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第7章 エルデン帝国編
1 生みの親と育ての親
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諸国からの返事待ちで、しばらくエルデン帝国に大きな動きは見られなかった。
なのでヴェラントは、何日か鳥の姿で教会本部周辺を監視していたが、侵略の準備が行われていることに、一切気付かなかった。
テオドールの母竜は”ブリギッタ”という名で、人間に扮している時だけ”ジュリエット”という偽名を使っている。
緋竜山に戻ったヴェラントは妻のブリギッタに、
『あれから教会に動きは見られない。聖騎士団を失い、聖戦どころではなくなったのだろう。もう監視しなくてもいいのでは?』
『そうだね。しばらくは様子見で監視はしなくていいよ。妾たちは男爵のところへ行ってくるから、アンタは留守番を頼むよ。テオ、フレアに声を掛けてきな』
『うん。わかったよ。母ちゃん』
教会がどう動くか分からなかったので、テオドールは緋竜山で待機していた。
ずっと男爵一家と会えなかったので、テオドールは嬉しそうにフレアを呼びに行った。
『それなら我も同行しよう』
『アンタは来なくていいよ。大勢で押しかけたら迷惑だからね』
『我一人ぐらい、問題ないだろ。それに男爵邸の場所を知らないと、何かあった時にオマエたちを呼びに行けないからな』
渋々承諾する妻に、ヴェラントは何かを隠しているのではと疑う。
男爵邸に到着するとブリギッタはヴェラントに、
『ここが男爵邸だよ。場所が分かったんだから、もう帰っていいよ。アンタ』
『男爵夫妻に挨拶しないで、帰るわけにはいかないだろ』
夫が帰ろうとしないので、舌打ちする妻。
四人がアルフレッドに客間へ通された後、すぐに男爵一家が駆け付けてテオドールに抱きついた。
「テオドール君。全然来ないから、心配したんだよ」
「そうよ。テオドールさん。ずっと待っていたんだから」
男爵夫妻はテオドールに頬ずりしながら嬉しそうに言った。
ヴェラントは男爵夫妻を指さしながら呆れたように、
『親バカにも程があるだろ』
『アンタが言うな!』
「お初にお目に掛かります。私はテオの育ての親で、ヴェラントと申します」
ヴェラントがダンディに挨拶すると、男爵夫妻は畏まり、
「これは大変失礼致しました。話は娘から伺っております。私はセドリック・オークハート男爵で、こちらは妻のグレースです」
「ヴェラントさん、ジュリエットさん、フレアちゃん、ようこそ、おいでくださいました。心より歓迎いたしますわ。ささやかですが料理を用意させますので、是非ともお召し上がりくださいね」
「おお、それは素晴らしい! 人間の食べ物の味を覚えてしまうと、竜の食べ物では物足りなくてな」
思わず涎を垂らしながら本音を漏らすジュリエットに、ヴェラントはため息をついて、
『オマエは食い物が目当てで来たのか。それで我を帰そうとしたのだな』
『ち、違うぞ。妾は、テオが心配だから付いてきたのだ』
『それなら、オマエは料理を食べなくてもいいんだな。あとは我がテオに付いているから、オマエは帰っていいぞ』
『そんな殺生な……せっかく用意してくれるのに、食べなくては申し訳ないではないか……』
ヴェラントの追及に、あっさり料理目当てだと認める涙目のジュリエット。
ジュリエットの早く食べたそうな顔を見て、グレース夫人はアルフレッドに、急いで食事の準備をするよう指示した。
◇◆◇◆◇
料理の用意ができるやいなや、貪り食い始めた妻に、ヴェラントは眉間にしわを寄せ、
『ブリギッタ、はしたないぞ。その様な振る舞いをしては、竜の沽券にかかわる。我らは人間から竜神として崇められる神聖な存在なのだからな。それに相応しいエレガントな振る舞いをしなさい』
妻の不作法を窘めたヴェラントも料理を口にしたとたん、人が変わったように貪り食い始めた。
「なんか……ごめん」
テオドールは気恥ずかしそうな面持ちで生みの親に謝った。
それから毎日、四人は男爵邸を訪れ、料理を堪能した。
聖戦が終結したと思われてから2週間後、ドラゴニア王国へ周辺諸国による侵攻が開始された。
なのでヴェラントは、何日か鳥の姿で教会本部周辺を監視していたが、侵略の準備が行われていることに、一切気付かなかった。
テオドールの母竜は”ブリギッタ”という名で、人間に扮している時だけ”ジュリエット”という偽名を使っている。
緋竜山に戻ったヴェラントは妻のブリギッタに、
『あれから教会に動きは見られない。聖騎士団を失い、聖戦どころではなくなったのだろう。もう監視しなくてもいいのでは?』
『そうだね。しばらくは様子見で監視はしなくていいよ。妾たちは男爵のところへ行ってくるから、アンタは留守番を頼むよ。テオ、フレアに声を掛けてきな』
『うん。わかったよ。母ちゃん』
教会がどう動くか分からなかったので、テオドールは緋竜山で待機していた。
ずっと男爵一家と会えなかったので、テオドールは嬉しそうにフレアを呼びに行った。
『それなら我も同行しよう』
『アンタは来なくていいよ。大勢で押しかけたら迷惑だからね』
『我一人ぐらい、問題ないだろ。それに男爵邸の場所を知らないと、何かあった時にオマエたちを呼びに行けないからな』
渋々承諾する妻に、ヴェラントは何かを隠しているのではと疑う。
男爵邸に到着するとブリギッタはヴェラントに、
『ここが男爵邸だよ。場所が分かったんだから、もう帰っていいよ。アンタ』
『男爵夫妻に挨拶しないで、帰るわけにはいかないだろ』
夫が帰ろうとしないので、舌打ちする妻。
四人がアルフレッドに客間へ通された後、すぐに男爵一家が駆け付けてテオドールに抱きついた。
「テオドール君。全然来ないから、心配したんだよ」
「そうよ。テオドールさん。ずっと待っていたんだから」
男爵夫妻はテオドールに頬ずりしながら嬉しそうに言った。
ヴェラントは男爵夫妻を指さしながら呆れたように、
『親バカにも程があるだろ』
『アンタが言うな!』
「お初にお目に掛かります。私はテオの育ての親で、ヴェラントと申します」
ヴェラントがダンディに挨拶すると、男爵夫妻は畏まり、
「これは大変失礼致しました。話は娘から伺っております。私はセドリック・オークハート男爵で、こちらは妻のグレースです」
「ヴェラントさん、ジュリエットさん、フレアちゃん、ようこそ、おいでくださいました。心より歓迎いたしますわ。ささやかですが料理を用意させますので、是非ともお召し上がりくださいね」
「おお、それは素晴らしい! 人間の食べ物の味を覚えてしまうと、竜の食べ物では物足りなくてな」
思わず涎を垂らしながら本音を漏らすジュリエットに、ヴェラントはため息をついて、
『オマエは食い物が目当てで来たのか。それで我を帰そうとしたのだな』
『ち、違うぞ。妾は、テオが心配だから付いてきたのだ』
『それなら、オマエは料理を食べなくてもいいんだな。あとは我がテオに付いているから、オマエは帰っていいぞ』
『そんな殺生な……せっかく用意してくれるのに、食べなくては申し訳ないではないか……』
ヴェラントの追及に、あっさり料理目当てだと認める涙目のジュリエット。
ジュリエットの早く食べたそうな顔を見て、グレース夫人はアルフレッドに、急いで食事の準備をするよう指示した。
◇◆◇◆◇
料理の用意ができるやいなや、貪り食い始めた妻に、ヴェラントは眉間にしわを寄せ、
『ブリギッタ、はしたないぞ。その様な振る舞いをしては、竜の沽券にかかわる。我らは人間から竜神として崇められる神聖な存在なのだからな。それに相応しいエレガントな振る舞いをしなさい』
妻の不作法を窘めたヴェラントも料理を口にしたとたん、人が変わったように貪り食い始めた。
「なんか……ごめん」
テオドールは気恥ずかしそうな面持ちで生みの親に謝った。
それから毎日、四人は男爵邸を訪れ、料理を堪能した。
聖戦が終結したと思われてから2週間後、ドラゴニア王国へ周辺諸国による侵攻が開始された。
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