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「イクサ王子殿下がこんなところにいらっしゃるとは……!」
「今回のパーティーに参加して正解でしたわね」
場の雰囲気が一気に変わった気がした。
「イクサ王子殿下か……」
今の私には天上の人に見えて仕方ないわ。第二王子で将来の国王陛下になるかもしれない人だから……。
「イクサ王子殿下が来たようだな」
「あ、お父様。そのようですね」
「彼はお前と同じ19歳だ。挨拶してきたらいいんじゃないか?」
「いえ、そんな……私なんかが行ったところでイクサ王子殿下の迷惑になってしまいますよ」
イクサ様に挨拶に行くなんてとてもじゃないけど無理だった。この場の雰囲気がそうしている。私が行こうものなら周囲の貴族になんて言われるかわかったものじゃない。それはきっとイクサ様にも迷惑になってしまうだろうしね。
それにしても王子殿下か……立場的には侯爵家や公爵家よりも上のはず。もしも味方になってくれれば、これ以上ない程のお方だけれど。しかし縁もゆかりもないカインリー伯爵家の味方をする理由がなかった。そんな淡い夢は見ないでおこう。辛いだけだから……。
「それにしても王子殿下の周りは流石に人が多いですね」
「護衛もいるが確かに……みんな挨拶をしたいのだろうな」
先ほどまでは私の噂で持ち切りだったのに……調子のいい人達が多いみたいね。まったく……貴族は本当に噂好きだわ。私も貴族の一人だから人のことは言えないのだけれど。
「アンネリーじゃないか。来ていたのか?」
「あれ……お母様?」
「あなた、リリス。せっかくのパーティーなのだから私も参加したいわ」
お母様もこのパーティーに来ていた。お父様が知らない様子だから、後から合流した形になるのだけれど。
「あれは……イクサ王子殿下ね」
「そうですね、お母様」
「リリス、貴方にはイクサ王子はどのように見えるかしら? なにか感じるものはない?」
「感じるもの……ですか?」
お母様は何が言いたいんだろうか? イクサ王子殿下を見て感じるものって……私と同じ19歳ということは分かったけれど、それ以外の部分は分かるはずもないし。かなり整った顔をしているのは分かる。なんというか一目惚れをしてしまいそうな……なんてね。
「あれ? 王子殿下が……」
ふと色々なことを考えていると、イクサ王子殿下がこちらに近づいているのに気付いた。最初は何かの間違いかと思っていたけれど、確実に私達の方へと歩いている。
「イクサ王子が気付かれたようね。リリス、失礼のないように挨拶をしなさい」
「お母様……? は、はい」
お母様はどこかイクサ王子殿下を知っているような素振りだった。なんだろう、この違和感は……。
「今回のパーティーに参加して正解でしたわね」
場の雰囲気が一気に変わった気がした。
「イクサ王子殿下か……」
今の私には天上の人に見えて仕方ないわ。第二王子で将来の国王陛下になるかもしれない人だから……。
「イクサ王子殿下が来たようだな」
「あ、お父様。そのようですね」
「彼はお前と同じ19歳だ。挨拶してきたらいいんじゃないか?」
「いえ、そんな……私なんかが行ったところでイクサ王子殿下の迷惑になってしまいますよ」
イクサ様に挨拶に行くなんてとてもじゃないけど無理だった。この場の雰囲気がそうしている。私が行こうものなら周囲の貴族になんて言われるかわかったものじゃない。それはきっとイクサ様にも迷惑になってしまうだろうしね。
それにしても王子殿下か……立場的には侯爵家や公爵家よりも上のはず。もしも味方になってくれれば、これ以上ない程のお方だけれど。しかし縁もゆかりもないカインリー伯爵家の味方をする理由がなかった。そんな淡い夢は見ないでおこう。辛いだけだから……。
「それにしても王子殿下の周りは流石に人が多いですね」
「護衛もいるが確かに……みんな挨拶をしたいのだろうな」
先ほどまでは私の噂で持ち切りだったのに……調子のいい人達が多いみたいね。まったく……貴族は本当に噂好きだわ。私も貴族の一人だから人のことは言えないのだけれど。
「アンネリーじゃないか。来ていたのか?」
「あれ……お母様?」
「あなた、リリス。せっかくのパーティーなのだから私も参加したいわ」
お母様もこのパーティーに来ていた。お父様が知らない様子だから、後から合流した形になるのだけれど。
「あれは……イクサ王子殿下ね」
「そうですね、お母様」
「リリス、貴方にはイクサ王子はどのように見えるかしら? なにか感じるものはない?」
「感じるもの……ですか?」
お母様は何が言いたいんだろうか? イクサ王子殿下を見て感じるものって……私と同じ19歳ということは分かったけれど、それ以外の部分は分かるはずもないし。かなり整った顔をしているのは分かる。なんというか一目惚れをしてしまいそうな……なんてね。
「あれ? 王子殿下が……」
ふと色々なことを考えていると、イクサ王子殿下がこちらに近づいているのに気付いた。最初は何かの間違いかと思っていたけれど、確実に私達の方へと歩いている。
「イクサ王子が気付かれたようね。リリス、失礼のないように挨拶をしなさい」
「お母様……? は、はい」
お母様はどこかイクサ王子殿下を知っているような素振りだった。なんだろう、この違和感は……。
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