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しおりを挟む雨が左肩を濡らす。
反町の大事な物が詰まったリュックが濡れないように、右斜め前に重心を傾けて柄を掴む。反町の左肩に密着した右肩に熱を感じるけど、俺はただただリュックを濡らさない事に注力した。
学校の最寄駅までは歩いて10分。反町との他愛ない会話もどこか上の空だ。
点き始めた街灯に照らされる歩道の脇には何処かの家の植込みがあって、まるくて大きな水色の紫陽花がたっぷりの水分を含んでこちら側にはみ出している。普段なら傘で避けるんだろうけど、左に傾ける訳には行かないから、手でそっと茎を持ち上げやり過ごした。やっぱりたっぷり水を含んで重たかった。
通り抜けざま、ふと緑色の葉っぱの上に乗ったかたつむりと目が合った気がしたけど、それは口にしなかった。
「藤ってほんとに優しいなあ」
駅の改札が雨の向こう側に滲んで見えた時、反町は笑いを帯びた声で唐突に言った。
「何言って」
不意に、反町の左肩が動き、俺の左肩を抱いた。
「びしょびしょになっちゃって」
「だって」
お前のリュックが、と言い掛けた所で反町は俺にキスした。同じくらいの背の高さ。一つの傘の中で密着した体。顔を動かした時、まるで偶然に当たってしまったように……一瞬だけ、触れるように。
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