攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

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57話 封印解除

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「なんだって? それは本当かい?」
「本当だぜ! 時間もあったし直接この目で聞いてきたぜ!」
「オルガ……この耳と訂正した方がいいな……しかし、鉄巨人が……」

 場所はアーカーシャの南のアクアエルス遺跡の入り口……ジャミルとオルガの二人が会話をしていたのだ。

「鉄巨人が現れたのは何時かは聞いたかい?」
「どうも昨日らしいな。オルランド遺跡の最深部に1体、地上部分のアーカーシャ郊外に1体だ! こんなことは1000年間でも初めてじゃねぇか?」
「そうだね。それにレベル400のモンスターを一人ずつの人間が討伐したのも初めてだろう……ふふふ、さすがはSランク冒険者。ああ、ミルドレアは冒険者ではないが」

 オルガはこの鉄巨人が現れた情報をアーカーシャの街で仕入れ、ジャミルに報告していた。ジャミルもオルガの報告を受け、笑みを絶やさない。

「しかし、アクアエルス遺跡の最後の封印にこう何日もかかるとは思わなかったよ」


 彼らは何日も前にアクアエルス遺跡に到達はしていた。しかし、最後の隠しエリアの扉の封印の解除に時間を要していたのだ。

「ジャ~ミ~ル~。終わったよ~~」
「ああ、いいタイミングだメドゥ。さすがに暇を持て余していたところだ」

 アクアエルス遺跡の入り口から出てきたのは、今まで封印を解除していたメドゥだ。
彼女は昼夜を問わず尽力をしていたが、日数にして1週間ほど要したことになる。ジャミルは彼女を労い、体力を完全回復させる「メンタルウォーター」を与えた。たちまち、彼女の体力は元に戻って行く。

「奥には、どのくらいの者がいるのかしら?」
「さて、アーカーシャでは先日、鉄巨人が出てきたとの噂だ。こちらにもそのクラスは潜んでいるかもしれないね」

 メドゥと一緒に遺跡に入っていたアンジーが口を開く。ジャミルの口からは鉄巨人という言葉が出てきたが、彼は臆している様子は見せない。

「うふふ、鉄巨人クラスと聞いて尻込みしないジャミルはさすがね」
「君の故郷も、1000年前にフィアゼスに滅ぼされたのだろう? 皆感じていることは同じさ」
「私達4人は滅ぼされた者の末裔……うふふ、こんな巡りあわせがあるかしら」

 アンジーもジャミルも笑いながら話してはいるが、その表情の奥の心は決して笑ってはいなかった。1000年前の無念が彼らにも伝わっているかのようである。

「アルゼル・ミューラー。彼のことを知ったのはたまたまだが、人に仇なす者は殺さねば……この地は我々人間の物だ。モンスターの所有物ではない」

 ジャミルはそう言いながら、自らが殺したアルゼルのことを思い出していた。アーカーシャを裏切り、神聖国の住人になろうとしていた小心者。そして、非常に美人の何人かを囲い、欲望に満ちた生活を考えていた者だ。

「まあ、そんな輩の計画も潰したわけだ! あとは遺跡の隠しエリアに集中できるってわけだな!」
「そ~う~い~う~こ~と~」

「シンドローム」最強を誇るオルガとメドゥの二人もかつて、故郷を滅ぼされた者達だ。成長し、遺跡の現状を知り集結したことになる。彼らの正義……それは、フィアゼスの作り出したモンスターの死であった。

「レベル200未満のモンスターは消し去ることはできないが……それ以上のモンスターは、理論上滅ぼすことが可能だ。かたき討ちという意味合いでは、我々以外に適任は居ないだろう」

 サキアが話した内容についてもジャミル達は情報として持っている。彼らは各地に点在する、1000年前に滅ぼされた故郷の末裔。外に情報が漏れない形で当時の内情などが各地に残っていた。神聖国以外で、隠しエリアの封印解除を知るのもそういったところからきている。

「メドゥ、最深部のキマイラ4体は元気だったかい?」
「大丈夫~~元気~~」
「よし、それならいい。さあ、アクアエルス遺跡の完全攻略と行こうじゃないか」

 鉄巨人の噂を聞いても臆することがない4人は、武者震いを見せながら遺跡内部へと足を踏み入れた。目指すは最深部の奥……隠しエリアだ。


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 場所は変わってアーカーシャ。まだ鉄巨人を退けて1日ではあるが、その噂は街中に広がっていた。地下で鉄巨人を倒した春人、そして地上で同じことをしたミルドレア。二人の話題で持ちきりの状態だ。

「ミルドレアが結果的にアーカーシャを救ってくれたわけか……なんだか変な気分だね」
「はい、春人さん。でも、元々神聖国は分割統治をしていた国ですし、特に敵と言うわけじゃないと思うんです。アーカーシャにとっては今後の交易相手になるだろうし」

 やや興奮したように話すのはアルマークであった。バーモンドの酒場で話をしているわけだが、昨日のミルドレアの圧倒的な強さに心が揺さぶられたのだ。

「そんなに彼は強かったの? まあ、話を聞くだけでも他の人も同じようなことを言ってたけど」

 春人は縦横無尽のテレポートでの槍攻撃で、鉄巨人にほとんど何もさせなかったと聞いていた。アルマーク以外の目撃者も同じように言っていたのだ。

「はい! 春人さんには失礼かもしれませんけど……もしかしたら、春人さんでも適わないかも……」

 アルマークはミルドレアの姿を思い浮かべながら、なおも興奮したような口調になっていた。
春人としては微妙な感情も芽生えるが、確かにミルドレア・スタンアークという人間はそれだけの力を有するのだろうという思いはあった。噂に聞くテレポートの魔法だけでも自分では反応できないからだ。
さらに、強烈な槍攻撃なども瞬時に行えるのであれば、戦局は確実にミルドレアに傾くだろう。


「あの男は、オルランド遺跡の隠しエリアに向かったのかな?」
「そうかもしれませんね。僕やイオがお礼を言っても、馴れ合いを嫌うのかすぐに去って行きましたし」

 アルマークの何気ない言葉。それを考えると、既にミルドレアはオルランド遺跡の最深部へ行っている可能性は高い。
昨日、鉄巨人というモンスターを無傷で倒したのだ。彼の更なる挑戦意欲は最高潮に達しているだろう。

「それに、なんだかお連れさんと良い雰囲気で……へへ、微笑ましかったですよ」
「まあ、それはおめでたいんだけど……アルマークもイオと付き合ってるんだよね?」
「あ、はい。照れくさいですけど」

 春人の問いかけに、アルマークは頷きながらも顔を赤らめていた。自分のことを慕ってくれる後輩のはずが、いつの間にか先を越されたようで、春人としてはなんと言っていいのかわからなかった。既に身体を重ねていることも聞いている。

「イオと仲良くね」
「はい、春人さんも早く一人に絞らないとダメですよ?」

 なぜかとても耳の痛い春人。後輩のアルマークにこんなにも早く、そんなことを言われるとは予想していなかっただけに、余計に痛い。なにか話題を逸らせないか……彼は咄嗟に妙案が浮かんだ。

「そうだ、イオと付き合ったなら、もうメドゥには会いにいけないな」
「ええっ!? ……ああ、そっか……そうですよね……」

 春人からのそんな言葉。その意味を知ったアルマークはとても残念そうにしていた。しかし、一途なアルマークが否定できるわけがなかったのだ。彼は肩を下げながらも、決して例の店に行くとは言わなかった。

「あははは、まあお互い行けないかな」
「そうですよ! 春人さんなんてもっと痛い目に遭いますよ? イオはなんだかんだ優しいですから、少しは許してくれそうですけど」
「はい、とりあえず、イオには密告しておくよ」
「ちょっ! 春人さ~~ん!」

 アルマークは涙目になりながら、春人に懇願していた。春人としても可愛い後輩にそんなことをするはずがない。笑顔で密告については否定した。
 だが、そんな彼らの会話を聞いていた人物が居たとは、二人は知らなかった。

「随分楽しい会話してるじゃない? 春人」
「アルマーク~~どのお店に行くって?」

 笑顔の美少女二人が、とても寒々しい空気を発しながら二人の席の前に立っていた。春人とアルマークは本気で命の危険を感じたそうな



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「春人のアホ、バカ! なに考えてんのよ……!」
「す、すみません……」
「マスター……さすがに擁護できません」

 春人は綺麗にくっきりと両の頬にビンタの跡を付けていた。もちろんアメリアのビンタである。サキアもむくれているのか、春人に顔を合わせていない。

「サキアまで……そんなに怒るなんて、ごめん……」
「私をめちゃくちゃにしていただけるのでしたら、すぐに許します」

 春人はサキアのかなりエッチな発言に思わず顔を見上げた。どこまでも虐められるとこを望んでいるサキアに少し、くるものがあったのか。その様子を見たアメリアはさらにものすごい笑顔になっていた。

「え? ち、違うよ! なにも考えてないって……!」
「へえ~~? 私にはとてもそんな健全には見えないけどね~~? なに、サキアを虐めたいとは内心では思ってるの?」
「そ、そういうわけじゃなくて……! あの、その……!」

 その後、アメリアを説得するのは相当に骨が折れた春人であった。何回かビンタも浴びたので、頬がさらに腫れてしまい、サキアもオートガードでそれらの一撃を守ることはなかった。

 周囲の冒険者たちは昨日の鉄巨人の話題で持ちきりであるが、一際異質な雰囲気の彼らの席に近づこうとする者は居なかったと言う。

「あ、そうだ。ミルドレア……さんって、オルランド遺跡に行きましたよね?

 メドゥに関することで、春人の前の席ではアルマークがイオに強く問い詰められていた。それも一通り終わったのか、身体を色々と殴打されたアルマークの隣で、イオはミルドレアの噂を出していた。

「癪だけど……まあ、街を救ってくれたのは事実だしね。私達にそれを止める権利なんてないわね」
「……うん、そうだね」

 イオの質問に、アメリアと春人も納得せざるを得なかった。元々、隠しエリアの開放自体も妨害はしていないのだ。今更、止めようとも考えていない。

「ところで、春人? 私達は遠征の準備しなきゃ。色々、長い間出ることになるし、薬とかも買った方がいいわね」
「ああ、そういえばリザード討伐の依頼受けないとね。なら例の店に……」
「へえ、いい口実って感じかしら?」
「いや! 今のは別に……! クライブさんにも会った方がいいと思って!」
「聞く耳持たないわ」
「そうですね。マスター、覚悟してください」

 春人は必死で弁解するが、そんなものはアメリアとサキアには関係がなかった。勢いよく春人の身体に雪崩れ込み、彼はそのまま揉みくちゃにされてしまった。そんな光景には、アルマークとイオを含め、エミルたち周囲の人間も苦笑いを浮かべていたという。


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「ここが8階層最深部ね」
「そのようだ。今は居ないが、鉄巨人が存在していたのだろう」

 その頃、ミルドレアとエスメラルダの二人はオルランド遺跡の最深部へと到達していた。ここへ来るまでに遭遇したモンスターレベルは相当に高かったが、彼らからすればそれ程でもない。エスメラルダはともかく、ミルドレアは息一つ切れていなかった。

「ミル、あなたは本当に凄いわ。私としてもその……まあ、色々……」
「ありがとう。お前にそう言ってもらえるのは嬉しいよ」
「も、もう……」

 昨日の突然の告白もあり、エスメラルダは時折、思い出してしまう。ミルドレアは特に変わった様子はないが、彼女への親愛の情は以前よりも増していた。まだ正式な返事はしていないエスメラルダではあるが、もはや答えは決まっている。


「ま、まあ……今は任務を遂行しましょう! あれが、8階層の隠し扉ね!」
「そのようだ……ここの途中で見た壁画のことも気になる。とりあえずは開放して……ん?」

 春人達が昨日鉄巨人を倒した場所。その地に二人の神官長は立っている。そして、目の前に存在する非常に大きな扉……それの開放に着手しようとした瞬間。轟音が辺りに鳴り響いた。

「え? な、なに……!?」
「扉が、開いて行くようだ……」

 突然の轟音に驚くエスメラルダと冷静なミルドレア。ミルドレアの言葉通り、前方の大きな扉は自動的に上へと開いて行ったのだ。

 そして全て扉が開き終わった時……とても大きな空間が二人の前に現れた。


「やはり相当な広さを有する空間のようだな」
「一体、何があるのかしら?」

 自動的に開いた空間に訝しげな印象を持ちながらも二人は、隠しエリアへと脚を踏み入れる。いくつかの柱は見て取れるが大きさはこれまでの隠しエリアとは比較にならない。そして、まず目に入ったのは赤い甲冑の巨体……。

「まさか……鉄巨人!?」
「そのようだ……起動はしていないようだが、全部で8体か」

 大刀を地面に置き、正座するような形で鉄巨人は左右に4体ずつ並んでいた。その中央にはカーペットのようなものが引かれ、それは中央の階段まで続いていた。
 そして……階段の上には、荘厳な棺が置かれている。

「あの棺を中心に鉄巨人が配備されているのかしら?」
「まあ、そうだろう……あの中に眠る人物は……いや、違うだろうな」

 ミルドレアが一瞬、頭をよぎらせた人物。それは1000年前の英雄に他ならなかった。しかし、彼はすぐにその考えを振り払う。自らの直感が告げていたのだ……それは違うと。

「棺を開けてみれば真実はわかるさ、行ってみるか」
「え? 鉄巨人の間をくぐって行くの? 8体も居るのよ!?」

 平然と言ってのけるミルドレアにエスメラルダは相当にテンパっていた。棺までの距離は30メートル程度。そこに列を作るように左右に4体ずつの鉄巨人が鎮座している。何時動き出すか分からない現状で、あの棺まで行く勇気は彼女にはなかった。

「万が一の為に、外へ脱出できる転送魔法は用意しているだろう? そう心配するな。俺が付いている」
「え、ええ……それはとても頼もしいのだけど」

 ミルドレアは鉄巨人を葬れるが、エスメラルダにそれはできない。彼に全幅の信頼は持っていても、恐怖というものは取れないでいたのだ。あの棺から発せられる、これまでとは比較にならない気配……それが、神官長である彼女の脚を踏み留まらせていた。

「エスメラルダ、お前が怖がる気持ちもわかるさ。俺も8体もの鉄巨人は意外だった。これまでとは比較にならないエリアのようだ。一度、戻るとしようか」
「え、ええ……ごめんなさい」
「気にするな」

 そう言ってミルドレアは優しく微笑む。普段は寡黙な白髪の二枚目が笑った。あまり見ることのない光景に、エスメラルダは乙女の感情を爆発させていた。顔がトマト以上に真っ赤だ。だが、そんな微笑ましい光景はいつまでも続きはしなかった。

 ミルドレアが気付いたとき、既に8体の鉄巨人の目からは光が灯っていたのだ。そして、各々の鉄巨人はすぐ隣の大刀を持ち立ち上がった。8体の鉄巨人が一斉に起き上がった瞬間であったのだ。
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