攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

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16話 円卓会議 その1

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 バーモンドの酒場「海鳴り」……毎年のことではあるが、この時期は酒場の内部もその話題で持ちきりになるのである。いわゆる円卓会議と呼ばれるアーカーシャの街の周辺三国のトップが集う会議だ。

 お互いがアーカーシャに権力の象徴となる建物を建て、資金提供を行い冒険者の支援などを行う。分割統治となっているアーカーシャではあるが、今は結晶石の重要性などからも少しでも優位に立ちたいと思うのが三国それぞれの考えでもあった。


 円卓会議は最高権力者の集う場となる為、その護衛として出てくる者達もいずれも実力者揃いとなる。襲撃などが起こる可能性が高く警戒が必要な時期となるが、それ以上に実力者が集まることで安全性の方が増しているのが現状だ。



「え? アーカーシャの独立?」
「まあ、そんな話は以前から出ていたが、今回の会議で本格的に持ち出すつもりらしいぞ。アメリアの方が詳しいだろ、そういうのは」

 アメリアとしてもローラなどからの話でそういう情報は仕入れてはいるが、個人的には乗り気ではない。彼女は生まれ育った地が戦火に巻き込まれるのは好まないのだ。


「円卓会議で独立の発表か……なんだか情勢がものすごく動きそうだけど」
「はい……私も少し不安かもしれません」

 ここにきて間もない春人はともかく、エミルも会談の結果どのようになるのかを心配していた。彼女からすれば、父親の働き先である鉱山がどうなるかという不安が大きいのだろう。
 春人も日本のことを考えていた。日本も海を隔てた国との争い紛いのことは良く起こしている。1つの島を巡っての主張などがそれに該当するが、今回の円卓会議はまさに、それに当てはまると言えるだろう。


「といってもまだ1週間あるし。春人、良かったらギルドに様子を見に行かない?」
「そうだね、行こうか」


 そう言って、彼はすっかり治った左腕を適度に振り回した。腰にはユニバースソードを装備し、腕には例の闘気を収束させる籠手を付けている。


「春人さん、アメリアさんもお気を付けて」
「大丈夫よ、エミル。ギルド本部に行くだけだし」
「じゃあ、行ってきます」
「おう、気を付けろよ、今は殺気立ってるからな」


 春人とアメリアの二人は、バーモンドとエミルの二人に見送られて酒場を後にした。


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 円卓会議まで1週間となっており、各国の権力者も集い始めた今日。冒険者ギルドもそれに併せて殺気立っていた。


「あらら、去年以上に殺気立ってるわね、今年は」
「すれ違ったことがある冒険者もいるけど……知らない冒険者も多いな」

 ギルドの扉を抜け、ソード&メイジの二人は入った。いつも以上に多い冒険者の視線が春人たちに集中する。

「要人の護衛をしている連中はここには来ないからね。あとは遠征メンバーとか。国のお抱えなんかもいるでしょ」
「めちゃくちゃ視線感じるんだけど……」
「堂々としてればいいのよ。畏怖の視線と、円卓会議で殺気立ってるから、敵意の視線の両方が入り乱れてるだけ」

 春人とは違い、アメリアはすっかり慣れている様子だ。春人も少し冷静になり周囲の視線を感じ取る。確かに、敵意ばかりではなく、畏怖している者もいるようだ。少し前に達成したグリーンドラゴン討伐も明らかに含まれているのだろう。

 春人がグリーンドラゴンを討伐して2週間ほどになるが、彼の腕はそれだけの期間で完全に治っており、これも彼の自己治癒力の高さと言えるだろう。新たに手に入れたユニバースソードを腰に下げ、春人は颯爽と歩く。

 グリーンドラゴン討伐の噂は冒険者の間に広く駆け巡っており、その功績は高く評価されていた。3つ存在するSランクパーティの中でも総合能力は最強との噂もあるくらいだ。

「私達はSランク冒険者。今、敵意の視線を向けているのはCランクくらいの冒険者よ。相手するだけ無駄だから、春人に傷1つ付けられないって」

 アメリアは全く視線を気にしている素振りは見せない。近くの空いているソファーに腰かけながらそう言った。春人も隣に座る。強者ほど、単純な敵意は見せないということだろう。

「Cランク冒険者って、どのくらいなんだ?」
「オルランド遺跡の入り口も入れないわよ。別にそれを見下すつもりはないけど、意味もなく敵意の視線を向けてくる奴らは別ね」

 アメリアはわざと大げさに脚を組んで見せた。気にしていない素振りはしていたが、気分は良くないようだ。

「春人は自分の実力の高さに優越感を感じていればいいのよ。それが上位者の務めだし」
「本気では言ってないと思うけど、敵が多かったんだな」
「まーね」

 春人は改めてアメリアの7年間の苦労を想った。年若い少女一人での探索……危険なものはモンスターばかりではなかったはずだ。

「危険もたくさんあったんだな」
「もちろん、涙なくしては語れないこととか色々ね」

 アメリアは笑顔を絶やさずに言った。その表情が春人にとっては辛さの裏返しと映ってしまう。

「年若い彼女は、男の魔の手にやられてしまい……同情致しますわ」

 そんな時、春人の隣から艶やかな女性の声が聞こえた。

「誰かと思ったら……レナじゃない」

 アメリアは現れた女性の名前を口にする。春人も振り返って女性に目をやった。その女性はどこかのお店でダンスでもしているかのような踊り子の服を着ていた。腹は大きく出ているので露出度は高い方だが、下に穿いている物は比較的厚手の物だ。

 砂漠にでも住んでいるのか、頭にはターバンを巻いている。適度に日に焼けた健康的な肌をしていた。そしてもう一人、彼女の後ろには瓜二つの顔をした女性の姿もあった。服装も似ているので見分けがつかない。髪の長さで判断するしかない状況だ。

「うふふ、お初にお目にかかりますわ。わたくしはレナ・イングウェイと申します。こっちは双子の妹のルナ・イングウェイ。高宮春人さま、お噂は聞いております」

 レナは春人に深々と頭を下げた。春人は思わず恐縮してしまい、慌てて頭を下げる。名前を知られていたことに驚いたが、自分の名前は知れ渡っていることを遅れて理解した。

「ど、どうもご丁寧に……レナさんと、ルナさんですかね?」
「……ん」

 春人はルナの方にも目をやったが、彼女はほとんど無言でなにを言ったのか聞き取れなかった。

「申し訳ありません、ルナは少し人見知りでして。もう私達も19歳になりますのに恥ずかしいですわ。一応、Sランクの称号は頂いているのですが」
「レナとルナはコンビよ。「ビーストテイマー」というパーティでSランク冒険者よ」

 アメリアが彼女たちの紹介を捕捉した。レナもアメリアに向き直る。

「久しぶりですわね、アメリア」
「レナもね。最近見てなかったけど、遠征でもしてたの?」
「いえ、故郷に帰っておりましたわ。すこしのんびりさせていただきました」

 二人の会話を見て、旧知の間柄ということを悟った春人。彼の記憶でも彼女たちを見たことがなかったが、休暇を取っていたとのことで納得がいった。

「で、円卓会議で戻って来たと。ホントこの時期は面倒よね」
「うふふ、そうですわね」
「あ、あとさっきの話だけど、襲われてないから! 全部叩き潰してるわよ、間違えないでよね」

 春人はアメリアがなんのことを言ったのかわからなかったが、過去の7年間の話だったことを理解した。彼女の発言から、襲われかけたが全て倒しているということだろう。貞操は守られているということを聞いて、少し春人も安心する。

「春人さまに誤解を与えたままというのが嫌なんでしょうけど、そんなに素早く否定しなくても冗談でしてよ」
「べ、別に春人は関係ないし……」

 少しアメリアは口ごもったが、春人は聞き流していた。

「そういうことにしておきましょうか。ところで春人さま」
「は、はい……なんです?」

 ターバンを巻いた美しい女性の顔が近くまで来る。年上の女性ということもあり、すこし緊張してしまう春人であった。ターバンから出ている髪はやや茶色がかっており、後ろ側に全て髪を下していた。ちなみに、ルナは髪が肩にかからないくらいの短さになっている。

「先ほども話題になっておりましたが、春人さまはグリーンドラゴンを単騎で倒されたとか」

 レナはそれほど大きな声で話しているわけではないが、Sランク冒険者の話。聞き耳を立てている者も多かったのか、彼女の話に合わせてどよめきが鳴った。

「ええ、まあそうですね……強敵でしたが」
「レベル100を超えるモンスターを……しかも鉄の剣で倒されたとお伺いしましたわ」
「はい……ただ、アメリアと二人がかりで討伐するべきした。100%倒せる手段があったのにそれを怠ってやられてしまっては意味がないと学びました」

 レナの眼には春人の言葉は謙虚に映ったのか、感銘を受けているような素振りを見せた。ドラゴン討伐自体は既に周囲にも知られていることだが、本人から改めて言われると、周囲の印象も違うようだ。相当にざわついている。

「感動致しますわ。それだけの偉業を成し遂げても決して奢らない態度。わたくしも学びたく存じます」
「春人の性格だと思うけどね。ところで、グリーンドラゴンってレナ達は召喚できないの?」

 アメリアの言葉で話題は双子の姉妹へと移った。

「まさか……グリーンドラゴンはできませんわ。基本的に、モンスターを召喚したり創り出す場合は、自分よりも弱いモンスターしか生み出せませんのよ」
「あれ? あんたってグリーンドラゴンより弱かったっけ?」
「さて、どうでしょうか? あまり買い被られても困ってしまいますわ」

 レナはアメリアの質問に対して、スタイルの良さを強調するかのように大げさにポーズを取って答えた。かなりはぐらかしている回答ではあるが。アメリアはレナのことをわかっているのか、とくに深い突っ込みは入れない。


「まあ、グリーンドラゴンは召喚できないということね。でも召喚士としての能力でレナ達より上の人なんて知らないけど」
「わたくし自身も存じませんわ。まあ、グリーンドラゴンの召喚はできませんわね。グリーンドラゴンは」

 少し含みのある笑みを彼女はアメリアに向け、敢えて強調するように「グリーンドラゴン」という単語を2回使った。これがどういう意味なのかは、春人にはわからなかったが、アメリア自身は気付いているようだ。

「……あんたって案外、秘密主義よね」
「それはお互い様な気がしますわ。アメリアも実力の底を見せないという意味では」

 レナとアメリアは両者とも自信に満ちた笑みを浮かべていた。春人は気付かなかったが、底を見せない二人の腹の探り合いといった様相が伺えた。
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