29 / 31
29話
しおりを挟む
「マルクス、こっちへ来て!」
「おいおい、急かさないでくれよ。こっちは病み上がりなんだからさ!」
「お医者さんも行っていたじゃない。リハビリは重要だって!」
マルクスが意識を取り戻して2週間くらいが経過した。マルクスは退院しているわけではないけれど、病院の敷地内を歩くことは許されている。もちろん、普通に歩くのはまだ無理なので杖を持っているけれど。それから、最新鋭の護衛も付いていたりする。
グレンデル様の事件以降、マルクスの護衛は一新されていた。以前の護衛には処罰と言う意味で謹慎処分が与えられたそうな……可哀想だけれど仕方のないことなのかもしれない。ちなみにグレンデル様の護衛の人達は完全にクビで貴族社会からも追放された。こっちは自業自得ね。
それからグレンデル様はと言うと……。
「やれやれ、なんとか歩けるまでには回復したけど。本当に大きな事件だったね」
「ええ、そうね。とても大きな事件だったわ」
まだ2週間ちょっとしか経過していないけれど、あの事件は他の貴族にも警戒心を与えるには十分だった。あれ以来、護衛を強化した人はかなり多かったのだとか。マルクスの護衛も強化されているしね。
「グレンデル様は今頃、どうしているのかしら……」
「宮殿の実験体になっているのだろう? ハッキリ言って、極刑や終身刑の方がまだマシだったかもしれないぞ」
「そんなに厳しいところなの……?」
「まあ、噂程度ではあるけれどね。ただ、グレンデルは本来死刑なところを免除されているんだ。もっとも厳しい実験体として扱われているだろうな」
「もっとも厳しい実験体……それって……」
「まあ、あまり想像をしたくはないが。2週間か……」
マルクスは遠い目をしていた。グレンデル様の身体を案じているのかもしれない。自分を刺した相手なのだから、同情はしていないだろうけれど。なんだか怖くなってきたわね。大丈夫なのかしら?
「おいおい、急かさないでくれよ。こっちは病み上がりなんだからさ!」
「お医者さんも行っていたじゃない。リハビリは重要だって!」
マルクスが意識を取り戻して2週間くらいが経過した。マルクスは退院しているわけではないけれど、病院の敷地内を歩くことは許されている。もちろん、普通に歩くのはまだ無理なので杖を持っているけれど。それから、最新鋭の護衛も付いていたりする。
グレンデル様の事件以降、マルクスの護衛は一新されていた。以前の護衛には処罰と言う意味で謹慎処分が与えられたそうな……可哀想だけれど仕方のないことなのかもしれない。ちなみにグレンデル様の護衛の人達は完全にクビで貴族社会からも追放された。こっちは自業自得ね。
それからグレンデル様はと言うと……。
「やれやれ、なんとか歩けるまでには回復したけど。本当に大きな事件だったね」
「ええ、そうね。とても大きな事件だったわ」
まだ2週間ちょっとしか経過していないけれど、あの事件は他の貴族にも警戒心を与えるには十分だった。あれ以来、護衛を強化した人はかなり多かったのだとか。マルクスの護衛も強化されているしね。
「グレンデル様は今頃、どうしているのかしら……」
「宮殿の実験体になっているのだろう? ハッキリ言って、極刑や終身刑の方がまだマシだったかもしれないぞ」
「そんなに厳しいところなの……?」
「まあ、噂程度ではあるけれどね。ただ、グレンデルは本来死刑なところを免除されているんだ。もっとも厳しい実験体として扱われているだろうな」
「もっとも厳しい実験体……それって……」
「まあ、あまり想像をしたくはないが。2週間か……」
マルクスは遠い目をしていた。グレンデル様の身体を案じているのかもしれない。自分を刺した相手なのだから、同情はしていないだろうけれど。なんだか怖くなってきたわね。大丈夫なのかしら?
41
あなたにおすすめの小説
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください
satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。
私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…
婚約破棄は先手を取ってあげますわ
浜柔
恋愛
パーティ会場に愛人を連れて来るなんて、婚約者のわたくしは婚約破棄するしかありませんわ。
※6話で完結として、その後はエクストラストーリーとなります。
更新は飛び飛びになります。
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
【完結】義妹と婚約者どちらを取るのですか?
里音
恋愛
私はどこにでもいる中堅の伯爵令嬢アリシア・モンマルタン。どこにでもあるような隣の領地の同じく伯爵家、といってもうちよりも少し格が上のトリスタン・ドクトールと幼い頃に婚約していた。
ドクトール伯爵は2年前に奥様を亡くし、連れ子と共に後妻がいる。
その連れ子はトリスタンの1つ下になるアマンダ。
トリスタンはなかなかの美貌でアマンダはトリスタンに執着している。そしてそれを隠そうともしない。
学園に入り1年は何も問題がなかったが、今年アマンダが学園に入学してきて事態は一変した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる