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4章・昇級試験
028・試験官の代理を探せ
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「な、なんだ!?今の不愉快全開の声は?」
俺はこの癪に障る大きな声のしてきた方に顔を向ける。
すると、
「そこを何とかお願いします、相良様!今日このギルドにC級以上の
冒険者はあなたしかいないんですよ!」
「うるせぇぇえっ!知るか、ボケェエッ!いいから離せやぁぁぁあっ!!」
チャラそうな男を必死に引き止めようとしている、ギルド員らしき
お姉さんが見えた。
「あ、あのチャラ男!さっきグラウンドで成美の事をナンパしようと
していた、自称C級冒険者じゃないか!?」
イライラした口調のチャラ野郎の服の袖をギルド員のお姉さんが掴んで、
懸命に何かを頼み込んでいるな?
「だから嫌だって言っているだろうが!あれを見てみろや、あれをっ!
さっきから俺の事をニヤニヤした目線で笑っている連中をぉぉぉおおっ!
こんな視線の中で冷静な判断で試験官なんてやってられるかぁぁぁああっ!」
チャラ野郎のいう、笑っている連中とやらに目線を向けると、
「くくく。おい、見てみなよ!あいつ、さっきグラウンドの近くで
お漏らしをしていた奴じゃねぇか?」
「ああ、俺も見たから知っている。あれでC級冒険者らしいぜ、あいつ!」
「ホントあんなみっともない奴がC級冒険者なんてよ、上級冒険者の地位を
狙っている者の立場からして、ガッカリしちゃうよな!」
「しかも、ナンパした相手の彼氏にやられたらしいぞ!」
「更にその彼氏を排除しようとして、返り討ちにあったらしいぜ!」
「じゃあ何か?彼氏付きの彼女をナンパしようとした挙げ句、その彼女の
彼氏の怒りを買い、それに逆上したけど返り討ちされてしまい、その結果が
お漏らしって訳か!?うわ~クッッソダサいなぁあ、それっ!」
「「あはは、だろぉ~♪」」
ニヤニヤした表情で成美をナンパした、あのチャラ野郎を非難したり、
小馬鹿にしていた。
「おい、そこのてめえらぁぁあっ!てめえらの面、しっかり記憶したから
後で覚えていやがれぇぇぇぇええっ!!」
「......相良さん、もしあの人達に大した理由もなく何問題を起こしたら、
即D級に格下げですからね?いいですね?」
会場で自分の悪口を飛び交わせる連中に、乱暴な言葉で怒りを露にして
いるナンパ野郎の肩をパンッと叩くと、ギルド員のお姉さんが圧の込った
ニコニコ表情でそう注意してくる。
「うぐぅ。ち、ちょっと不満が過剰しただけだ!何もしねぇってっ!」
ギルド員のお姉さんの圧ある表情に怖じ気ついたの、ナンパ野郎がたじろぎ
ながら先程の暴言に対して謝罪する。
「と、ともかく、こんな状況下で試験官なんかやっていられるかっ!そういう
訳だから、俺は帰らせてもらうっ!!」
そしてその後、チャラ野郎が改めてギルド員のお姉さんにこう告げると、
「くそがぁぁあっ!ええい、邪魔だぁぁっ!どけぇぇぇええっ!!」
ニヤニヤ笑う冒険者達やギルドを見学しにきた人達を強引に掻き分け
ながら、脱兎の如き早足で会場から離れて行った。
「ちょっとぉ~~待って下さいよ~~相良さぁぁ~~んっ!ああ...行って
しまいました......」
それをギルド員のお姉さんが必死に追い掛け、止めようとするが、しかし
ナンパ野郎の足は意外に素早く、結局ナンパ野郎を掴まえる事は叶わなかった。
「ハァ、参ったなぁ......どうしましょうか、望月先輩?相良さんがいないんじゃ、
昇級試験の準備も開始もできませんけど?」
「やれやれ。ホント相良さんにも困った者よねぇ...でもあなたの言うように、
このままじゃ昇級試験を開始出来ないし、さてはてどうしたら良いものかしら?」
チャラ野郎の我儘勝手な行動に、望月先輩と呼ばれたもうひとりの昇級試験係の
ギルド員のお姉さんが深い嘆息を吐くと、腕組みをしながら頭を悩ませる。
そして数秒考えたあと、
「......仕方ない。他に代理人を探しますか」
「だ、代理人...ですか?で、でもいますかね?急募で試験官をやってくれ
そうな、奇特なC級以上の冒険者さんが?」
「そうねぇ...今日このギルドにいる事が確認出来ているC級以上の冒険者は、
A級パーティの『戦乙女』と『黄昏の果て』の二組いるけれども......」
「A級パーティですか...でもそのクラスともなると、体力の温存。ダンジョンで
どう行動をするかの打ち合わせ。武器や防具、そして道具の調整。はたまた、
戦闘パターンの特訓などで色々と忙しいだろうし、試験官なんてきっとやって
くれないと思いますよ?」
「でも緊急だと嘆願したらやってくれるかもしれない。なので、ダメ元かも
しれませんが、その二組のパーティに頼み込んでみましょう!」
望月が後輩の試験担当の女性にそう言うと、光明の兆しに賭けてみる。
俺はこの癪に障る大きな声のしてきた方に顔を向ける。
すると、
「そこを何とかお願いします、相良様!今日このギルドにC級以上の
冒険者はあなたしかいないんですよ!」
「うるせぇぇえっ!知るか、ボケェエッ!いいから離せやぁぁぁあっ!!」
チャラそうな男を必死に引き止めようとしている、ギルド員らしき
お姉さんが見えた。
「あ、あのチャラ男!さっきグラウンドで成美の事をナンパしようと
していた、自称C級冒険者じゃないか!?」
イライラした口調のチャラ野郎の服の袖をギルド員のお姉さんが掴んで、
懸命に何かを頼み込んでいるな?
「だから嫌だって言っているだろうが!あれを見てみろや、あれをっ!
さっきから俺の事をニヤニヤした目線で笑っている連中をぉぉぉおおっ!
こんな視線の中で冷静な判断で試験官なんてやってられるかぁぁぁああっ!」
チャラ野郎のいう、笑っている連中とやらに目線を向けると、
「くくく。おい、見てみなよ!あいつ、さっきグラウンドの近くで
お漏らしをしていた奴じゃねぇか?」
「ああ、俺も見たから知っている。あれでC級冒険者らしいぜ、あいつ!」
「ホントあんなみっともない奴がC級冒険者なんてよ、上級冒険者の地位を
狙っている者の立場からして、ガッカリしちゃうよな!」
「しかも、ナンパした相手の彼氏にやられたらしいぞ!」
「更にその彼氏を排除しようとして、返り討ちにあったらしいぜ!」
「じゃあ何か?彼氏付きの彼女をナンパしようとした挙げ句、その彼女の
彼氏の怒りを買い、それに逆上したけど返り討ちされてしまい、その結果が
お漏らしって訳か!?うわ~クッッソダサいなぁあ、それっ!」
「「あはは、だろぉ~♪」」
ニヤニヤした表情で成美をナンパした、あのチャラ野郎を非難したり、
小馬鹿にしていた。
「おい、そこのてめえらぁぁあっ!てめえらの面、しっかり記憶したから
後で覚えていやがれぇぇぇぇええっ!!」
「......相良さん、もしあの人達に大した理由もなく何問題を起こしたら、
即D級に格下げですからね?いいですね?」
会場で自分の悪口を飛び交わせる連中に、乱暴な言葉で怒りを露にして
いるナンパ野郎の肩をパンッと叩くと、ギルド員のお姉さんが圧の込った
ニコニコ表情でそう注意してくる。
「うぐぅ。ち、ちょっと不満が過剰しただけだ!何もしねぇってっ!」
ギルド員のお姉さんの圧ある表情に怖じ気ついたの、ナンパ野郎がたじろぎ
ながら先程の暴言に対して謝罪する。
「と、ともかく、こんな状況下で試験官なんかやっていられるかっ!そういう
訳だから、俺は帰らせてもらうっ!!」
そしてその後、チャラ野郎が改めてギルド員のお姉さんにこう告げると、
「くそがぁぁあっ!ええい、邪魔だぁぁっ!どけぇぇぇええっ!!」
ニヤニヤ笑う冒険者達やギルドを見学しにきた人達を強引に掻き分け
ながら、脱兎の如き早足で会場から離れて行った。
「ちょっとぉ~~待って下さいよ~~相良さぁぁ~~んっ!ああ...行って
しまいました......」
それをギルド員のお姉さんが必死に追い掛け、止めようとするが、しかし
ナンパ野郎の足は意外に素早く、結局ナンパ野郎を掴まえる事は叶わなかった。
「ハァ、参ったなぁ......どうしましょうか、望月先輩?相良さんがいないんじゃ、
昇級試験の準備も開始もできませんけど?」
「やれやれ。ホント相良さんにも困った者よねぇ...でもあなたの言うように、
このままじゃ昇級試験を開始出来ないし、さてはてどうしたら良いものかしら?」
チャラ野郎の我儘勝手な行動に、望月先輩と呼ばれたもうひとりの昇級試験係の
ギルド員のお姉さんが深い嘆息を吐くと、腕組みをしながら頭を悩ませる。
そして数秒考えたあと、
「......仕方ない。他に代理人を探しますか」
「だ、代理人...ですか?で、でもいますかね?急募で試験官をやってくれ
そうな、奇特なC級以上の冒険者さんが?」
「そうねぇ...今日このギルドにいる事が確認出来ているC級以上の冒険者は、
A級パーティの『戦乙女』と『黄昏の果て』の二組いるけれども......」
「A級パーティですか...でもそのクラスともなると、体力の温存。ダンジョンで
どう行動をするかの打ち合わせ。武器や防具、そして道具の調整。はたまた、
戦闘パターンの特訓などで色々と忙しいだろうし、試験官なんてきっとやって
くれないと思いますよ?」
「でも緊急だと嘆願したらやってくれるかもしれない。なので、ダメ元かも
しれませんが、その二組のパーティに頼み込んでみましょう!」
望月が後輩の試験担当の女性にそう言うと、光明の兆しに賭けてみる。
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