146 / 166
146話
しおりを挟む
「ただいま」
「あ、パパママ、おかえりなさい」
屋敷に帰ると、さっそくイングリッドとエルンストが飛び出してくる。その勢いはやはり7歳児とは思えない勢いで
「おっと、危ない。ふたりともパパやママには良いけど、他の人にこれやるなよ」
勢いのままエルンストを肩車しながら注意をすると
「あぁエルンストだけずるいい」
「イングリッドもおいで」
エルンストを左肩に座らせ、僕はイングリッドを右肩に乗せた。ふたりとも僕の頭に抱きついてはしゃいでいる。
「わーい、たかーい」
「ふたりともパパの肩車でいいわね」
僕の横に並んでミーアも穏やかに微笑む。そこに執事のギディオンが近寄ってきた。
「旦那様、奥様おかえりなさいませ。ご首尾はいかがでしたでしょうか」
「やあギディオン、ただいま。一応成果ありだね」
「それは何よりでした。では、本日は祝賀パーティーですな」
「いや、パーティーまではやめてくれよ。あまり表に出せる成果でもないから」
「そうなのですか。それでも他の冒険者がたどり着けない森の深層の奥まで探索されたのは間違いないのですよね。そこから帰還されただけでもすばらしい成果です。旦那様はご自分のご自分たちの成果を過小評価されすぎでございます。旦那様たちの成果を過小評価されては他の冒険者の方々は自分たちの成果を誇ることも出来なくなってしまいます。旦那様たちはご自分たちのお立場もご考慮ください」
「ああ、わかった。じゃあグラハム伯に報告してどう扱うか決めるよ」
「それが良うございます。グラハム伯でしたら適正に評価していただけると存じます」
そこまで話したところに双子が僕の顔に抱きついてきた。
「うぐぅ。こ、こらお話してるから」
僕がそう言っても
「いやぁ、パパ遊んでよぉ」
「はいはい、でも荷物を先に降ろして、着替えてからね。あ、ミーア先に風呂入ってきなよ」
僕が言うと最初に反応したのはイングリッドだった。
「ママー、一緒にお風呂お」
そういってミーアに両手を伸ばす。ミーアも目じりを下げイングリッドを受け止め、抱いたままバスルームに向かうようだ。
「エルンストはパパと一緒にお風呂に入ろうな。そのあとで遊ぼう」
「ん」
僕の言葉にエルンストも短く答え更にギュッと抱きついてくる。
「ギディオン、グラハム伯にこの後で訪問すると先触れを出しておいて」
ギディオンに頼み、風呂のあと子供たちの相手をしばらくすると、はしゃぎ疲れた子供たちはいつの間にか寝てしまった。
「じゃぁ僕たちはグラハム伯に話に行ってくるから子供たちの事は頼むね」
ギディオンに家の事を頼み僕とミーアはグラハム伯を訪れた。
「で、今度は四神獣を確認してきたというのだな」
グラハム伯は僕たちの話を聞くとため息をつき首を振った。
「あくまでも四神獣と思われるものを、です」
「で、その報酬は望むものという伝説の通りだったのか」
「恐らく限度はあるようですが、最後の麒麟に打ち勝つことで希望を叶えられるものと思われます」
グラハム伯は目を瞑りしばらく考えたのちに
「お前たちのやった通りに攻略すれば何度でも願いはかなうと思うか」
「正直わかりません。毎回同じなのか、同じ人間が再度挑戦しても認められるのか。ただ、僕の勘では1人につき1度だけのチャンスで、しかも試練の内容も恐らくは同じではないと思います」
「つまり、そこに四神獣という存在が居て、その試練を乗り越えることでかなりの事までの願いが叶う。そして、それ以上は現状では不明だと。要約するとこういうことだな」
「そうですね」
僕はミーアと目を合わせ頷きあう。
「わかった。報告感謝する。まあお前たち以外に挑める人間もそうはいないだろうがな。でその魔竜だったかはどうするつもりだ」
「しばらく休んだあとで考えます。今回でもかなりいっぱいいっぱいでしたから」
「あ、パパママ、おかえりなさい」
屋敷に帰ると、さっそくイングリッドとエルンストが飛び出してくる。その勢いはやはり7歳児とは思えない勢いで
「おっと、危ない。ふたりともパパやママには良いけど、他の人にこれやるなよ」
勢いのままエルンストを肩車しながら注意をすると
「あぁエルンストだけずるいい」
「イングリッドもおいで」
エルンストを左肩に座らせ、僕はイングリッドを右肩に乗せた。ふたりとも僕の頭に抱きついてはしゃいでいる。
「わーい、たかーい」
「ふたりともパパの肩車でいいわね」
僕の横に並んでミーアも穏やかに微笑む。そこに執事のギディオンが近寄ってきた。
「旦那様、奥様おかえりなさいませ。ご首尾はいかがでしたでしょうか」
「やあギディオン、ただいま。一応成果ありだね」
「それは何よりでした。では、本日は祝賀パーティーですな」
「いや、パーティーまではやめてくれよ。あまり表に出せる成果でもないから」
「そうなのですか。それでも他の冒険者がたどり着けない森の深層の奥まで探索されたのは間違いないのですよね。そこから帰還されただけでもすばらしい成果です。旦那様はご自分のご自分たちの成果を過小評価されすぎでございます。旦那様たちの成果を過小評価されては他の冒険者の方々は自分たちの成果を誇ることも出来なくなってしまいます。旦那様たちはご自分たちのお立場もご考慮ください」
「ああ、わかった。じゃあグラハム伯に報告してどう扱うか決めるよ」
「それが良うございます。グラハム伯でしたら適正に評価していただけると存じます」
そこまで話したところに双子が僕の顔に抱きついてきた。
「うぐぅ。こ、こらお話してるから」
僕がそう言っても
「いやぁ、パパ遊んでよぉ」
「はいはい、でも荷物を先に降ろして、着替えてからね。あ、ミーア先に風呂入ってきなよ」
僕が言うと最初に反応したのはイングリッドだった。
「ママー、一緒にお風呂お」
そういってミーアに両手を伸ばす。ミーアも目じりを下げイングリッドを受け止め、抱いたままバスルームに向かうようだ。
「エルンストはパパと一緒にお風呂に入ろうな。そのあとで遊ぼう」
「ん」
僕の言葉にエルンストも短く答え更にギュッと抱きついてくる。
「ギディオン、グラハム伯にこの後で訪問すると先触れを出しておいて」
ギディオンに頼み、風呂のあと子供たちの相手をしばらくすると、はしゃぎ疲れた子供たちはいつの間にか寝てしまった。
「じゃぁ僕たちはグラハム伯に話に行ってくるから子供たちの事は頼むね」
ギディオンに家の事を頼み僕とミーアはグラハム伯を訪れた。
「で、今度は四神獣を確認してきたというのだな」
グラハム伯は僕たちの話を聞くとため息をつき首を振った。
「あくまでも四神獣と思われるものを、です」
「で、その報酬は望むものという伝説の通りだったのか」
「恐らく限度はあるようですが、最後の麒麟に打ち勝つことで希望を叶えられるものと思われます」
グラハム伯は目を瞑りしばらく考えたのちに
「お前たちのやった通りに攻略すれば何度でも願いはかなうと思うか」
「正直わかりません。毎回同じなのか、同じ人間が再度挑戦しても認められるのか。ただ、僕の勘では1人につき1度だけのチャンスで、しかも試練の内容も恐らくは同じではないと思います」
「つまり、そこに四神獣という存在が居て、その試練を乗り越えることでかなりの事までの願いが叶う。そして、それ以上は現状では不明だと。要約するとこういうことだな」
「そうですね」
僕はミーアと目を合わせ頷きあう。
「わかった。報告感謝する。まあお前たち以外に挑める人間もそうはいないだろうがな。でその魔竜だったかはどうするつもりだ」
「しばらく休んだあとで考えます。今回でもかなりいっぱいいっぱいでしたから」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる