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117 温泉 (1)
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メアリーとリリアが夏休みに入った。
俺たちは話していた通り、温泉に行くことになっている。
オーユゴック家の馬車は5人では乗れないので、大型の馬車を借りている。2頭立てだ。
片道2週間ということで、馬用の飼料も大量に天板にのせてある。馬は大量に飼料を消費するのだ。
俺たちの日常品はマジックバッグの中だ。
メアリーもリリアもマジックバッグは当然の様に持っている。
クレアだけ持ってなかったので、俺が<アイテムボックス>隠匿のために使っていたのを与えた。
全員がマジックバッグを持っているはずなのに、メアリーとリリアは別途トランクを積み込んでいた。マジックバッグに入りきらなかったらしい。一体どれだけ持っていくつもりやら。
もともと、<インベントリ>の隠匿のために<アイテムボックス>を使う予定だったしね。思ったより<アイテムボックス>の希少性が高かったのでマジックバッグでの隠匿に切り替えていたが。
<転移>もばれたし、<アイテムボックス>もそれほど隠す必要性も感じてないし。<インベントリ>が隠せればそれでいい。
とりあえず、半日で山裾といえる場所まで来たが、これから山を迂回するための道を通っていくという。俺たちなら、歩きでも3-4日で超えれるんじゃね?
まあ、旅というのは過程も大事だ。
山を迂回するルートを通って走っていくと、右に山、左に森がある。この森は西に行くと、魔の森につながっているらしい。オーユゴック領の北東にあたる。
途中でオークが出たが、瞬殺して、美味しくいただきました。最近オークを食べるのに抵抗がなくなってきた。この世界に染まってきたのかね。
10日ほどで最初の村に到着した。ここからはアズール帝国領だ。
村で温泉街のことを聞いたら、東に2日くらいのところにあるらしい。
ただ、街道が通ってないとかで、一度北上し、東南に戻る形になる。
北上したところには小さな砦があるらしく、そこでUターンすればいいらしい。
俺たちは言われたまま北へ進むと、夕方には砦についた。
砦なので、軍事施設で、入れないものだと思っていたが、普通に街だった。ただ、壁が5メートル近くある。
入り口で冒険者カードを提出しているときに聞くと、南の山脈に住み着いたワイバーンが襲ってくることがあるらしい。巣を作るのはザパンニ王国側なのだが、こちらにも被害が出ているそうだ。それ以外はそれほど危険な場所でもないらしい。
ここでも温泉街の事を聞いてみたが、評判はいいらしい。その分値段も高く、貴族か大商人くらいしかいけないとか。
一晩街で過ごし、翌日温泉街に向かった。特に問題なく夕方にはついた。そこかしこから湯気が出ており、温泉という感じがする。さらには硫黄の匂いもいい。他の4人は腐ったような匂いと言って、顔をしかめていた。
まあ、よく卵の腐った匂いと言われてたからな。
なんにせよ、宿を決めないといけない。入り口で警備の人に聞くと、高くて構わないなら、一番南にある高級宿が一番らしい。南から順番にいい湯を使っているので、北側になると、お湯が温かったりするらしい。
俺たちは金には困ってないので、一番という宿に向かった。
「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」
「はい。5人お願いします」
「部屋は一人部屋が一つと、二人部屋が二つになります。お一人様大銀貨3枚となっております」
さすが高級旅館。一人30万とか、どこかのホテルのスィートに泊まれる金額だ。
「温泉は二十四時間いつでもお入りになれます。男女別になってますので、ご注意ください。覗きなどは普通に違法です。兵士に連れて行かれますので、お気をつけください。
こちらが部屋の鍵となります。お食事はもう少ししたらご用意いたしますので、先に温泉をいかがでしょうか。当店の温泉は源泉掛け流しです。自信を持ってお勧めします」
いや、覗きなんてしないよ?見ようと思えば、言えば見せてくれるだろうし。
ただ、シチュエーション的には覗きもありだ。やらないけど。
うん、やっぱりまずは温泉だよな。
部屋に入ると、浴衣の代わりにTシャツを膝まで伸ばしたような服が置いてあった。腰でしばれるようになっている。透けないように厚手だ。手ぬぐいとバスタオルもセットで置いてある。高いお金を取るだけのことはある。
俺は着替えて、手ぬぐいとバスタオルを持って、風呂に向かった。
男湯と書かれたドアを開けると、脱衣所があり、その奥に温泉が広がっていた。そこは泳げるんじゃないかというくらい広い。団体で来てもゆっくり入れそうだ。
入って左側に木でできた柵があり、その向こうが女湯らしい。ちょっとジャンプしたら見れそうだ。見ないけど。
俺は洗い場で体を洗ってからゆっくりと温泉に浸かる。源泉掛け流しと言うだけあって、硫黄の匂いが充満し、湯の温度も高い。湯の花も浮いていた。温泉は傷に良かったり、美容に良かったりと言われるけど、異世界だし、本当に効果があるかもしれないね。
今日は他に誰もいない。独り占めだ。なんか、こう、リッチな気分になってくるね。
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