69 / 114
本編
第66話 護衛三日目ファミーユ到着
しおりを挟む
昨夜の夕食は、倒した魔獣を使って、焼肉、ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼、唐揚げと、肉肉三昧の異世界料理の夕食となった。
国王陛下たちは勿論、騎士たちにも大変喜ばれた。
サクヤも懐かしい料理ばかりで、泣きながら食べまくっていた。
私は三年……もうすぐ四年になるけど、サクヤはこの世界に来てから三百年以上だもんね。
片やこの世界に召喚され、日本から居なくなり、片や殺され日本での生を終え、記憶を持ったまま異世界で新たな生を受けた。
同じ日に日本から居なくなったのに四年と三百年以上と、かなりのズレがあるのは、転生と転移の違いなんだろうな。
「おはようアイリス嬢。昨夜は、初めて食べるものばかりだったが美味しく、色んな物があったからとても満足した」
「おはようございます。セマイ様。昨日もそれ聞きましたよ」
「そうだが、何度でも言いたいのだ。
私は、飯など食べられれば何でもいいと思っていたから、あんなに美味しいものがあるなんて知らなかった。アイリス嬢には、感謝している」
「そうですか」
初めて会った時は、職務とはいえ剣を向けられたけど、数日でよく話をするようになったな。
視野が狭くなってしまうところもあるけど、基本いい人なんだな。
「それで、今朝の朝食もアイリス嬢が作られるのだろう?朝食は何なのだ?」
「またお肉になりますが、ハンバーガーにしようと思います」
「ハンバーガー?」
この世界は、肉は好きな大きさに切ってステーキするのが一般的だ。
肉をミンチにして、成形して焼くハンバーグがないからハンバーガーと聞いてもセマイ様は、ピンっとくるわけがない。
なので、わからないから聞き返してきた。
「ハンバーガーはお肉をミンチにして、みじん切りにした野菜にパン粉を混ぜ、塩を加えて粘性を出し、卵を繋ぎにして成形してから焼いた料理をハンバーグというのですが、そのハンバーグとレタスなどの生野菜をパンで挟んだものがハンバーガーです。
付け合わせにフライドポテトもつけましょうかね」
「また知らぬ料理名が出たな。フライドポテトとは?」
「フライドポテトは、じゃがいもを……」
「じゃがいもか……我、シヤ子爵領はじゃがいもの生産量が多いので、毎日のように蒸して、軽く塩を振っただけじゃがいもが出るのだが、飽きたし、うまいものではない。
毒があり、腹を壊したり、最悪死ぬこともあるしな。
アイリス嬢の料理なら毎日でも飽きずに食べれるし、毎日でも食べたいな」
ああ、ほぼ毎日同じ味付けの同じ料理を食べさせられたら飽きるよね。
セマイ様のフライドポテトは、塩じゃなく粉末のコンソメをまぶしたものにしてあげよう。
じゃがいもの毒。芽とかに含まれているソラニンや
チャコニンのことだね。
ソラニンよりチャコニンの方が毒性が強いんだったけかな。
ソラニンやチャコニンの致死量は成人体重一キログラム当り三~五ミリグラム。
芽に含まれるソラニンやチャコニンの量は三ミリグラム~六ミリグラムらしいので、体重五十キロの人は五〇ミリグラム摂取すると症状が出る可能性があり、 一五〇 ミリグラム ~ 三〇〇ミリグラム摂取すると死ぬ可能性があり、意外と少なく感じる。
じゃがいもにより含まれている量が違ったりするからちゃんと処理してなかったり、緑化したじゃがいもを一個、二個食べただけでも症状が出る場合もある。
ソラニンやチャコニンの毒は、ちゃんと加熱すれば大丈夫と思っている人も多いみたいだけど、加熱しても毒は消えず、六割ほど残っているという研究結果もあるらしいので、しっかり処理をしたり、緑化したものは食べない方がいい。
私の料理なら毎日でも食べたいって……何かプロポーズの言葉みたいだよ。
もうすぐ四歳になる幼女に言う言葉ではないですよセマイ様。
「毒はしっかり処理をすれば、だいじょうぶですよ。
では、フライドポテトの説明しますね。
フライドポテトは、皮を剥かずに食べやすいサイズに切ったじゃがいもを油で揚げて、塩などをまぶしたものです。
食べ過ぎは身体によくないですが、手が止まらなくなるくらい美味しいですよ。
じゃがいもに飽きてしまわれているセマイ様にも美味しいと思ってもらえると思います」
前世には、皮なしの細長くしたフライドポテトもあったが、私は皮つき派なので、皮つきのフライドポテトにする。
「そうか。では楽しみにしている。
それからハンバーグとやらを作るのに肉をミンチにする必要があるのだろう?力仕事だろうから私も手伝おうか?」
「お言葉は嬉しいのですが、宮廷料理人の人たちがいますので、料理人に手伝って貰いますので、大丈夫です。
セマイ様は、楽しみに待っていてください」
「わかった。そうさせてもらおう」
私は、セマイ様と別れて、厨房に向かい料理人にたちと朝食を作った。
「アイリス。朝食も美味しかったし、さっきの昼食のラーメンも美味しかったよ。
ハンバーガーも、ラーメンも久しぶりに食べたから食べすぎちゃったよ」
昼食は前世の某ラーメン屋のもやし山盛りにチャーシューをたくさん乗せたラーメンを作った。
「ありがとう。サクヤ。喜んでもらえて嬉しいよ」
「おうおう。仲いいなあ。カイルが見たらなんというかな」
私とサクヤのやり取りを見て、ルシフェルが茶化してきた。
アナリスさんもニヤニヤしている。
護衛中にこんな軽口を叩けるほど、何事もなくファミーユに到着した。
国王陛下たちは勿論、騎士たちにも大変喜ばれた。
サクヤも懐かしい料理ばかりで、泣きながら食べまくっていた。
私は三年……もうすぐ四年になるけど、サクヤはこの世界に来てから三百年以上だもんね。
片やこの世界に召喚され、日本から居なくなり、片や殺され日本での生を終え、記憶を持ったまま異世界で新たな生を受けた。
同じ日に日本から居なくなったのに四年と三百年以上と、かなりのズレがあるのは、転生と転移の違いなんだろうな。
「おはようアイリス嬢。昨夜は、初めて食べるものばかりだったが美味しく、色んな物があったからとても満足した」
「おはようございます。セマイ様。昨日もそれ聞きましたよ」
「そうだが、何度でも言いたいのだ。
私は、飯など食べられれば何でもいいと思っていたから、あんなに美味しいものがあるなんて知らなかった。アイリス嬢には、感謝している」
「そうですか」
初めて会った時は、職務とはいえ剣を向けられたけど、数日でよく話をするようになったな。
視野が狭くなってしまうところもあるけど、基本いい人なんだな。
「それで、今朝の朝食もアイリス嬢が作られるのだろう?朝食は何なのだ?」
「またお肉になりますが、ハンバーガーにしようと思います」
「ハンバーガー?」
この世界は、肉は好きな大きさに切ってステーキするのが一般的だ。
肉をミンチにして、成形して焼くハンバーグがないからハンバーガーと聞いてもセマイ様は、ピンっとくるわけがない。
なので、わからないから聞き返してきた。
「ハンバーガーはお肉をミンチにして、みじん切りにした野菜にパン粉を混ぜ、塩を加えて粘性を出し、卵を繋ぎにして成形してから焼いた料理をハンバーグというのですが、そのハンバーグとレタスなどの生野菜をパンで挟んだものがハンバーガーです。
付け合わせにフライドポテトもつけましょうかね」
「また知らぬ料理名が出たな。フライドポテトとは?」
「フライドポテトは、じゃがいもを……」
「じゃがいもか……我、シヤ子爵領はじゃがいもの生産量が多いので、毎日のように蒸して、軽く塩を振っただけじゃがいもが出るのだが、飽きたし、うまいものではない。
毒があり、腹を壊したり、最悪死ぬこともあるしな。
アイリス嬢の料理なら毎日でも飽きずに食べれるし、毎日でも食べたいな」
ああ、ほぼ毎日同じ味付けの同じ料理を食べさせられたら飽きるよね。
セマイ様のフライドポテトは、塩じゃなく粉末のコンソメをまぶしたものにしてあげよう。
じゃがいもの毒。芽とかに含まれているソラニンや
チャコニンのことだね。
ソラニンよりチャコニンの方が毒性が強いんだったけかな。
ソラニンやチャコニンの致死量は成人体重一キログラム当り三~五ミリグラム。
芽に含まれるソラニンやチャコニンの量は三ミリグラム~六ミリグラムらしいので、体重五十キロの人は五〇ミリグラム摂取すると症状が出る可能性があり、 一五〇 ミリグラム ~ 三〇〇ミリグラム摂取すると死ぬ可能性があり、意外と少なく感じる。
じゃがいもにより含まれている量が違ったりするからちゃんと処理してなかったり、緑化したじゃがいもを一個、二個食べただけでも症状が出る場合もある。
ソラニンやチャコニンの毒は、ちゃんと加熱すれば大丈夫と思っている人も多いみたいだけど、加熱しても毒は消えず、六割ほど残っているという研究結果もあるらしいので、しっかり処理をしたり、緑化したものは食べない方がいい。
私の料理なら毎日でも食べたいって……何かプロポーズの言葉みたいだよ。
もうすぐ四歳になる幼女に言う言葉ではないですよセマイ様。
「毒はしっかり処理をすれば、だいじょうぶですよ。
では、フライドポテトの説明しますね。
フライドポテトは、皮を剥かずに食べやすいサイズに切ったじゃがいもを油で揚げて、塩などをまぶしたものです。
食べ過ぎは身体によくないですが、手が止まらなくなるくらい美味しいですよ。
じゃがいもに飽きてしまわれているセマイ様にも美味しいと思ってもらえると思います」
前世には、皮なしの細長くしたフライドポテトもあったが、私は皮つき派なので、皮つきのフライドポテトにする。
「そうか。では楽しみにしている。
それからハンバーグとやらを作るのに肉をミンチにする必要があるのだろう?力仕事だろうから私も手伝おうか?」
「お言葉は嬉しいのですが、宮廷料理人の人たちがいますので、料理人に手伝って貰いますので、大丈夫です。
セマイ様は、楽しみに待っていてください」
「わかった。そうさせてもらおう」
私は、セマイ様と別れて、厨房に向かい料理人にたちと朝食を作った。
「アイリス。朝食も美味しかったし、さっきの昼食のラーメンも美味しかったよ。
ハンバーガーも、ラーメンも久しぶりに食べたから食べすぎちゃったよ」
昼食は前世の某ラーメン屋のもやし山盛りにチャーシューをたくさん乗せたラーメンを作った。
「ありがとう。サクヤ。喜んでもらえて嬉しいよ」
「おうおう。仲いいなあ。カイルが見たらなんというかな」
私とサクヤのやり取りを見て、ルシフェルが茶化してきた。
アナリスさんもニヤニヤしている。
護衛中にこんな軽口を叩けるほど、何事もなくファミーユに到着した。
88
あなたにおすすめの小説
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -
花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。
魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。
十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。
俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。
モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる