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第一章・幼馴染の怪しげな情報
2話・袴姿の謎の少女
しおりを挟む――リナから例の子と呼ばれた人物。
これで思い当たる人物はただ一人しかいない。
そう、俺の幼馴染である『テン』だけだ。
「ハア...その用件とやらは、いつものガセネタなんだろうな......」
この幼馴染のテンはお宝情報をよく持ってくるのだが、実際はその殆どがガセネタで、俺とテンとは別の幼馴染が、そのガセネタでどれだけヒドイ目に合った事か分からない。
「今回はガセネタじゃないかもよ♪」
「まぁ確かに50回に1回は、本当のネタだけどさ......」
「取り敢えず、テンさんの用件を伝えるよ。テンさん『コンナーの洞窟』だっけ? そこでお兄ちゃんを待ってるから急いで来て、あ...いや違う、速攻で来やがれって言ってたわよ!」
「はは...相変わらずこちらの意見は聞かないのな、あいつ......」
「そりゃ、あのテンさんだもん♪」
「...だな」
毎度毎度と俺を巻き込んでくる、あのわがまま幼馴染のテンに苦笑いをこぼす。
ハア...しっかし面倒だなぁ。
だけどもし行かなかったら、確実にあいつの回し蹴りが飛んでくるだろうしなぁ。
「......やれやれ。面倒くさいけど行くとしますか」
俺は渋々とベッドから起き上がり、そしてコンナーの洞窟に向かう為の準備を始める。
―――準備を始めること数十分。
「準備良しっと! んじゃリナ。ちょっくらコンナーの洞窟に行ってくるよ!」
「いってらっしゃい、お兄ちゃん! 暗くなる前に帰ってくるんだよ~!」
「了解~♪」
俺はリナにお出掛けの挨拶を交わした後、家を出て行く。
「よう! おはようさん、ライロード! 今日もリナちゃんに怒られてたな♪」
「おはよう、おっさん! イヤ~お恥ずかしい!」
「おはよう、ライロードちゃん♪ 今日はテンちゃんと一緒じゃないの?」
「おはようございます、パン屋のお姉さん! 今、そのテンの所に行く途中なんですよ!」
「よお! おはようさん、ライロード! 今日は薬草は買っていかないのか?」
「あ、おはようございますゴルザさん! それじゃあ...10個程買っていくんでこの袋に入れてください!」
「ああ、やっと起きたんだ、ライロードお兄ちゃん。おっはよ~♪ 何かさっきテンお姉ちゃんが物凄い勢いで外にすっ飛んで行ったけど、もしかして例のやつかな?」
「おはようメメちゃん! はは...見事ご名答です♪」
村の出入りに向かう途中、途中で、お隣のおじさん、パン屋のお姉さん、道具屋のゴルザさん、近所の女の子のメメちゃん達と挨拶を交わし合っていく。
それからしばらくの間、村の人達と朝の挨拶や談笑を交わし合った後、俺は村の外へと出て行った。
「ふう。それにしてもみんな朝が早いなぁ~」
寝起きの悪い俺としてはホント感心するよ。
「さてっと...確かコンナーの洞窟といえば、魔物の奴が結構住みついているんだよな。やっぱ薬草を買っておいて正解だったかも!」
俺はさっき買っておいてた薬草の入った袋を覗き込み、そして家で用意した道具もちゃんと入っているか、もう一度見て確認した後、コンナーの洞窟へ少し足早で歩いて行く。
――――――――――
「ウリャ――ッ! 閃光斬りぃぃいぃっ!」
「ギャァガアァァ―――ッ!」
「ふう...これで10体目か。コンナーの洞窟へは半分の距離しか来てないっていうのに魔物のやつめ、ちょっと出過ぎやなかろうか!」
俺は倒した魔物のドロップした魔石を拾い上げながら、ぶつぶつと文句と愚痴をこぼしていると、
「うふふ♪ そこのキミ。何をお間抜けな顔をして、ぶつくさと言っているのかなぁ~♪」
俺の背後からクスクスと笑う、誰かの声が聞こえてきた。
「......え!? だ、誰だっ!?」
慌ててその声のする方に顔をパッと振り向けると、そこには艶ある黒髪を大きな密編みに束ねた袴姿の女の子が立っていた。
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