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三章 おっさん勇者の初めての人命救助
第二十話・リタイの町へ向かおう!
しおりを挟む疲れ果てていた体力を何とか回復させた俺は、やっとの思いで地上に
脱出する事ができた。
「おお!海の様に広がる青い空に、草色広がる美しい平原たちよっ!
我が眼におかえりなさいぃぃぃいっ!!」
ずっと走って来たせいでランナーズハイになっているのか、俺のテンションが
少しおかしな事になっていて、異様に地上の風景が懐かしく思えてしまう。
「な、なに、あの無駄に大きい感動リアクションは!?た、確かレンヤって、
ダンジョン内には半日も滞在していなかったよね.....??」
必要以上に感動しまくっている俺を見て、ルコールが若干、引き気味で
ニガ笑いを浮かべていた。
うるせいやい!
こんなテンションなのは、大体がお前のせいだろうがっ!
お前に恐怖した心の疲れとか、
お前の走るスピードに合わせて、ずっと走らされたとかなぁっ!
「あ、そうそう。聞きそびれていたんだけど、レンヤは町に行った後、
何をする予定あるの?」
そんな俺の愚痴や文句など知らんと、ルコールが俺の今後の予定を
聞いてくる。
「町に行った後...?う~ん、そうだな......」
元々俺がこの世界にやってきた理由って、
打倒!魔王!!
...が目的だったみたいだけど、
あんな扱いを受けたっていうのに、それに従う義理は全くないしなぁ。
じゃ、俺が帰れる魔法力が溜まるまで町へ待機するか?
あ...それはほぼ絶望的になったんだった。
何せ、あの部屋にいる兵士や神官...加えては脱出する途中で出くわした
連中という連中を全てボコボコに叩き潰してしまったからな。
それなのに、どの面をさげてあの城へ戻れるっていうんだよ。
「特に何もやる事がないんだったらさ、冒険ギルドに行って冒険者の
登録でもしてみたら?」
「冒険ギルド...?冒険者の登録...??」
おおぉぉっ!
やっぱりあるんだ、ギルド&冒険者っ!!
「自分の強さをアピールしたり、名声を上げたりは勿論の事、お金を
手っ取り早く稼ぐ事に関しても冒険者っていう職業はうってつけの所だから、
レンヤみたいな奴は取り敢えず冒険者になっておくのが、一番セオリーな
行動だとはあたしは思うよ♪」
強さや名声は別にどうでもいいけど、
生きていく為には、お金は稼がなきゃいけないよな......。
マジックボックスの中に放り込んである、あの城の兵士や神官達から
剥ぎ取った鎧やローブに、あの部屋の壁に飾ってあった数々の宝玉。
これらのアイテムを売ってお金に替えれば良いんだろうけど、でも多分
この付近の町じゃ絶対に売るのは無理だろうし。
それにせっかくファンタジーな世界に来れたんだ。
だったら郷に入っては郷に従い、それを楽しむっていうのも一興かな?
そうなってくると、ルコールの言う冒険者になるっていう選択肢は至極
当然な行動だよな!
「......わかったよ、ルコール。お前の言う様にそのアイデアで行くとするよ!」
「お♪冒険者になる事を決めたんだね!んじゃ早速、レンヤの冒険者登録を
するべく、改めてリタイの町にレッツゴーしようか~♪」
「おう!」
こうして今後の予定を決めた俺は、ルコールと一緒にリタイの町に向かって
歩いて行くのだった。
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