転生少女は自由気ままに今世を楽しむ

紅 蓮也

文字の大きさ
10 / 24
第一章 カルディナ王国編

第9話 アルテミス、国王陛下に会う①

しおりを挟む
 王城に転移した私たちは、謁見の間に案内された。

 そこには玉座に国王陛下が座っていた。
 両隣に座っている二人の女性、おそらく第一王妃殿下と第二王妃殿下だろう。
 そして一方の女性の隣に座るジャミル王子より少し幼い男の子、ジャミル王子の異母弟で王太子のマルス殿下だろうな。

 そんなことを考えていると国王陛下が口を開いた。

「カエサル。やっと連れてきたか」

「まあな」

「それで何で、ジャミルと一緒に来たんだ?」

 第一王子と一緒に来たことに疑問を持った国王陛下にお父様は、森の中であったことを説明した。

「なるほどな。それでそこにいらっしゃるのが、神獣フェンリル様か。
 おい!ジェミル。カエサルの話したことに間違いはないか?」

「間違いないですけど……何か問題でもあるのですか父上」

 第一王子は、私からもお父様からあの森の深い所で、狩りや捕獲することは法律で禁止されていると説明されたのに、まだわかっていないみたいですね。問題しかないでしょうが!!

「ジャミル……自分が王族であるにも関わらず、自国の法を犯したのに理解できていないようだな」


「何を言っているんですか!国の法は、歴代の国王陛下をはじめとする王族が制定したものです。
 そして法は、罪を犯した王族以外を罰するものなのですから王族は、法を犯したとしても罰せられることはないのですから僕が法を犯したとしても問題ないと思います」

『!!』

 謁見の間にいる第一王子以外の者、全員が何言ってんだこいつはという驚いた顔をした。

 何言ってんだ!!この王子。
 王族が決めた法律だから王族は守らなくていいって、そんなわけないじゃん。
 国の法律は、身分に関係なくその国で暮らす者、全てが守らなければならず、違反すれば罰せられるんだよ。

「そうか。ジャミルの中では、そうなっているのか。
 第二王妃よ。残念じゃがジャミルは修正不能だ。構わぬな」

「はい。構いません。私がお腹を痛めて産んだ子ではありますが、仕方ないですね」

 ああ、ジャミル王子の除名が今、決定しちゃったよ。

 まあ、こんな思考の者を王族のままにしておいては、王家の威信に関わるから仕方ないよね。
 今回が初めてではなく、色々と問題を起こしているみたいだしね。

「ジェミル。お前を王族から除名する。おい!……」

「父上。何ですか?王太子より上の立場になれるとのですか。ありがとうございます。僕の功績がやっと認められたのですね」

 ダメだ……この王子。国王陛下の話を遮って話し始めたし、王族からの除名の意味もわからず、勝手に異母弟より立場が上になったと勘違いして、国王陛下にお礼をいう始末。

「違うぞ。王族から除名するという意味もわからぬのか……。お前は、王族でなくなるのだ。王子の立場を失うんだよ」

「何故ですか!!」


「普通なら今までの自分の行いを振り返れと言いたいのだが、お前は全て正当化して、自分は間違ったことをしていないと言うだろうかな。
 そんなことを言うだけ無駄だから言わん。
 除名後のことは、あとで決めるから決まるまで牢に入っていろ。
 おい!ジャミルと近衛騎士三人を牢にぶち込んでおけ」

 呼ばれた騎士たちがジャミル元王子と近衛騎士三人を連れて謁見の間を出ていった。

 近衛騎士の三人は、大人しく騎士たちに従っていた。
 しかしジャミル元王子は、連れていかれるのを拒み、抵抗して騒ぎ出したので、騎士に気絶させられ連れていかれた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。

まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」 ええよく言われますわ…。 でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。 この国では、13歳になると学校へ入学する。 そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。 ☆この国での世界観です。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...