攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

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58話 親衛隊 その1

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「鉄巨人が8体……! 不味いわよ、ミル!」
「ああ、だが……それよりも危険なのはあの奥だ」

 突如起動した鉄巨人……その数は8体に上るが、ミルドレア達に攻撃を仕掛けてくる気配はない。中央に敷かれたカーペットにそのまま並ぶように彼らは整列し、剣を構えたのだ。その状態から微動だにする様子を見せない。

「鉄巨人が整列……こんなことって……一体何が起こってるの!?」
「後ろへ下がれ、エスメラルダ……どうやら、思っている以上に事態は深刻なようだ」

 8体の鉄巨人の整列を見て、ミルドレアは真顔になった。これ程の表情は初めてかもしれない。彼の表情に驚いたエスメラルダはすぐに後方へと移動した。

 そして、程なくして中央の階段の上に位置していた棺が開かれる……中から出てきたのは……。

「……少女?」

 後方へと移動したエスメラルダが真っ先に声をあげた。棺から現れたのは、どのように見ても10代の少女に他ならなかった。しかし、頭には獣耳が生えており、立ち上がる少女には尻尾も生えている。
 腹の出るデザインの服を着ており、下はミニスカートにスパッツという出で立ちだ。両腕には黒色の指の部分の開いた、肘まで隠すグローブを付けている。服装は全体的に青色であり、スパッツは黒といったカラーリングになっている。

 髪も黒髪であり、表情はあどけなさが残っている。非常に端整な顔立ちではあるが、目は獣のように瞳孔が収縮しており、眠たそうな雰囲気であった。

「あ~~、良く寝たぜ……まだ、眠いけどな……頭がおかしい」

 彼女は自らの頭を掻きながら、人間のように言葉を発したのだ。目をこすりながら、寝起きの人間のように欠伸をかいている。獣耳などからも明らかに人間ではないが、構造上は非常に近い存在であることが伺えた。

「言葉を……話した!?」
「予想はできていたが……さすがに、驚きだ」

 ミルドレアとは違い、エスメラルダの表情はとてつもなく驚いている印象だ。目の前の獣耳の美しい少女……壁画の状態や、周囲の鉄巨人の態度からもどういった存在なのかは明白だ。それだけに、エスメラルダは一層の恐怖が拭えないでいた。

 鉄巨人は欠伸をしながら階段を下りてくる少女に対して跪いていた。そこには圧倒的な主従関係を感じさせた。少女も鉄巨人に何も言わない。



「あ? なんだ、お前ら? この感じは……人間か?」

 階段を降り切ったところで、少女はミルドレア達の存在に気付く。眠たそうな表情は幾分、マシになっていた。

「その通りだ。まさか、人語を操るモンスターが居るとはな。驚いたぞ」

 ミルドレアの挑発的な言葉。彼はその少女を見て、アドレナリンをさらに分泌させていたのだ。鉄巨人8体を跪かせる存在……彼女が壁画の中央に描かれていたことからも、親衛隊のトップであることは間違いない。

「ああ、数百年以上は経過してんのか? はは、この奥地まで人間が来れるとはな。鉄巨人の包囲網が敷いてあったはずだが……特に、男の方は相当強いな」

 青い服の少女は、その可愛らしい外見からは想像しにくい言葉使いながらも、ミルドレアを賞賛しているようだった。エスメラルダはさらに後方へと退く……彼女から発せられる強大な気配に恐れおののいているからだ。


「正確には1000年ほど経過している。この場所は、俺たちが入らなければ、作動しなかったのか?」

 念の為、ミルドレアは確認をした。自らの行為でこのような強大な存在を起こしてしまったのではないかという思いからだ。

「いや、私はどうせ目覚めてたぜ。まあ、そんな心配すんな、どうせ人間は滅ぶ。それに変わりはねぇよ」

 そう言いながら、青い服の少女は豪快に笑い出した。無邪気な彼女の言葉。恐ろしい程自然に出ている言葉だ。ミルドレアも少し戦慄を覚えた。

「俺たちが探索をしなくても目覚めていたということか……それは、少し安心した」

 ミルドレアの背後のエスメラルダはもはや言葉が出ない。指揮官の立場にあるであろう少女の言葉……人間は滅ぶ……。その言葉が恐ろしい程にエスメラルダの中で実感できていたのだ。

 その理由としては、8体の鉄巨人が挙げられる。この8体だけで、周辺の国家を滅ぼすには十分な戦力だ。それだけに、エスメラルダの震えは止まらないでいた。

 そして目の前の少女の強さ……エスメラルダとミルドレア、二人がサーチの魔法で戦力を計算していたが、イマイチ上限がわからないでいた。鉄巨人を従えていることと、圧倒的な気配からもレベル400を超えることは確実であるが。

「可能なら教えてくれ。お前はフィアゼスの親衛隊なのか?」
「ああ、そうだぜ。ジェシカ様の側近の一人、アテナだ」

 アテナと名乗る少女は簡単に素性を明かす。まるで息をするかのようなカミングアウトだ。圧倒的な余裕と言えるのかもしれない。

「つーか、ヘカーテの野郎! 私の可愛いフェンリルまで持って行きやがって! なんでむさ苦しい鉄巨人しか居ないんだよ! あの野郎、見つけたら制裁してやる!」

 ミルドレア達が臨戦態勢を取る中、アテナは急に怒りを露わにし、周囲の鉄巨人を蹴り始めた。鉄巨人は困ったような悲鳴を上げながら転がってゆく。手加減はしているのか、ダメージはないようだ。転がった鉄巨人はそのまま、寂しそうな表情と声を上げつつ、元に位置に戻って行った。


「まあ、いいや。とりあえず、目の前の人間で憂さ晴らしするか。寝起きの私は機嫌が悪いからな。頼むから、少しの間は持ってくれよ?」

 そしてアテナも臨戦態勢を取った。先ほどまでの波動とはさらに異質なものがミルドレア達を襲う。恐ろしいまでの波動……ミルドレアの表情は真の好敵手に出会えたそれに変化していた。

「フィアゼスの側近が相手か……相手にとって不足はないな」

 人生最大の好敵手。ミルドレアの中に生まれた言葉だ。彼の表情は戦闘狂を越えた人ならざる者へと変化しており、エスメラルダの身体をさらに後ろへと後退させた。今宵、この瞬間、頂上決戦ともいうべき戦いが繰り広げられることになった。
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