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第5章 ディアボルス編
3 実母、見つかる?
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捜索対象に似た人物が見つかったと報告を受けた翌日、テオドールとジュリエットは、国が用意した馬車で三日かけて、女性に会いに行った。
ジュリエットが竜になって飛んでいけば、あっという間なのだが、人々に見られると騒ぎになるし、女性のいる場所もわからない。
テオドールは、実母に自分が息子であることを、打ち明けるかどうか、決めかねていた。
実母がそれを望んでいるとは限らないからだ。
告白するかどうかは、会ってから決めることにしている。
◇◆◇◆◇
目的地に到着すると、ジュリエットが女性に会い、テオドールの実母か確認した。
だが別人と判明して、テオドールはひどく肩を落とす。
王都に引き返す途中の街で、テオドールとジュリエットが食べ物屋を物色していると、中年の女性が声をかけてきた。
「お兄さんたち、ウチのお店で食べて行っておくれよ。ウチはこの街で一番美味いって評判だよ」
ちょっと強引な客引きで、テオドールの腕を引っ張って、連れて行こうとする。
しかたなく女性に付いていった二人は、高級そうな店の個室に通された。
女性が注文をとって部屋から出ていくと、入れ替わるように恵比須顔の男性が入ってきた。
「ようこそお越しくださいました。私はこの店の主で、マルシエと申します。実はお兄さんに、いい話があるのですが――」
マルシエはテオドールを、某組織の用心棒に勧誘した。
近衛の倍の報酬を提示されたが、緋竜山から離れたくないテオドールは、きっぱりと断った。
マルシエは、さらに金額を引き上げたが、テオドールは首を縦に振らなかった。
「そうですか。それは残念でなりません。でも気が変わったら、いつでも申してください。歓迎しますよ」
未練たらたらにマルシエが口にすると、食事が運ばれてきた。
「では、ごゆるりと。我が店の料理を存分にお楽しみください」
マルシエが一礼して去ろうとしたとき、ジュリエットが、
「待て。用心棒の件、条件次第では、考え直してもいいぞ」
「それは本当ですか? どのような条件でしょうか?」
マルシエは揉み手をしながら嬉しそうに尋ねた。
ジュリエットは給仕が出ていくのを待ってから、
「この料理を、お主が食べたら、考え直してやる」
にこやかな表情のマルシエが、一瞬頬をひくつかせ、
「それは、どういうことでしょうか?」
「料理を食べても、生きていられたら、ということだ」
嗅覚に優れているジュリエットとテオドールは、料理に毒が盛られていることに、気づいていた。
慌ててマルシエが逃げようとするも、素早い動きでテオドールが立ち塞がる。
「どうして妾たちの命を狙った? お主の組織について、詳しく聞かせてもらうぞ」
ジュリエットが問うと、マルシエはテーブルの料理を掴んで、口に詰め込んだ。
すぐにテオドールが、マルシエを羽交い締めにして引き離すも、料理を飲み込まれてしまう。
やがてマルシエは、血の気を失い、口から泡を吹いて絶命した。
そのことを店の従業員に追及すると、店の主と給仕は偽物で、個室を予約した客だという。
その二人は初めて見る顔なので、どこの誰かは知らないと、従業員は口をそろえた。
給仕は客引きと同じ女で、個室で密談が行われているからと、従業員の代わりに料理を運んだという。
その時に毒が盛られたようだが、すでに女は姿をくらましていて、真相はつかめなかった。
その後、王城に戻ったテオドールとジュリエットは、探していた人物とは別人だったことに加え、命を狙われたことを、国王と団長に報告した。
「もしその組織が、テオドールと分かっていて、命を狙ったのであれば、深刻な事態と思われます」
レオンハルトが上申すると国王は、謎の組織について早急に調査するよう命じた。
ジュリエットが竜になって飛んでいけば、あっという間なのだが、人々に見られると騒ぎになるし、女性のいる場所もわからない。
テオドールは、実母に自分が息子であることを、打ち明けるかどうか、決めかねていた。
実母がそれを望んでいるとは限らないからだ。
告白するかどうかは、会ってから決めることにしている。
◇◆◇◆◇
目的地に到着すると、ジュリエットが女性に会い、テオドールの実母か確認した。
だが別人と判明して、テオドールはひどく肩を落とす。
王都に引き返す途中の街で、テオドールとジュリエットが食べ物屋を物色していると、中年の女性が声をかけてきた。
「お兄さんたち、ウチのお店で食べて行っておくれよ。ウチはこの街で一番美味いって評判だよ」
ちょっと強引な客引きで、テオドールの腕を引っ張って、連れて行こうとする。
しかたなく女性に付いていった二人は、高級そうな店の個室に通された。
女性が注文をとって部屋から出ていくと、入れ替わるように恵比須顔の男性が入ってきた。
「ようこそお越しくださいました。私はこの店の主で、マルシエと申します。実はお兄さんに、いい話があるのですが――」
マルシエはテオドールを、某組織の用心棒に勧誘した。
近衛の倍の報酬を提示されたが、緋竜山から離れたくないテオドールは、きっぱりと断った。
マルシエは、さらに金額を引き上げたが、テオドールは首を縦に振らなかった。
「そうですか。それは残念でなりません。でも気が変わったら、いつでも申してください。歓迎しますよ」
未練たらたらにマルシエが口にすると、食事が運ばれてきた。
「では、ごゆるりと。我が店の料理を存分にお楽しみください」
マルシエが一礼して去ろうとしたとき、ジュリエットが、
「待て。用心棒の件、条件次第では、考え直してもいいぞ」
「それは本当ですか? どのような条件でしょうか?」
マルシエは揉み手をしながら嬉しそうに尋ねた。
ジュリエットは給仕が出ていくのを待ってから、
「この料理を、お主が食べたら、考え直してやる」
にこやかな表情のマルシエが、一瞬頬をひくつかせ、
「それは、どういうことでしょうか?」
「料理を食べても、生きていられたら、ということだ」
嗅覚に優れているジュリエットとテオドールは、料理に毒が盛られていることに、気づいていた。
慌ててマルシエが逃げようとするも、素早い動きでテオドールが立ち塞がる。
「どうして妾たちの命を狙った? お主の組織について、詳しく聞かせてもらうぞ」
ジュリエットが問うと、マルシエはテーブルの料理を掴んで、口に詰め込んだ。
すぐにテオドールが、マルシエを羽交い締めにして引き離すも、料理を飲み込まれてしまう。
やがてマルシエは、血の気を失い、口から泡を吹いて絶命した。
そのことを店の従業員に追及すると、店の主と給仕は偽物で、個室を予約した客だという。
その二人は初めて見る顔なので、どこの誰かは知らないと、従業員は口をそろえた。
給仕は客引きと同じ女で、個室で密談が行われているからと、従業員の代わりに料理を運んだという。
その時に毒が盛られたようだが、すでに女は姿をくらましていて、真相はつかめなかった。
その後、王城に戻ったテオドールとジュリエットは、探していた人物とは別人だったことに加え、命を狙われたことを、国王と団長に報告した。
「もしその組織が、テオドールと分かっていて、命を狙ったのであれば、深刻な事態と思われます」
レオンハルトが上申すると国王は、謎の組織について早急に調査するよう命じた。
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