隣の席の白石さんは金髪ヤンキー?

じゅうや

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5. 白石です、私の様子がおかしいです。

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 昨日の体育の時間で私は、吉田さんとスポーツテストのペアを組むことになりました。なんと彼女から声をかけてくれたのです。感謝でしかないです。体育のあとのお昼ご飯の時間では2人で一緒にご飯を食べました。明るい人で、彼女は栗色のショートボブで小さくてとっても可愛い子です。坂道クラブの菜々子ちゃんに似てます。うっかり推しそうになるので罪な女の子です…。

 でも少し引っかかることがあります。吉田さんは最初はとある女の子たちのグループにいたのを見ました。でも最近はそこのグループにはいなかったのです。そして、私のところに来てくれました。なんかあったのでしょうか?聞いてみたいけど傷つけてしまったら嫌なので中々聞けません。

 今日はスポーツテストです。校庭でやる種目を終えて体育館に向かってる途中…

「エリノはほんとに運動神経良いわね」

ややヘトヘト気味になってる吉田さん。

「そ、そうかな~普通くらいだと思うよ~」
「あなたが普通だったら私は何!?そういうとこは謙虚にいかなくていいのよ」
「ふ、ふえぇ~…じゃ、じゃあ私は、運動神経が良いですぅ~…」

 なぜか怒られてしまいました。昨日今日の付き合いなのに昔から仲良い感じで接してくれるので、とても楽しいし、コミュ障の私にとって助かります…なんだかさっきから口調が悪いけど……。

 上体起こし、反復横飛びなどと着々と種目を進めていって最後は握力。なんで握力が最後なのかは私にも分かりません。玄たちに鍛えられた私の握力を吉田さんに見せるのです!

「ふんっ!」
「あ、あんた…意外と野太い声が出るのね…」
「お、オッサンくさかった?」
「い、いやぁ…そのほうが見た目に合ってるわよって意味だわ…」

 なんだが怖がられてしまいましたが、握力のほうは中学の時よりは良かったので記録更新です。次は吉田さんの番。

「オラァ!!」
「……吉田さんも負けてないと思うよ…」
「ふふっ、記録も負けてないっぽいよ?」

 目盛りを見ると…なんと!私よりも握力が強いです。女の子で40って凄い!!

「う、運動出来ないのに握力強いんだねっ!」
「うるさいコラ」
「いてっ」

 私の頭に手刀を噛ましてきました。ちょっと痛かったので自分の手で頭をさすります。

「提出しにいこ」
「うん!」

 先生に紙を出しに行ったあと、なにやら窓際で女の子たちがはしゃいでるので私たちも向かってみることに。そこからは校庭が見え、今ちょうど男子が50メートル走をやっていました。4人ずつ走ってますが、速い人がいると沸いたり、カッコイイ人がいるともっとうるさくなります。こんなにもオーディエンスがいると男子も緊張しちゃうのでは…??

「あら、あれ見なよ。」
「あ……」

次の番で並んでる人達の中に神田くんの姿があります。

「神田くんだ…」
「神田と金堂よね、あの2人はクラスの女子たちの中でもイケメンだ~って話題だわ」

 なんだかつまらなそうに話す吉田さん。てっきり吉田さんもキャーキャー騒ぐ人だと思ってたけど、意外とそうでもなかったっぽいです。

「そ、そーなんだ~…」

 神田くんは運動が出来るのでしょうか?授業ではいつも携帯ばっかいじってるし…遅かったりするのかな…?そう考えていると、彼の出番です。見てるこっち側も緊張してきました…。

フラッグが降りてスタートしました。すると………

スタートダッシュは金堂くんって人のほうが速かったのに…ぐんぐん速くなる神田くん…気づいたら彼は他の3人と圧倒的な差をつけてゴール。

 彼が走っている間は女子たちも見惚れてしまって一瞬だけでしたが、沈黙が流れてました。ゴールのあとはこっちも、校庭にいる男子達もはしゃいでました。おそらくとんでもなく速かったのでしょう。

「……驚いたわ、不良みたいな振る舞いしててちょっと苦手意識してたけど…エリノのお隣さん、とんでもなく足が速いのね」
「…………」
「……?エリノ?聞いてる?」

 なぜでしょう。彼の走っていた姿が…頭から離れません。いつもはあんなクールにすましてた顔。でも、走っている時は…満面の笑みだったのです。私の心臓の鼓動がどんどん早くなっていきます。彼の姿を、ずっと、目で追っていて……

「コラっ」
「いてっ!」

横から脇腹をつつかれて、現実に戻りました。

「なに見惚れてんのよ…口も空きっぱなしよ、だらしない…」
「あ、え、ご、ごめん…」


 吉田さんに指摘されて私は口を閉じました。程なくして男子達もスポーツテストが終わり、昼休憩になりました。教室でも私は、彼を目で追いかけていました。なんでしょう…この気持ちは…。


…今の私の目には、彼がカッコよく写ってて仕方がないのです。
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