婚約者の妹を虐めていたと虚偽の発言をされた私は……

マルローネ

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8話

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 ルシエドとまさかの再会をしたパーティーはあの後、無事に終わった。でも、私がシエナ様をいじめているという話はより広まってしまったけれど。

 前向きに考えれば、ルシエドは私のことを信じてくれているわけで、それは嬉しいのだけれど、ボイド様は当然のように妹であるシエナ様を信じているから話は平行線で終わってしまった。


「ミリー」

「どうしたの、ルシエド?」

「本来なら君は婚約破棄をされたんだから、これ以上彼に関わらない方が賢明だろうな」

「やっぱり?」

「ああ。しかし、噂の件を考慮するとそうも言ってられないわけで」

「そうなのよね」


 私はルシエドと屋敷に戻っていた。ルシエドの言う通り、本来であればボイド様とこれ以上は関わらないようにするのが賢明だろう。それが正しいのはわかっている。しかし、今回はそうはいかない。なにせ、アンダルテ伯爵家の未来がかかっているからだ。

 ボイド様の様子から見ても、シエナ様へのいじめの件を大事にする可能性があるからだ。


「ルシエドから見ても、ボイド様がこのまま終わるとは思えないわよね?」

「そうだね、ミリー。残念だけどパーティーでの彼の様子から見て、他の貴族に話したり、裁判所などに訴える可能性もあるんじゃないだろうか」

「裁判所にまで……?」


 これはルシエドの予想でしかないけれど、シエナ様を愛しているボイド様からすればあり得ることだった。自分の家族を侮辱されたと知れば冷静でいられるわけがない。証拠もあるというのだから、なおさらだ。私もお父様たちが侮辱されたら許せないと思うし。そういう意味ではボイド様の気持ちはすぐに分かった。間違っているけれど……。


「大きな事態になる前に、動いておいた方がいいかもしれない」

「でも動くって言っても……どうしたらいいのか」


 事前に動くと言ってもどうしたらいいのか、分からない。難しいわ……。


「方法はあるさ。シエナ嬢に秘密裏に会って話を聞けばいい。ミリーは嘘を言っていないのだから、彼女が嘘を吐いているということになるだろう?」

「ええ、それは間違いないのだけれど。シエナ嬢に秘密裏に会うのは……」


 難しいかもしれない。あの、ボイド様に気付かれずに会わなければならないのだから。ボイド様が知ったら、絶対に会わせてくれないだろうし。


「秘密裏に会う方法はあるさ。少々、裏技のようになってしまうが」

「どういう方法?」

「ボイド殿の屋敷を張っていればいい。シエナ嬢だって、ボイド殿とは別行動で動く時もあるだろう。まずは彼女の予定を把握して彼女が単独行動している時に話し掛ければいいのさ」

「ああ、なるほど」


 ボイド様の屋敷を張るというのが既にすごいわね。流石は公爵家と言ったところかしら。でもそれなら、シエナ様にも会えるかもしれないわね。
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