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5話 二人の殿方 その1

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「久しぶりだな、リオナ。元気にしていたかい?」

「は、はい。ヨシュア王子殿下。元気にしていました」

「そんな敬語必要ないよ。普通に話してくれて構わないさ」

「で、でも……」


 最初にやって来たのはヨシュアの方だった。12歳の頃よりも背は高くなりまるで別人のような雰囲気を醸し出している。敬語で話さないのは失礼になると思っていたけれど……彼はあの頃と変わらなかった。

「私と君の仲じゃないか。普通に話してくれないか?」

「じゃ、じゃあ……ヨシュア、お久しぶりね」

「ああ、久しぶりだね! メルレーンさんも変わりないようで」

「勿体ないお言葉です、ヨシュア様」


 メルレーンは流石に敬語だけれど、あの頃からメルレーンにはお世話になっていた。ヨシュアも同じだったのだ。当時は夜遊びなんかをして怒られたりもしたっけ。なんだか懐かしいわね。


「積もる話もあるでしょうし、応接室に案内してくれない?」

「わかった。それではヨシュア様、こちらにお越しいただけますでしょうか?」

「わかりました、アルバ様」

「王子殿下にそのように呼ばれるのは、非常に……なんといいましょうか」

「アルバ様は私の父上のようなお方ですからね。あの頃のことは忘れません」

「いやはや……とんでもないことでございます」


 お父さんがヨシュアを応接室まで連れて行った。私は残りのマイケル様を待つことにする。それから程なくして、また呼び鈴が鳴った。


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「マイケル様、お待ちしておりました」

「これはこれはリオナ様。ご丁寧にありがとうございます」

「いえ、そんな……」


 マイケル様も変わりないようだった。彼は侯爵令息という立場の人だけれど、非常に丁寧な話し方をする人だったりする。私やお父さん、男爵家に人間だったとしてもそれは変わりない。

「アルバ殿から話は聞いております。この度はとんでもないことに巻き込まれたようですね」

「そ、そうですね……はい。驚きという意味ではとんでもないことだったと思います」

「なにか力になれることがないかと思い、こうして来させていただきました」

「ありがとうございます。入り口ではなんなので応接室までご案内いたしますわ。どうぞお入りください」

「ありがとうございます、リオナ様。それではお言葉に甘えさせていただきます」


 私はマイケル様をヨシュアのいる応接室に案内することにした。お父さんは交友関係が想像以上に広いようね。まさかヨシュアだけじゃなく、マイケル様まで呼び出せるなんて。

 彼らとの話は一体、どんなものになるのかしら? 楽しみではあるけれど緊張もしていた。
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