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8話 グランとローザ その3
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最悪なタイミングで二人を見てしまった気がする……せっかく悪い噂が消えそうだと思えたのに。なによりもパーティーで楽しく話せるチェスター様に会えたのに……なぜこのタイミングで……はあ。
「彼らがグラン殿とローザ嬢ですね……はあ、まったく」
「チェスター様はご存知なんですか?」
「挨拶程度ではありますが、言葉を交わした過去もありますので」
「あ、そうだったんですね」
私はシルファの影に隠れることにした。今現在、イイ感じに進んでいるだけに今は会いたくないというのが本音だからだ。シルファは見られても問題はないし、チェスター様も同じだろう。なんなら、チェスター様のお付きと間違われる可能性だってある。チェスター様のお付きの方は別にいるけれど、彼らは離れた場所に待機していた。
これも私との会話を邪魔しない為の配慮らしい。チェスター様に何か危険が生じた場合は問答無用で警護に当たるらしいけれど。
「アイシャ嬢はやはり、彼らに会うのは憚られますか?」
「そうですね……やはり厳しいものがあります。親友だと思っていた人達ですので」
特にグランの方は最近までは婚約者だった人だ。私の愛した人物ということにもなる。まあ、婚約する貴族が全て愛だけで動いていないというのは当然だけれど。私はどうだろう? やっぱり幼馴染だし愛が強かったのではないだろうか。それだけに裏切られた時のショックは大きかった。
チェスター様と話しが出来るようになって忘れかけていたけれど、こうして本人を目の当たりにするとどうしても思い出してしまうのだった。裏切られた当時のことと、それまでの優しかった彼の姿が……。フラッシュバックというやつかもしれない。
「お嬢様、如何なさいますか? 今なら裏から出ることも可能ですが」
「そこまでは必要ないわ。こうして貴方の後ろに立っているだけでも安心できるし」
「左様でございますか」
私は前に立ってくれているシルファに心から感謝したい気分だった。彼女は無意識かもしれないけれど、私の姿がまったく見えないように配慮してくれているし。
「グランにローザ……彼らが、アイシャ嬢を追いやったのですね……」
「チェスター様……?」
気のせいかチェスター様歯ぎしりをしているようだった。眉間にもしわが寄っているような気がするし……どうしたのだろうか?
「グランとローザが他の貴族と会話をしています……お嬢様、マズイかもしれません!」
「えっ、どういうこと……?」
わけが分からず私はさらに後方へと追いやられた。でも、シルファのその動きは重要だったのかもしれない。グランとローザの二人が辺りを見渡し始めたからだ。会話をしていた貴族に私が出席していることを聞いたのかもしれない。そして……。
「あっ……!」
ローザと目が一瞬だけど合ってしまった。その時、ローザは明らかに大きな笑みを浮かべた。気付かれた……?
「彼らがグラン殿とローザ嬢ですね……はあ、まったく」
「チェスター様はご存知なんですか?」
「挨拶程度ではありますが、言葉を交わした過去もありますので」
「あ、そうだったんですね」
私はシルファの影に隠れることにした。今現在、イイ感じに進んでいるだけに今は会いたくないというのが本音だからだ。シルファは見られても問題はないし、チェスター様も同じだろう。なんなら、チェスター様のお付きと間違われる可能性だってある。チェスター様のお付きの方は別にいるけれど、彼らは離れた場所に待機していた。
これも私との会話を邪魔しない為の配慮らしい。チェスター様に何か危険が生じた場合は問答無用で警護に当たるらしいけれど。
「アイシャ嬢はやはり、彼らに会うのは憚られますか?」
「そうですね……やはり厳しいものがあります。親友だと思っていた人達ですので」
特にグランの方は最近までは婚約者だった人だ。私の愛した人物ということにもなる。まあ、婚約する貴族が全て愛だけで動いていないというのは当然だけれど。私はどうだろう? やっぱり幼馴染だし愛が強かったのではないだろうか。それだけに裏切られた時のショックは大きかった。
チェスター様と話しが出来るようになって忘れかけていたけれど、こうして本人を目の当たりにするとどうしても思い出してしまうのだった。裏切られた当時のことと、それまでの優しかった彼の姿が……。フラッシュバックというやつかもしれない。
「お嬢様、如何なさいますか? 今なら裏から出ることも可能ですが」
「そこまでは必要ないわ。こうして貴方の後ろに立っているだけでも安心できるし」
「左様でございますか」
私は前に立ってくれているシルファに心から感謝したい気分だった。彼女は無意識かもしれないけれど、私の姿がまったく見えないように配慮してくれているし。
「グランにローザ……彼らが、アイシャ嬢を追いやったのですね……」
「チェスター様……?」
気のせいかチェスター様歯ぎしりをしているようだった。眉間にもしわが寄っているような気がするし……どうしたのだろうか?
「グランとローザが他の貴族と会話をしています……お嬢様、マズイかもしれません!」
「えっ、どういうこと……?」
わけが分からず私はさらに後方へと追いやられた。でも、シルファのその動きは重要だったのかもしれない。グランとローザの二人が辺りを見渡し始めたからだ。会話をしていた貴族に私が出席していることを聞いたのかもしれない。そして……。
「あっ……!」
ローザと目が一瞬だけど合ってしまった。その時、ローザは明らかに大きな笑みを浮かべた。気付かれた……?
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