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本編
第99話 アイリス、院長に説明を求める
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「何を騒いでいるだ。私は忙しいのだ。私の手を煩わすな。貴女方は、孤児院に何のようですか?」
たくさん汗をかいているので、ハンカチで汗を拭きながらそう言ってきた。
「私は、アイリス・フォン・アリステラと言います」
「アリステラ公爵家の方でしたか。失礼な態度を取ってしまい申し訳ありませんでした。
私は院長のバイロと申します。
それで、こちらには寄付に来られたのですね。
私の部屋にご案内致しますので、どうぞ」
うわぁ……貴族が孤児院に来るのは、寄付しに来るのが多いけど、それだけではない。
しかも私は子供だ。親について来たとかならともかく、カイル兄様たち別行動をしたので貴族といっても子供の私が護衛とメイドだけを連れて孤児院に来たのだ。
寄付に来たのだと決めつけることはできない。
体型からもわかっていたけど、この爺さん金の事しか頭に無いよ。
確かに寄付に来たんだけど……この爺さんに渡したら、絶対に孤児や孤児院のために使わず、私腹を肥やすために懐に入れて、贅沢三昧するよ。
こんな老害のために寄付したり、孤児院をリフォームなんかしたくない。
「確かに私は寄付に来たのですが……孤児の子供たちや副院長をはじめとした大人たちはボロボロの服を着て、ちゃんと食事を取れてないのかガリガリに痩せてしまっています。
しかし院長は、まともな服を着て、そんなに膨よかなご体型をされているのでしょうか。
それにお酒を呑まれていたようですね。お酒臭いですよ。その辺のご説明を頂けませんか?」
「そんなことは、貴女には関係ないだろう。説明する必要はない。
さっさと寄付の金を渡して帰ってくれ、私は忙しいのだからな」
いやいや。寄付するのだから寄付したお金がどのように使われるか知る権利はあるし、明らかに院長の懐に入るのが明らかなのだ。
その辺を含めて、説明してもらわないと寄付できませんよ。
忙しいって……孤児たちの世話をするのではなく、お酒を呑んでいただけだろうが。
「ご説明頂けないのですか。ご説明頂けないのなら寄付するのはやめます。
忙しいみたいですし、帰らせてもらいますね。
マリア、カイト行きましょう」
仕える者に対して、敬称を付けないように普段から呼び捨てで呼ぶようにと言われていたが、お互い妥協して身内以外の貴族がいる場やファミーユ以外で公爵令嬢として対応する場合は、呼び捨てで呼ぶことになったので、二人を今回は敬称なしで呼んだ。
「おおお待ちしください!!」
院長が慌てて、私を帰らせまいと私たちの前に立ち塞がり手を掴んで来ようとした。
勿論、カイトさんが私を護るように前に立ってくれて、掴まれることはなかったけどね。
カイトさんが護ってくれるのは、わかっていたけど良かったよ手を掴まれなくって、だってこの院長……ハンカチがビチョビチョなのである。
どんだけ汗をかき汗拭いているんだよ。光で手がテカテカと光っているから手汗も凄そうだし、絶対に触られたくない。
「アイリス様。古着買って参りました……これはどういう状況ですか?」
古着を買いに行かせていたダメクが戻ってきた。
そして、私たちの行く手を遮る院長と私を護るように立っているカイトさんを見て、寄付をしに来たはずなのに今の状況はおかしいと思ったのだろう。
こちらに走ってきて、ダメクも私を護るように院長の前に立ってから私に聞いてきた。
たくさん汗をかいているので、ハンカチで汗を拭きながらそう言ってきた。
「私は、アイリス・フォン・アリステラと言います」
「アリステラ公爵家の方でしたか。失礼な態度を取ってしまい申し訳ありませんでした。
私は院長のバイロと申します。
それで、こちらには寄付に来られたのですね。
私の部屋にご案内致しますので、どうぞ」
うわぁ……貴族が孤児院に来るのは、寄付しに来るのが多いけど、それだけではない。
しかも私は子供だ。親について来たとかならともかく、カイル兄様たち別行動をしたので貴族といっても子供の私が護衛とメイドだけを連れて孤児院に来たのだ。
寄付に来たのだと決めつけることはできない。
体型からもわかっていたけど、この爺さん金の事しか頭に無いよ。
確かに寄付に来たんだけど……この爺さんに渡したら、絶対に孤児や孤児院のために使わず、私腹を肥やすために懐に入れて、贅沢三昧するよ。
こんな老害のために寄付したり、孤児院をリフォームなんかしたくない。
「確かに私は寄付に来たのですが……孤児の子供たちや副院長をはじめとした大人たちはボロボロの服を着て、ちゃんと食事を取れてないのかガリガリに痩せてしまっています。
しかし院長は、まともな服を着て、そんなに膨よかなご体型をされているのでしょうか。
それにお酒を呑まれていたようですね。お酒臭いですよ。その辺のご説明を頂けませんか?」
「そんなことは、貴女には関係ないだろう。説明する必要はない。
さっさと寄付の金を渡して帰ってくれ、私は忙しいのだからな」
いやいや。寄付するのだから寄付したお金がどのように使われるか知る権利はあるし、明らかに院長の懐に入るのが明らかなのだ。
その辺を含めて、説明してもらわないと寄付できませんよ。
忙しいって……孤児たちの世話をするのではなく、お酒を呑んでいただけだろうが。
「ご説明頂けないのですか。ご説明頂けないのなら寄付するのはやめます。
忙しいみたいですし、帰らせてもらいますね。
マリア、カイト行きましょう」
仕える者に対して、敬称を付けないように普段から呼び捨てで呼ぶようにと言われていたが、お互い妥協して身内以外の貴族がいる場やファミーユ以外で公爵令嬢として対応する場合は、呼び捨てで呼ぶことになったので、二人を今回は敬称なしで呼んだ。
「おおお待ちしください!!」
院長が慌てて、私を帰らせまいと私たちの前に立ち塞がり手を掴んで来ようとした。
勿論、カイトさんが私を護るように前に立ってくれて、掴まれることはなかったけどね。
カイトさんが護ってくれるのは、わかっていたけど良かったよ手を掴まれなくって、だってこの院長……ハンカチがビチョビチョなのである。
どんだけ汗をかき汗拭いているんだよ。光で手がテカテカと光っているから手汗も凄そうだし、絶対に触られたくない。
「アイリス様。古着買って参りました……これはどういう状況ですか?」
古着を買いに行かせていたダメクが戻ってきた。
そして、私たちの行く手を遮る院長と私を護るように立っているカイトさんを見て、寄付をしに来たはずなのに今の状況はおかしいと思ったのだろう。
こちらに走ってきて、ダメクも私を護るように院長の前に立ってから私に聞いてきた。
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