悪女”と呼ばれた妹は、失踪した聖女の姉の代わりに敵国王子を婿に迎える

冬田シロクマ 

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3 嘘つきな王子

嘘だ…
そう思った。
探す気もない、と。
言葉に無責任な男にはいくらでも会ってきた。

「もういいわ。」
「なにが?」
「探す気なんて端からないんでしょ?」

男は笑う。
わたしは不愉快だった。

「上の兄弟なんて、ぼくは邪魔でしかなかったけどね。
今は仲がよくてもあとあと自分の将来の障害になりうる。
きみのように、よく思いすぎてる人もね。」
「…わかったようなこと言わないでくれる?」

男に強く言う。

「夫となったからって人の心に踏み込みすぎよ。
それにあなたが言ってるわたしに関してのこと、ずっと間違っているわ。」
「そうだね。ぼくはきみのことを何も知らない…」

近づかれたので、わたしは拒否するように離れた。

「…ねえ、どこに行くの?」
「水を飲みに行くのよ。喉が乾いて…」
「取りに行かせれば?あっ、僕が取りに行くよ。」

優しそうに言われる。
わたしはなにが、「あっ」だ?と思っていた。
毒や媚薬でも盛るつもりなのか…と。

「…自分でできるわ。
従者を起こすのもかわいそうでしょ。 
起きてる人も、月夜を楽しんでいるかもしれないし」

ランプを持った。
王子は「へぇ」と言って、わたしの言葉を楽しんでいるようだった。
今の言葉のどこにおもしろ要素があるのかはわからないが…

「王女」

舐めるような言い方で言われた。
ドアに向かうわたしは立ち止まる。
ゾワッと鳥肌が立った。
落ち着いて、気をそらすことを言う。

「あなたも水がほしいの?」
「いいや?けど欲しいと言ったら僕のも持ってきてくれるのかな。」

笑いながら腕を引っ張られ、ベッドの上で覆いかぶさられる。
目にも留まらぬ速さで、わたしはポカンとした。
ニッと魅力的に笑う王子。
その表情に、束の間見惚れた。

「な、なに?」
「きみは…姉の方か?」
「え…?」
「本当に第2王女だとしたら、ぼくの聞いてる話と違いすぎる。」
「聞いてた…話?どんな?」
「性格が悪く、頭が足りない。

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