婚約者の妹を虐めていたと虚偽の発言をされた私は……

マルローネ

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7話

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「ミリーに対しての婚約破棄……妹がいじめられたからということだが、本人は否定しているぞ。その辺りはどう考えているんだ、ボイド殿」

「先ほども言いましたが、ルシエド様。私は妹のシエナの言葉を信じます。それに使用人の証言だってある。彼女……ミリーがいじめをしていたのは紛れもない事実ですよ」

「その想いは変えるつもりはないのか?」

「変えるも何も事実なのですから仕方ないでしょう。受け入れるしかありませんよ」


 公爵令息のルシエドを前にしてもボイド様は引く気配を見せていなかった。妹のシエナ様も先ほどから演技してばかりだし……あくまでもボイド様の心情は一貫しているということね。


「貴殿は……そういう考えなのだな」

「そういうことです、ルシエド様」

「しかし、ミリーがシエナ嬢をいじめていたという話が誤解等であることは考えなかったのか? 婚約者を信じると言う選択肢はなかったのか?」

「……」


 ボイド様の言葉が止まったような気がした。いえ、実際に止まってはいるんだけれど。


「信じようとはしましたよ。私としてもミリーのことは妹のように感じていましたし。それだけに、裏切られたという想いが大きいです。私としてもこんな結末は望んでいなかった」

「なるほど、信じてはいたのだな」

「当たり前ですよ」

「ボイド様……では、今からでも信じていただきたいのですが。私は決してシエナ様を虐めたりしていませんので」


 ボイド様の言葉とは反するお願いではある。でも、彼も私のことを信じようとしてくれていたわけだ。では、もう一度頼めば考え直してくれるかもしれない。私は試してみることにした。


「うう、兄さま……気分が、気分が悪いです……」

「大丈夫か、シエナ。……私の考えが変わることはない。お前は最低な女だ、ミリー。妹を虐めて何かが満たされたのか?」

「そ、そんなことは……」

「ボイド殿。これ以上の彼女への侮辱は許さないぞ? 少々、度が過ぎるようだな」

「……妹の気分が悪いようですので、ここで失礼させていただきます」


 そこまで言い終えると、ボイド様とシエナ様はパーティー会場から去って行った。周囲は二人に同情的なようだ。


「ミリー様、最低なことをしていない?」

「あまり目を合わせない方が良さそうね」


 私に対して好意的な言葉がない……これは非常にマズいかもしれない。こんな会場で出会ってしまっただけに、余計に波及したともとれるし。


「ボイド殿の意思は確認できた。彼の心を変えるのは簡単ではなさそうだな……」

「うん、そうね」


 ボイド様は完全にシエナ様に騙されている。でもそこには強靭な意思を確認することが出来た。この問題はまだまだ続きそうだ。
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