底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

文字の大きさ
112 / 261
第3章

第39話

しおりを挟む
第39話

「ところで、王様がキミ達冒険者達を解放しなかったら、どうするつもりかい?」

 檻から出されて手枷されたまま、もう一つのダンジョンに向かう途中でグリーさんは、俺に話し掛けて来た。
先程ガメニ達に言った事を、そのままグリーさんにも言ってやろうと思って言ってみようかな。

「もし、この王もギルドマスター同様にクズなら、城を消滅させてダンジョンのある街って事になるだけですね」

「なっ!キミは私や城で働いている皆んなをも殺してしまおうとしているのか!」

「違いますね。王と王妃がクズなら二人だけ死んで貰う必要がありますが、無関係な城の人達はそのままで城は消滅します。私にはそれだけの力がありますから、因みに言うとこんな手枷は意味ないですから」

「手枷が意味ない?馬鹿を言っちゃいけないよ。コレはね、魔力を封じ込めつつスキルも封じる特別な手枷なんだよ」

 何やらこんな玩具みたいな手枷で、完全に拘束した気でいるみたいだ。
 それなら壊してみるか、腕に力を込めて手首を捻り左右を引っ張ると簡単にバキバキっと壊れた。

「な、なんだと?これは特別製の手枷なんだよ。確かにキミには手枷は不必要なのは分かったけど、こんな力があったら壊す必要なかったんじゃないか?」

「そうですね。壊さなくても外す事は出来たかも知れないですが、グリーさんがこの手枷に多大な信頼を持っていたので、壊す事も出来る人が居ますよって言う警告です」

「だが、しかし、これに掛かる費用が…」


 あぁ、お金の問題か、なら凍らせて死んだスカラベ3つで足りるかな?

「費用が問題ならコレで足りますか?」

スカラベを出してグリーさんに手渡した。

「こ、これは?」

「あのダンジョンで倒した魔物ですよ。
コレで足らなかったら、まだまだ持っていますから必要なだけ言って下さい」

「いや、充分だ。私はこれから兵士長の元に行くから部下達に、もう一つのダンジョンに連れて行って貰うといい」


 グリーさんはそれだけ言うと、小走りで走って行った。残った俺はグリーさんの部下である、兵士二人に連れて行って貰った先は、あのダンジョンと同じ様な作りで、檻の内側に冒険者が三人居た。

俺はその檻に入れてもらい、中に居た冒険者に話し掛けた。

「なぁ、キミ達はどの位この場所に居るんだい?」

「あ?俺達は疲れてんだよ!
オッサンみたいな頼りなさそうな冒険者は必要ないんだよ」

 三人のうちの三人とも俺を邪魔者扱いしている。
最初のガメニみたいに拳骨でもかましてやろうかと思ったが、今の俺が拳骨をやると殺してしまうかも知れないし、手加減を覚えてからにしてやろうと思った。

「なら、もういいよ。
俺は俺でこのダンジョンを潰すから」

 俺の言った事に三人中一人が反応した。
 残りの二人は何言ってんだ?
 馬鹿じゃねぇの?と言った感じで蔑んだ目で見ている。

「は?潰す?どう言う事だ?オッサン」

「どいつもこいつも、第一声はオッサンって、確かにオッサンだけど腹立つな。
そのまんまの意味だよ。この場所にダンジョンは一つで良いんだよ」

「意味分かんねーよ。
潰せるのか?潰せるだけのスキルがアンタにあるのか?潰したら、もう一つのダンジョンに俺は行けるのか?」

「力もスキルもあるぞ。
もう一つのダンジョンに行けるかどうかは分からんけど、可能性はあるな。
行きたいのか?厳しい方のダンジョンに」

「あぁ、行きたい。
俺の仲間があそこに連れて行かれたからな。生きていたら会えるかもしれないしな」

「そうか、そいつの名前は?」

「メリアンって名前だけど聞いた事あるか?」

「悪いがないな。名前からして女っぽいけど、仲間は女か?」

「そうだ。俺達は4人パーティでパーティごと捕まって、残りの2人は牢屋に居るんじゃねぇかな」

「悪いが、あっちのダンジョンでは女は居なかったよ」

「畜生!やっぱりこんな所に来なきゃよかったぜ」

若者は壁を素手で思いっきり何度も殴って、手を血だらけにしている。

「俺はミーツって言うんだが、キミは何て名前だ?」

「もう、名前なんてどうでも良いよ。
だけど、俺はガメニだ」

「は?ガメニってよく居る名前なのか?」

「あ?多分いねぇと思うぜ」

「俺が居た向こうのダンジョンでもガメニっていたんだけど、知っているか?
向こうのガメニにダンジョン攻略を手伝って貰っていたんだが」

「も、もしかしたら、それがメリアンかも知れねぇな。アイツは普段から髪短いし、胸も魔導着で隠してるしな!」

 そうなのか?そう言われれば、不審な点がいくつもあった様な気がする。
 俺の裸を見て赤くなったり、俺の前で服を脱がなかったり、風呂上がりのアイツを見てドキッとしたり、スカルブが頑なにビッチと言ったりあれが女なら全部辻褄が合う。


「アイツ、メリアンって名前だったんだ」

「ああ!希望が出て来たぜ。
オッサン、俺に手伝える事があれば手伝わせてくれ!メリアンがオッサンを手伝ったんなら仲間の俺が手伝わない訳にはいかないからな」


 本当のガメニが手伝ってくれる事になったが、そもそも、このダンジョンは攻略されたのか?
 優しい方だと言うくらいだし、攻略はされているんだろうな。

「じゃあ、ダンジョンコアの案内を頼む」

「ダンジョンコアの場所なんて知らないぜ。
ダンジョンボスなら何度か倒した事あるけどコアは分からない」

 俺はコッソリ小さな声でスカルブに問いかけた。

「スカルブ、こちらのダンジョンコアの在処は分かるか?」

「回答、入れば分かると思います。天然のダンジョンな為、移動する事があります」

「分かった。ならコアが近くにあると分かったら報告を頼む」

「なにブツブツ独り言を言ってんだ?
潰すなら早く行こうぜ!」

「疲れているんじゃないのか?」

「メリアンが生きてるかも知れないって分かっただけで疲れが吹っ飛んだよ」

「そうか、なら案内を頼む」

 そうして俺達2人と透明化のスカルブとでダンジョンに潜る事となった。
 ダンジョンまでの道のりは、向こう側と同じだけど、ダンジョンに入ってみると、魔物が全くいない事に驚いた。

「なあ、ガメニ、何で魔物が全く居ないんだ?」

「それは俺達が倒したからだよ。ダンジョンの魔物は簡単に復活しないんだよ」


コッソリとスカルブにも聞くと、スカルブもガメニと同じ答えを言って来た。

「じゃあ、魔物と会えないのは残念だけど、こちらではどんな魔物がいるんだ?」

「そうだな。1m程の黄金鴉に普通のゴブリンにホブゴブリンと、ゴールドモスくらいかな。普通に遭遇する魔物はな」

「は?ゴールドモス?レッドモスじゃなくて?それに、たったそれだけなのか?」

「普通はそんなもんだぜ、レッドモスは聞いた事無いけど、ゴールドモスとどう違うんだ?ゴールドモスは鱗粉に触れると軽く痺れるくらいだけど」

「レッドモスもほぼ一緒だけど、赤く染まった時の鱗粉に触れると火傷するんだよ。
結構重度のな。他にも凶悪で最悪な魔物だらけだったよ」

「そんな恐ろしいのがいるのか!
よく、メリアンは生きてたな」

ガメニの案内で魔物が居ないダンジョンを進み、地下五階程下りた辺りで、ダンジョンボスのいる部屋に行き着くと、そこには金色のオーガが三匹居た。

「今日は倒してなかったからな。
それに、ここのダンジョンボスは日によって違うんだ。
今日はオーガだけど、牛魔の時やジャイアントゴブリンの時もあるんだ。って今日は外れだな。オーガ三匹は俺一人じゃ手に余るよ」

ガメニと話していると、オーガが走ってやって来た。その行動にガメニは岩によじ登って逃げた。
オーガも一人で倒せないのか情け無いなぁ。


「はぁ、お前弱いんだな。
こんなのも一人で倒せないなんてな」

俺は岩によじ登ったガメニを見ながら言うと、俺の背後に迫ってきたオーガは俺を鋭い爪で切り裂こうとしたが、俺は裏拳一発をお見舞いした。
すると、オーガの頭は弾け飛び、一撃で終わった。残りの二匹は俺の行動をみて距離をとって左右に散った。

だが俺は近づかないならと、自らオーガに近づいて、回し蹴りを一発食らわし、もう一匹にはI.Bから直ぐに取り出した刀を思いっきり投げて、頭に突き刺した。

「アンタってスゲェんだな。
見た目は貴族みたいな服装で腹が出ているオッサンなのに、動きは高ランクの冒険者並みの動きって凄すぎるだろ」

「これでも、ランクはAだからな」

「そ、そうなのか?もっと上だと思ったけど最近ギルド証は更新したか?」

「そういえば、してないな。
しばらく更新はするつもりはないし、いいかなって思っているよ」

こうして優しい方のダンジョンは攻略した。
向こうのに比べると本当に優しかったな。




しおりを挟む
感想 303

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。