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16話
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クラレンス第四王子殿下から、ボイド様を叱責する許可が出たことで、ソアラ姉さまはどうやら抑えていた枷を、自らは外したようだ。もうだれにも止められない……。クラレンス様が許しを出したとは言っても、かなり引き気味ではあったけれど……。
「イレーヌ・ミラー侯爵令嬢と婚約する為に、私の妹であるレミュラを切り捨てた……これに間違いはありませんわね? ボイド・カーティス公爵?」
「う、うむ……間違いないが……」
ソアラ・シェルブール伯爵令嬢による尋問が開始されている。伯爵令嬢である姉さまが、公爵であるボイド様を尋問するという、どこか冗談のような雰囲気が辺りを包んでいた。
冗談の空気とはいえ、ソアラ姉さまの表情はいたって真剣だ。彼女の尋問が加速するように続いていく。
「本来ならば、すぐにでも慰謝料を支払い、土下座をしなければならないような事態でしょう。レミュラから聞いたあなたの態度を鑑みれば……」
土下座はまあ、ともかくとしても……確かにボイド様はそのくらいのことをしなければならなかったと思う。仮にも国を代表する公爵という貴族の当主という立場のお方なのだし。痛いところを突かれたのか、ボイド様は明らかに不満気な表情に変わっていた。
「貴様……黙ってきいておれば、伯爵令嬢如きが調子に乗り追って……」
「伯爵令嬢如き?」
「ああ、その通りだ。フォックス・マゼラン大公殿下と婚約をしているからと言って、調子に乗っているだろう?」
ソアラ姉さまに対して、見事な返し……にはならない。そんな言葉が返ってくることは、姉さまだって予想済みだったのだから。昔から一緒に居る為に、彼女の表情ですぐに分かった。
「何をおっしゃっているのか。私は今はフォックス様の話はしていませんよ? それには伯爵令嬢如きという言い回し……いくら公爵様とはいえ、そんな差別的発言が許されるとでも思っているのですか?」
「ぬ、ぬぬ……! 貴様……!」
「私の妹のレミュラを愛人にしようとした分際で……よくもまあ、公爵などと名乗っていられますわね。本当に恥ずかしい……私だったら、恥ずかしさのあまり入水してしまうかもしれません……はあ」
とてつもない程の連続攻撃がソアラ姉さまから返って来た。ボイド様は何も言えなくなっている。フォックス・マゼラン大公殿下の権力を使わずしても、ボイド様に勝ち目なんてあるわけがなかった。クラレンス様が近くに居る状況を狙ったのは、あくまでも保険の意味合いなんだろう。
「じゅ、入水だと……!?」
「ええ、そのくらい恥ずかしい状況だと言っているのです」
入水というのはもちろん、単に水に入るという意味で使ってはいない。簡単に言うと、あの世へ行くという意味合いだ。
「そして……極めつけは、イリーナ令嬢がわがまま過ぎるからという理由で、私のレミュラに再び迫ってくる身勝手さ……! 身勝手を通り越して、褒めて差し上げたくなる程ですわ!」
怒り心頭のソアラ姉様……それを聞いているボイド様は顔中に汗を流しながら、とても焦っている様子だった。
正論の嵐だけれど、偶に「私の」って入れるのは遠慮して欲しいかな。なんだか、身の危険を感じてしまうので……私ってソアラ姉さまの物だったの? という。
「イレーヌ・ミラー侯爵令嬢と婚約する為に、私の妹であるレミュラを切り捨てた……これに間違いはありませんわね? ボイド・カーティス公爵?」
「う、うむ……間違いないが……」
ソアラ・シェルブール伯爵令嬢による尋問が開始されている。伯爵令嬢である姉さまが、公爵であるボイド様を尋問するという、どこか冗談のような雰囲気が辺りを包んでいた。
冗談の空気とはいえ、ソアラ姉さまの表情はいたって真剣だ。彼女の尋問が加速するように続いていく。
「本来ならば、すぐにでも慰謝料を支払い、土下座をしなければならないような事態でしょう。レミュラから聞いたあなたの態度を鑑みれば……」
土下座はまあ、ともかくとしても……確かにボイド様はそのくらいのことをしなければならなかったと思う。仮にも国を代表する公爵という貴族の当主という立場のお方なのだし。痛いところを突かれたのか、ボイド様は明らかに不満気な表情に変わっていた。
「貴様……黙ってきいておれば、伯爵令嬢如きが調子に乗り追って……」
「伯爵令嬢如き?」
「ああ、その通りだ。フォックス・マゼラン大公殿下と婚約をしているからと言って、調子に乗っているだろう?」
ソアラ姉さまに対して、見事な返し……にはならない。そんな言葉が返ってくることは、姉さまだって予想済みだったのだから。昔から一緒に居る為に、彼女の表情ですぐに分かった。
「何をおっしゃっているのか。私は今はフォックス様の話はしていませんよ? それには伯爵令嬢如きという言い回し……いくら公爵様とはいえ、そんな差別的発言が許されるとでも思っているのですか?」
「ぬ、ぬぬ……! 貴様……!」
「私の妹のレミュラを愛人にしようとした分際で……よくもまあ、公爵などと名乗っていられますわね。本当に恥ずかしい……私だったら、恥ずかしさのあまり入水してしまうかもしれません……はあ」
とてつもない程の連続攻撃がソアラ姉さまから返って来た。ボイド様は何も言えなくなっている。フォックス・マゼラン大公殿下の権力を使わずしても、ボイド様に勝ち目なんてあるわけがなかった。クラレンス様が近くに居る状況を狙ったのは、あくまでも保険の意味合いなんだろう。
「じゅ、入水だと……!?」
「ええ、そのくらい恥ずかしい状況だと言っているのです」
入水というのはもちろん、単に水に入るという意味で使ってはいない。簡単に言うと、あの世へ行くという意味合いだ。
「そして……極めつけは、イリーナ令嬢がわがまま過ぎるからという理由で、私のレミュラに再び迫ってくる身勝手さ……! 身勝手を通り越して、褒めて差し上げたくなる程ですわ!」
怒り心頭のソアラ姉様……それを聞いているボイド様は顔中に汗を流しながら、とても焦っている様子だった。
正論の嵐だけれど、偶に「私の」って入れるのは遠慮して欲しいかな。なんだか、身の危険を感じてしまうので……私ってソアラ姉さまの物だったの? という。
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