婚約者の妹を虐めていたと虚偽の発言をされた私は……

9話

　ルシエドとの話し合いで決まった調査。それはシエナ様に会い、真相を聞くと言うものだった。もちろん、ボイド様が納得するわけないので、彼には内緒で会うということになるけれど……まずはシエナ様の直近の予定の確認が必要だった。その辺りのことはルシエドの配下の人がやってくれるみたいで助かる。


　私はただ待つだけで良いのだから。なんだか申し訳ない気もするけど、そういうのが得意な人なので任せても大丈夫なのだろう。そしてそれからしばらくの時間が経過した。


「ミリー、今、話をしてもいいかい？」

「ええ、大丈夫よ。ルシエド」


　私の部屋を訪ねてくれたのはルシエドだった。こうして会うのは当たり前になっているけれど、なんだか不思議な気分だった。彼とはボイド様と一緒に居たときは全然会えなかったから。


「シエナ嬢のことだ。調査結果を報告しようと思ってね」

「ありがとう、ルシエド。早速聞かせてもらえるかしら？」


　ルシエドはシエナ様の行動を部下に探らせていたのだろう。その調査結果を今日、持ってきてくれたということになる。


「わかったよ、ミリー。調査の結果、数日後にとある貴族街の服屋で限定品販売が行われるようなんだ。彼女はその限定品を狙っているとの情報が入った。必ず買いに行くだろう。そのときを抑える形で話をしてみるのが良いと思う」

「なるほど、シンプルだけど成功しそうね。でも、ボイド様が一緒だった場合はマズいんじゃないの？」

「ああ、それなら心配はいらない。ボイド殿に関してはその日は別の用事があるはずだからな」


　なるほど、流石はルシエドね。ボイド様の動向もちゃんとチェックしているというわけか。限定品の服を買いに来たところを抑える……日付もわかっているわけだから、この機会を逃す手はないわね。

「どうだい、ミリー。この作戦で行こうかと思っているんだけどな」

「そうね、ルシエド。この機会を逃す手はないと思うわ。あなたの作戦で行きましょう」

「よし、決定だな。その日はあまり目立たない格好でシエナに近づいた方がいいだろう。警戒されてもいいことはないだろうからね」

「わかったわ」


　貴族が目立たない格好をするのはめずらしいことだ。強いて言えば、お忍びでどこかに遊びに行く時くらいだろうか。そう言うときは危険でもあるので、迷彩服になりそうな格好になったりはするけれど。


　それにしても、いよいよシエナ様本人に理由を聞く時が来たのね……緊張してきたわ。絶対に私は間違ったことをしていない。彼女にその辺りも問い詰めたいくらいだしね。