捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也

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本編

第51話 様子を見に行こう②

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 畑が見えてくると、元からいる住民と新たに住民として加わった魔族が和気あいあいと畑仕事をしていた。

 今まで敵対していた種族同士が一緒に一つの仕事をしているなんて、いい光景だなあ。

 会話をしながら畑仕事をしている人たちが目に止まったので聞き耳を立ててみた。

「畑仕事ってやっぱり大変ですね」

「そうだよ。だけど、丹精込めて育ててあげると美味しい野菜になってくれると思っているからね。
 あんたも畑仕事慣れているじゃないか。
 魔国では、作物が育たなかったんだろう?」

「そうなんですけど……どうにかならないかと試行錯誤していた時期がありましたからだと思います。
 鈍ってなくてよかったですよ」


「そうなんだね。ここも魔素が原因で、少し前まで作物がほとんど育たなかったんだよ。
 今じゃこんな立派な野菜が育つけど、以前は育ってもこんくらいの細こいのだった。
 アイリス様が土を浄化してくれて育つようになったんだよ」


「そうだったんですね。
 魔国では、魔素以外の日の光が足りないことや雨が降りすぎなどの原因もあり、育たないらしいです。
 でもアイリス様にファミーユに連れてきてもらってよかったです。
 ここでは、ちゃんと世話をすれば育つので、アイリス様には感謝に堪えません」


「そうだね。私たちもそうだよ。
 畑だけじゃなく、家を建て替えてくれたり、道を整備してくれたり、便利な魔道具をくれたりね。
 普通ならお金を払う必要があるのに……お詫びだからとタダでくれるんだよ」

「確かにファミーユの町にある物は、見たこともなく便利な物ばかりですもんね」

「落ち着いて、商品として売り出すようになったらお金取りますよって言っていたけど、魔道具に関しては、普通に使っていれば壊れないからね。
 そういえば、ご飯は食べたかい?」

「ライス草ってやつを炊いたやつですね。
 魔国にはないので、はじめて食べましたが美味しかったです」

「あれもね。アイリス様が、炊き方とかを教えてくれたから美味しく食べられるだ。
 以前は、そこら中に生えているけど、不味いからと家畜の餌にしか使われていなかったんだよ」

 畑や作物の話しとかしながらも所々に私の名前が出てくるな。なんか照れ臭い。

 皆が生活しやすいようにやったことでもあるから感謝されると嬉しいけど、ほとんど私が前世の頃みたいな楽な暮らしがしたかったというのが大きいからな。

「あとお風呂ですね。お湯にゆっくり浸かって、疲れを取るなんてしてきませんでしたから、簡単にはシャワーで済ませていましたから今まで」

「私たちは長年、領主に見捨てられた村で、貧しかったから体を拭くくらいだったよ」

「見た目も伝承にある神様にそっくりだからアイリス様は女神様かもしれないね」

「可愛らしい容姿ですから、天使様ではないですかね」

 やめてくれ!!女神でも天使でもないよ~

 駄目だ。これ以上会話を聞いていると悶え死にそうだから声をかけて、会話に交ざろう。
 不老不死だから死ぬことはないけどね。

「おはようございます」

「「アイリス様!!おはようございます」」

 挨拶を交わし会話に入っていく。

「どうされたんですか?」

「魔族の皆さんの様子を見に来たのです。
 町には慣れてきましたか?」

「はい。種族が違っても住民の人たちは優しくしてくれますし、予想より遥かにはやく慣れましたね。
 それに魔国に居たときより快適過ぎて、抜け出せなくなりそうです」

「そうですか。よかったです」

「こんなにいい人族の国を侵略しようと考えていたなんて、愚かなことを考えいたものです。
 以前の私をぶん殴ってやりたい気持ちでいっぱいです」

「ラファエルさん、一つ言っておくけど、こんな快適な暮らしができるのは、今のところ、アイリス様のいるファミーユだけだよ。
 他はもっと不便なことばかりだよ」

「サハリンさん、わかっていますよ。
 以前に他の人族の国に潜入したことがありますからね。何百年先に転移したんだってくらいここだけ異次元ですからね」

 まあ、そういう感想になるよね。
 発展していた前世の知識を元に作っているからね。

「春になれば区画整備がされるので、また変わりますよ」

「ラファエルさんは、区画整備後も畑仕事をなさるつもりなのですか?」

「私に敬称はなしでお願いしたい。
 ルシフェルには敬称なしなのに、私に敬称つけるとおかしなことになりますから」

「わかりました」

「区画整備後も私は畑を続けるつもりでいます。
 長年やっていたこともありますし、私が試行錯誤したことが何か役立つこともあるかもしれませんからね」

「なるほど、わかりました。」

「皆さん頑張ってくださいね。私も皆さんが幸せに暮らせるように頑張りますからね。
 特に快適さと安全面の部分は私の役目ですからね」

 仕事の邪魔をしても悪いので、そう言って畑を後にした。

「これ以上快適、安全にするつもりなのか……」

「安心して暮らせるのはありがたいけどね……」

 私の去り際に何か言っている声がしたが、声が小さくって聞き取れなかった。
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