底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第4章

第27話

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第27話

気が付いたら俺は横になっていて頰がジンジンと痛む。俺はキマイラと共に死んだ筈だが、何で頰が痛むんだ?


「おいおい、俺はそんなに強く殴ってないだろうがよ。大体お前が悪いんだぞ」


声のする方に目をやるとシオンが鼻をつまんで、俺を見ていた。
シオンだけじゃ無く、辺りを見回すと食器を持った子供達に少女が俺を見ていた。


「はあ?な、なんで?俺はあの時死んだ筈、シオン達も死んだ筈だ。俺は夢でも見ているのか?

「お前、何言ってんだ?勝手に俺を殺すなよ。
夢って、たった今俺がお前を殴ったばかりだぞ?
この一瞬で夢を見たのか?」


正直、意味が分からなかった。
アレが夢であるもんか!
でも、今のこの現状は俺が作りだした岩のドームの中での食事で、恐らく俺は放屁をした後シオンに殴られたというところか?

もし、これが夢でなくて現実なら確かめる為に前と同じ行動と少し違う行動を取る事にしよう。

食べ終えた子供達の食器を回収と、少女に睨まれるのと、食器を細切れにして子供達にキラキラした目で見られるのを確認したのち、本来ならキャンピングカーに戻ってシオンに見回りを言われるのだが、俺はキャンピングカーに戻らずに外の見回りをすると一言言って外に出た。

シオンからは良い心がけだと感心されたが、今はあの黒衣の男が気になる。
関係ないかも知れないが、あの男なら何か知っているんじゃないだろうかと外に出て探した。

そして、あの時と同じタイミングで急に現れた。


「まだこんな所にいるのか、こんな国は放っておけ」

「そのセリフはもう聞いた。
俺は貴方に聞きたい事がある。
俺は死んだ筈なのに何故過去に戻っているんだ?
貴方なら何か知っているんじゃないか?」


俺はドキドキしながら聞いてみると、黒衣の男は突然消えた。
矢張り黒衣の男は関係ないのか、トボトボとドーム内に戻ると、黒衣の男が壁際で座り込んでいる姐さんに何かを言ったのち、俺の方に手を向けると同時にドームの上に黒衣の男と一緒にいた。
そう黒衣の男は転移魔法を使ったのだ。


「君は未来から来たんだな」


黒衣の男はそう言い放った。

「矢張り!ここは過去なのか?
俺の夢じゃないのか?」

「夢でない事は自分自身が分かっている筈だ。
君を見ると既にステータスは弄られているみたいだな。過去に戻るとステータス以外は元に戻るからな。今は多くの答えを言えないし、言うつもりもないが、ただ1つだけ教えておく事がある。
それは想像魔法は万能な魔法だ」


黒衣の男は被っているフードを取ると、フードの下はお面を付けていて、ふざけているのか真面目なのか分からないがヒョットコのお面を付けている。


「それと、魔法は目一杯使え。その為の魔力とMPだ。武器で倒そうと思うな。常に魔法で倒そうと考え、想像力を磨け」


ヒョットコお面の黒衣の男は、それだけを言うと消えて、消えるのと同時にドーム全体が光り、前にキマイラに壊された場所に転移した。


「矢張り、黒衣の男の仕業だったのか」

黒衣の男の言う通り、ステータスを確認すると確かに今回手を当てられてないのにステータスの表記の体力魔力MPが前に弄られた時のままだ。

ついでにI.Bの中身を確認すると、ソルトのゴーレムに使った筈の黄金はI.Bに入ったままであった。

それからは、ドーム内に戻って自分のキャンピングカーに乗り込もうとすると、俺に話したい事があると姐さんが話し掛けてきたが、念のために既に知っている話かどうかを再度聞く為にシオンを連れて聞く事にした。

少年の話を冒頭から聞くと、全く同じ内容だった為に別の聞きたい事を質問してみた。


「君達の町には奴隷はどのくらい居たんだい?
君の家にも奴隷がいたのか?」

「王族貴族以外の国の人は町や村全体で奴隷を管理していました。
一家庭に奴隷が1人とかではなく、町で何人って決まってました。
家庭の雑用で必要な時は町の奴隷保管倉庫から借りて、雑用させるといった事をしてました」

「ちょっとミーツちゃん、それは今聞く事なの?
関係ない事は聞かないで頂戴。この子は…」

「姐さん、分かっているさ。
余り時間がないんだろ?
もうすぐアレになってしまうのは分かっているさ。
だけど、これも必要な事だと思うんだ」


何故なら、前に町の様子を見た時に奴隷らしき人が居なかったからだ。
腐人でもそうだ。
首輪をしている腐人が居なかった。


「今思えばあの時、あの人の言う事を聞いていたら何かが変わっていたのかも知れない」


前はこの段階で腐人になったが、まだ前よりは時間がある筈だと考えた俺はもう少し聞く事にした。

「あの時とは?」


「それは…おかしなお面を付けた黒のローブを着た人が奴隷を解放しなければ災いが起こると予言して回ったんです。それから少し経った頃、町で保管していた奴隷が突然消えました。

集団で逃げたと町が大騒ぎになりました。何故なら隷従の首輪が奴隷保管倉庫の床に落ちていたからです。

どうやって逃げたかは未だに分かっていません。
内部の町の人が手引きしたとしか思えないのですが、町にそんな人はいないと思、、い、、ま、」


時間切れが近いようだが、腐人にまだなっていないこの子を助けられないものか?
折角の膨大な魔力とMPがあるんだ。
やれるだけやってみよう。

少年は黒い粉を被ったと言った。
ならば、少年の体内に入り込んだ不純物を取り除く想像をすればいいんじゃないか?

俺は魔力を目に集中させて少年をジッと見つめて、体内を透視する想像をした。

すると、少年の体内が透視によって見え、少年の体内には血液とは別の黒い液体が身体中に巡っているのが見える。

黒い液体が心臓をも侵食しようとした所で、少年の心臓の周りにソルトのシールドを想像で囲むように出して心臓を守って、少年の上半身の服を脱がせようとした所で姐さんに肩を掴まれてしまった。


「ちょ、ちょっとミーツちゃん、こんな時に何やってるの!ふざけてる場合じゃないのよ。
この子はもう直ぐ腐人になっちゃうのよ?」

「時間ないのは分かっている!黙って見ていろ!」


つい、声を荒らげて姐さんに怒鳴ってしまったが、姐さんは肩から手を離した所で、少年の服を脱がして少年の腹を刀で軽く横に切って、少年の体内の黒い液体を体外に出す想像魔法をすると、切り裂いた腹から黒い液体がドクドクと宙に浮いて溜まって行く、黒い液体が身体から出てしまったのを確認したのち、腹の傷口を想像魔法で癒やし、宙に浮いた黒い液体はI.Bに入れていた空瓶に入れて、しっかり蓋をして再度I.Bに入れた。

少年は先程まで腐人になる直前の顔をしていたが、今は落ち着いた表情で寝ている。


ここまでに掛かった時間は本の数十秒の出来事だっただろうが、とても長く感じた。


「え?ミ、ミーツ、ちゃん?
この子にな、何したの?
何だか顔色が落ち着いて見えるんだけど」

「ああ、さっきは怒鳴って悪かったね。
腐人にならないようにしたんだよ。
多分、成功したと思うよ」

「おいおいおい!ありえねぇだろうがよ!
おいミーツ!何やったかお前分かっているのかよ。
腐人になる前の奴を元に戻したとか聞いた事ないぞ!ありえねぇ、ありえねぇ」


姐さんは声が震えていて、シオンは怒鳴りながらありえねぇを連呼してぶつぶつ言いだした。


「だから俺の想像魔法で…」

「ミーツちゃん!いくら想像魔法でも限度があるわよ!ミーツちゃんの魔法は何なの?
あそこまで腐人になりかけてたら絶対助けるのは無理だったはずよ!」

「そう言われても、、、まぁ、偶々かな?」

「そんな、、、偶々とか言われても納得できないわ」

「あ!そうだ。今はこんな事を議論している暇はないんだった」

「え?ミーツちゃん、それはどういう事?」


シオンはまだ我に帰ってないのかブツブツ言っているから、姐さんにもう直ぐ魔物の群れが来る事を伝えなければいけない。


「少年も寝ているし外で話そう」

そう言って、未だにブツブツ言っているシオンを引きずって、姐さんとキャンピングカーから降りて馬車の近くまで移動後に話す。


「もう少し経てば魔物の群れが来るんだよ。
その中で一際厄介で大きな魔物がいるんだ。
その上、近くには王都を丸々飲み込めるだけ大きなスライムもいる」

「え?スライム?そんな大きなスライムなんて、あたしには無理よ。それに厄介な魔物ってなに?大体ミーツちゃんは何でそんな事分かるの?
あたしでもまだ何も感じないのに」

「それは後々、言える時に言うよ。
今は魔物の群れの方を片付けるのが優先だよ。
厄介な魔物はこういうやつだよ。
多分キマイラだと思うんだけど」


そう言いながら、地面にキマイラの絵を描いた。

「ん?プッ、何じゃこりゃ、お前絵心がないな」


シオンがいつの間にか復活していて、俺の絵を見て笑っているが、姐さんを見ると口に手を当てて驚いた表情をしていた。


「ミーツちゃん、本当にコレがこっちに来ているのよね?」

「ああ、来てるよ。恐らく、数分後くらいにはきて、此処を破壊するよ」

「そう。分かったわ。
なら、これの相手はあたしがやるわ。
ミーツちゃんもシオンちゃんも手出しは無用よ。
ミーツちゃんもシオンちゃんも多分勝てないはずだから、このキマイラはあたしの獲物よ!」


確かにキマイラに勝てなかったが、どうしたのだろうか。
姐さんが自分の獲物だと言ったのに驚いた。
初めてそんな事を言ったからだ。


「ど、どうしたんだい?急に、、自分から自分の獲物なんて言ったりしてさ」

「え?ダンク、本当にこんな奴が存在するのか?
それに、ミーツの言う通りだ。
どうしたんだダンク」

「キマイラについては勝てたら、倒した後理由について教えるわ。
ミーツちゃん、出来ればあたしとキマイラが他の魔物に邪魔されないような場所で戦えるように出来ないかしら?」

「うーん、既にこのドームの周りには魔物でいっぱいだからなぁ」

「だから、あたしとキマイラをミーツちゃんの得意な転移をしたらいいのよ」

「姐さんだけなら兎も角、キマイラに触れて転移となると難しいかな?」

「ミーツ様、失礼ながら会話に入らせて頂きます。
ミーツ様の転移は瞬間移動と違って、物に触れなくても転移が可能です。
転移したい物体を何処に移動させたいのかをイメージしたのち転移をすると動かせます。
それは動いていろうが止まっていようが、関係ありません」


ソルトはいつの間にか俺の隣にいて、とんでもない情報を教えてくれたが、もっと早く知りたかった。


「分かった。ソルトありがとう。
キマイラはドームの上から見て転移させる。
場所はゴールドマネー国の黄金のダンジョンの最深部のダンジョンボスがいるフロアでいいかな?」

「ミーツちゃん、それはいいけど。
ダンジョンボスのいるフロアって既にボスが現れるんじゃない?」


それはもっともだと思った。


「じゃあ、ちょっと待ってて、状況を確認した後まだ大丈夫そうだったらダンジョンに行ってダンジョンボスが出ない様に設定していくから」


そう姐さんに言うと、一度ドームの上に転移してキマイラがどの位の位置にいるかを確認すると、まだ見えないが、既にドームの周りは様々な魔物だらけだ。

キマイラがまだ来てない事に安心したのち、前と同じようにソルトにドーム全体のシールドを張るように心話で伝え、ダンジョンの管理部屋に転移して、ダンジョンボスが出ないように設定を変えて、更に砂地のフロアを硬い床に設定してドームに戻り、姐さんと再びドームの上に転移すると、結構遠くの方から憎っくきキマイラが、ゆっくりと近づいて来ているのが見えた。

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