言葉を再び思い出すアメリア。アルトクリファ神聖国がどのように出てくるのか……それに他の二国も黙ってはいないだろう。比較的平和だった去年までの会議とは違い、緊張の糸が一気に切れる可能性すらあるのだ。アメリアはその辺りを若干危惧していた。

「あれ、アメリア?」
「ん? 春人じゃない。それにエミルも」
「こ、こんばんは」

 そんな時、「海鳴り」の入り口から入って来たのは、デートを終えたばかりの二人であった。アメリアの姿を見て、どこか緊張している印象だ。

「そういえばデートだったっけ? 楽しかった?」
「う、うん。もちろん」
「はい、とても楽しかったです」

 アメリアは昨日のように二人を見ただけでは機嫌は悪くならなかったが、どこか二人の雰囲気に違和感を感じた。なにか達成した時のような余裕が感じられたからだ。

「それでは、春人さん。私は先に部屋に戻りますね。また後ほど」
「わかった。またね」

 おかしい……なにか今朝までとは違う雰囲気を二人の間で共有している。アメリアの心の中にはそういった感情が渦巻いていた。

「アメリア……? どうした?」
「べっつに」

 アメリアは昨日の再燃というわけではないが、声のトーンが下がっていた。春人もそれを感じ取ったのか、若干脅えている。

「で、春人? キスは済ませたの?」
「な、なんでそれを……!? 見てたのか?」

 カマをかけただけのアメリアだが、どうやら図星だったようだ。春人は顔を真っ赤にしてアメリアに聞き返している。

「初デートでいきなりキスとかやるわね、ホント」
「あ、いや……雰囲気でさ……ほら」

 春人はもはや隠しきれないと思ったのか、明後日の方向を見てアメリアには視線を合わせなかった。通常のデートであればそれくらいは普通かもしれないが、偽のデートである。アメリアの表情は明らかに強張っていた。

「どういうつもりよ? 偽物の恋人関係なわけでしょ? もしかして本気で好きになったの?」
「い、いや、その……なんとなく、時計塔の前だし雰囲気がそういう雰囲気かなって……!」

 今にも羽交い絞めにしそうな勢いでアメリアは春人に迫って来ていた。そんな様子をバーモンドはカウンター越しに見ている。

「はっはっは、やるじゃねぇか春人。まあ、そんくらいした方が目立つしな。これでエミルの安全も多少は向上しただろ」

 春人への助け舟なのか、バーモンドは彼をフォローするような形で発言した。アメリアとしても、バーモンドの的を射た発言内容を聞いて少し冷静になる。

「あ、まあ……エミルは安全になったかもしれないけど」
「元々はエミルの安全を守る上でのデートだしさ」
「う、うん……」

 アメリアは少しずつしぼんでいった。思わず勢いを出してしまった為に、どうしたらいいのかわからなくなったのだろう。

「な、納得してくれた?」
「え、ま、まあ……そういうことなら」

 アメリアは素直に春人に言った。今の彼女からはしおらしさすら感じる。

「春人、お前も本当に罪な奴だな。まあ、提案した俺が言うのもなんだが……ま、これからも楽しめよ。はっはっは、こんな態度のアメリアはマジでめずらしいからな」
「バーモンドさん……」

 春人たちの関係性を理解しているのか、バーモンドは大笑いをしていた。そんなバーモンドにアメリアは心中を見抜かれた恥ずかしさを感じ取り、近くにある小物を投げ込んだそうな。
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