君にとって花火は何色ですか?

じゅうや

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11.目撃

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 今日は珍しく定時で上がれるので、いつも通ってるとことは違うパチ屋に行こうとしてたが…

「隅田さん今日定時ですよね~?」
「ええ、でも用事あるからもう帰ろうかと」
「久々に2人で飲みに行きましょうよ」

 話しかけてきたのは部下の金沢藍かなざわあいさん。1年目の新人だが容姿端麗、仕事が出来る女性だ。出会った頃から私によく話しかけてきて、こういう風に飲みにも誘われることが多い。

「うーん、最近残業ばっかだったし、いいわ行きましょう」
「っしゃぁ!隅田さんと飲み~テンション上がりますよ」
「お店どうする?いつもの会社の近くのとこ?」
「あーそれなんですけど私良いとこ見つけたんでそっち行きましょ、隅田さんもそこだと家近いし」

 電車に乗り向かった先は私の家から2駅のドドバシカメラがある駅だった。少し歩くと雰囲気が良さそうなフレンチ料理店に着く。

「予約取ってあるんで大丈夫ですよ~」
「あなたってほんと仕事出来るわね…」
「へへ~隅田さんに褒められるために頑張ってると言っても過言ではないですからね」
「ふざけたこと言わないの、中に入りましょ」

 中はとても賑わっており、予約していたのですぐに案内された。この店は2人用の個室もある。私達はそこに案内された。ビールとカシスオレンジ、おすすめ料理などを注文した。

「「乾杯」」

「あー、やっぱり仕事終わりの1杯は最高ですね~」
「そうね、ほんとに良いわ」
「……あの、隅田さん。1つ気になったんすけど」

 急に鋭い目でこちらを伺う藍。なにか仕事での口出しかと思っていたら…

「なんで急にビールなんか飲み始めたんすか?前まではハイボールとかでしたよね?なんでですか?もしかして彼氏ですか?男いるんですか?そいえば最近仕事中に携帯とかよく見てますよね?そうなんですか?」

 ……始まった。まだ酒はあまり入ってないのにもうこの質問攻めモードに入った藍。少しため息をつきながらも私は答えた。

「彼氏なんかいないし、どんなお酒飲むくらい別にいいでしょ?最近はビールにハマってるのよ」
「……ジーッ…」
「な、なによ…ほんとよ…」
「…ちょっと、失礼します」
「ちょっ!いきなりなにすんのよコラ!」

 彼女は私の懐に入り、匂いを嗅ぎ始めた。終いには顔をゼロ距離で観察されてなんだか恥ずかしくなってしまったので突き放した。

「急になにしてんのよあなた、気持ち悪いわね」
「隅田さん、タバコの匂いが前より薄いです」
「…へ?」
「今日も来てから20分くらい経ってるのに1本も吸ってません、あの隅田さんが」
「そ、それはちょっと本数少くしようとしてて」
「その理由は?」
「え、え、それは…その…」

 なんでこの子はこういう所まですぐに気づくのかしら。ほんとに怖い…

「もう正直に言ってください、隅田さん最近良い雰囲気の男性いますよね?会社の人ですか?」
「い、いえ会社じゃないわ」

 すると机の上に置いてた私のスマホが光る。それに素早く反応した藍が私のスマホを奪い、慣れた手つきでロックを解除する。

「ちょっ!ちょなんで私のロック解除できんのよ!てか、返しなさいよ!」
「なんだか先輩らしくないですね~そんなにラインの中身を見られたくないんですか?まあもう見ますけ…ど…」

な、なんで急に黙り込むのよ…。しばらくすると藍がため息をしてから口を開く。

「年下ですか、しかも大学2年生。どこで知り合ったんですか?はあ、なんてこと…すみませーん!この今日のカクテルってやつ、2つで!」
「2つも飲むの?」
「何言ってんすか隅田さんもう空いてるから頼んであげたんですよ」
「え、ええ…それはありがとね」
「今日は飲みます、とことん根掘り葉掘り聞きますから覚悟の準備をしておいてくださいね」

 なんだか聞いた事あるフレーズだったがここで突っ込むとさらにめんどくさくなりそうなので素直に花道くんとの出会いを話した。

~2時間後~

「なぁんでーよー、ちゃっかり良い雰囲気になりやがって!れいかさんはぁ!私のモノれす!」
「ちょっと、飲みすぎよ藍」
「うるさいれす!れいかさん責任取ってください~」

 藍は出来上がってしまってた。私達はそこそこお酒は強いほうだが今日の藍は飲むペースが異常に早かった。そろそろ9時近いので解散にしようとする。

「藍、もうすぐ出るわよ家まで送るから」
「ぇ!!ほんとですか~!!やた~!れいかさんとお泊まり~ンふふふ~」
「泊まらないわよ、だいたい私達は家近いんだから泊まる必要ないでしょ」
「あ、れいかさん、はいこれ」

 フラフラとした手つきで財布から1万円を取り出し渡してくる藍。

「なにやってるのよ私が払うからいい…」
「だめれす!いつも奢ってもらってるんで今日くらいは部下私に払わせろください!」

 口調などはおかしくなっているが、酔っ払っても彼女の真のところは変わってないらしい。ほんとに、よく出来た子だわ。

「じゃあ、お言葉に甘えるわ。さ、行くわよ」
「はーい、れいかさんにおんぶー」
「おうっふ!」

 やっぱりどうしようもないわ、この子……

 彼女をおんぶしながら駅まで歩いてると、そこで事件は起きた。

 私たちの少し前に歩く男女2人組。女のほうが男に腕を組んでいて傍から見たら普通のカップル…でも。

 男のほうには見覚えがある。私よりも少しデカくて髪は茶色。クールな顔つきはしてるが、時折見せるあのクシャッとした笑顔。そこで確信してしまった私は、足を止めてしまった。

「うん?どしたんですかーれいかさ…」

 この感情を、どう整理すればいいか分からなかった。よくよく考えてみれば彼は、恋人の有無に関してはなにも言ってなかったので、いても不思議なことではない。でもなんで、こんなに、私の胸は、ズキズキと…。そして1粒、いや両目からはすでに涙が頬を伝い、流れ始めていた。

 すると後ろにおんぶしてた藍がいつの間にか目の前にいて、静かに、私を、抱きしめてくれた。

「とりあえず、私で涙拭いちゃってください」
「あなた、酔っ払ってたんじゃないの…」
「急に泣き始めた哀れな上司見てたら、多少は酔いも覚めますよ」
「それが上司に向かって言う言葉?なんて失礼なの……でも、ありがとう…」
「…はい、吹き終わったら、私の家行きますよ」
「…うん。」

 大学の頃に初めて付き合った人からは浮気で別れを告げられた。その次に好きになった人からは「関わらないでほしい」と振られた。今回も、また、相手から置いてけぼりにされてしまったのだ。

 どうして私の恋愛は、いつもこんな形で、終わってしまうのだろう。
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