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4話

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「もう大分完成しているんですね」

「そういうことになるわね」


 私とクレア姉さまは後日、レストランの建設現場に訪れた。視察とは行ったけれど、少数のお付きを連れてのもので軽い印象を受ける。屋敷から近い場所に出来るから仕方ないのかもしれないけれど。貴族街の一角ではあるけれど、この立地条件はどうなのかしら? 近くに教会とかもあるけれど。そういえば、あの教会は思い出の地だったりするわね。幼いころにはよく行っていた。

 最近は忙しくなったので行けない日々が続いているけれど……本当に思い出深いわ。この教会の近くにレストランが出来て、そのレストランの視察に訪れるなんて、なんだか運命かもしれないわね。


「お店の名前は……エンデバー? はあ、独特なネーミングですね」

「どうかしらね。エンデバーっていう名前に心当たりはないの?」

「そういえば昔……」


 教会に通っていた頃の話だ。あの時は幼馴染……と言えばいいのか、知り合いになった男の子がいて、そんな彼と色々な話をしたっけ。教会の女神像の下で。


「エンデバー……よく考えると懐かしいかもしれないですね」

「あら、そうなの? それは奇遇ね」

「姉さまにも話してませんでしたっけ? 教会で知り合った男の子のこと……貴族だったのか、今では分かりませんけど」

「ああ……そんな話を聞いたことがあったわね。懐かしいわ。もう、5年以上前の話じゃない?」

「そのくらいになりますかね……懐かしい」


 レストランの視察に来てこんな懐かしい話になるとは思わなかったわ。思わず微笑んでしまったし。姉さまも昔のことを思い出しているのよね。


「確か貴族らしき男の子と知り合って色々話したのでしょう? 確か……」

「なんでそんなに含みのある言葉で言うんですか?」

「だって、当時のシンディ、とても可愛かったもの」


 姉さまは私のことを馬鹿にしている。まあ、姉さまが冗談好きなのは今に始まったことじゃないけれど。


「その男の子と趣味についても話したんでしょう?」

「そうですね、楽しかったです」

「それから……あんまり大きな言葉では言えないけれど、性に関することとか……うふふ」

「クレア姉さま……その話を今しますか?」


 周りの護衛や付き人が微妙な表情になっている。私達の言葉が聞こえているからだ。先ほどから視線を合わせていないし……。


「まあ、いいじゃない。聞かせなさいよ。あなたとそういう話をするのも珍しいんだから」

「それはそうかもしれませんが……はあ」


 なんだか話がおかしな方向にいっている気がする。というより、レストランの視察は大丈夫なの? こんなところで「性」の話なんかしていて……。

「姉さま、視察の方は大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。まだ、お見えになっていない様子だからね。まだ時間があるの」


 ……? 他に誰か視察で来るのだろうか? なんだかおかしな展開になっている気がするけれど……。
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